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大分・別府鉄輪朝読書ノ会

大分県別府市鉄輪にて毎月開催しています課題図書形式の読書会です。

【開催案内】第十回別府鉄輪朝読書ノ会

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新年あけましておめでとうございます。年末年始、別府鉄輪温泉は県外からの観光客が増えてにぎやかになっています。鉄輪温泉は湯が熱めなので、浸かる前にしっかり湯かけして入りましょう。そうしないとかなり湯疲れしますよー。

 

さて今年最初の別府鉄輪朝読書ノ会はマーティン・スコセッシによる映画化もされて公開が待ち遠しい、遠藤周作の『沈黙』です。

 

内容(「BOOK」データベースより)

キリシタン迫害史を背景とする緊迫のドラマの中に、神の存在を問い、信仰の根源を衝いて、西洋と日本の思想的対立を鋭くえぐり出す長編小説。谷崎潤一郎賞、ピエトロザク賞受賞。 --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

 

 

1月15日(日)10時より。別府鉄輪ここちカフェむすびのさんにて開催します。

作品にインスピレーションを受けた、むすびのさんの軽食メニューも楽しみです。

本年もよろしくお願いいたします。

 

 

【開催報告】第九回 別府鉄輪朝読書ノ会

年内最後となる別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。今回の課題本は多和田葉子さんの新訳によるフランツ・カフカの『変身(かわりみ)』をとりあげました。

 

会のはじめにこの作品の全体的な感想を聞いてみました。「グレゴールはおれのこと」「今ではグレゴールの気持ちがわかる」「ちんぷんかんぷん」「救いがない」「この訳は読みやすかった」「これが世界文学なのか」「主人公が虫に変身するだけでなく、家族全体が変わっていく物語」

 

主人公が穢れた虫に突然変わってしまうという物語に度肝を抜かれながらもその寓話が導く、ディスコミュニケーションや引きこもり、疎外感や孤独感など現代社会を通して読むことができる普遍性がこの作品には内在しているという話。また恋人や妻のいないグレゴールに対して「妹萌え」や「二次元コンプレックス」の指摘があり、ここにも時代を超越してしまったかのようなカフカの創造性、才能にあらためて気づかされました。

 

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むすびの店主 河野さんから、ウルトラマンに出てくる怪物ジャミラ(元は人間で後から怪獣になる)の悲しいエピソードと今回の作品を絡めて語っていただきました。

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今回のむすびのさんからの軽食メニューは、もともと洋のものであるラザニアを和風に〈変化〉させたもので、里芋のクリームソースをベースに牛すじ肉がはいっていました。美味しくいただきました。ありがとうございました。

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最後にみなさんで記念撮影。ご参加ありがとうございました。

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来年1月の回は遠藤周作の『沈黙』を課題本とします。

来年もよろしくお願いします。

無題

正確な読みというものがそもそも成り立たない対象に関しては、

不正確な読みが正しいのだ、ということである。

川村二郎『アレゴリーの織物』

【課題本の紹介】カフカ『変身(かわりみ)』

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内容(「BOOK」データベースより)

カフカの文学は、映像的であるという印象を与えながらも一つの映像に還元できないところに特色がある。『変身』のグレゴール・ザムザの姿も言語だけに可能なやり方で映像的なのであって、映像が先にあってそれを言語で説明しているわけではない。…読む度に違った映像が現れては消え、それが人によってそれぞれ違うところが面白いのである。この機会にぜひ新訳でカフカを再読して、頭の中の映画館を楽しんでほしい。

著者について

カフカ,フランツ
1883.7.3‐1924.6.3。ユダヤ系のドイツ語作家。オーストリア=ハンガリー帝国の領邦ボヘミア王国(現在のチェコ)の首都プラハに生まれる。民間保険会社、のち労働者災害保険局に勤務の傍ら、小説を発表。生前の読者は限られていたが、第二次世界大戦後の実存主義ブーム中に再発見され、世界的名声を得る。

多和田葉子(たわだ・ようこ)
小説家・詩人。早稲田大学第一文学部ロシア文学科卒、ハンブルグ大学大学院修士課程修了、チューリッヒ大学博士課程修了。大学卒業後の1982年よりドイ ツ・ハンブルグに移住、日本語、ドイツ語で詩作、小説創作。主な作品に「かかとを 失くして」(群像新人文学賞)、「犬婿入り」(芥川賞)、『ヒナギクのお茶の場合』(泉鏡花文学賞)、『容疑者の夜行列車』(伊藤整文学賞谷崎潤一郎 賞)、『雪の練習生』(野間文芸賞)、『雲をつかむ話』(読売文学賞芸術選奨文部科学大臣賞)、『献灯使』、『言葉と歩く日記』など。

 

12月18日に開催予定の別府鉄輪朝読書ノ会の課題本は、

F・カフカの『変身(かわりみ)』をとりあげます。

カフカの『変身』は多くの優れた翻訳がありますが、

今回は多和田葉子さんの訳された集英社文庫ヘリテージシリーズを

みなさんと読んでいきたいと思います。

 

ご関心のある方は、ホームページよりお申込みください。

参加のお申込み - 大分・別府鉄輪朝読書ノ会

 

【開催報告】第八回 別府鉄輪朝読書ノ会

朝からはげしい雷雨が続いていましたが、

無事に第八回目の別府鉄輪朝読書ノ会を開催できました。

今回は土曜日の朝9時半からの変則的な時間帯でしたが、

6名の方に参加していただき、対話をしました。

 

今回とりあげた作品は大江健三郎氏が20代の終わりに書いた『個人的な体験』。

大江文学は難しい印象があった、食わず嫌いで敬遠していたが読んでみたら、

意外にエンターテインメントだった、先入観が変わったという声が聞かれました。

 

この作品は、主人公の鳥(バード)に生まれた子供に障害があることが判明し、

その子供を葬りたいと考えるなかで主人公が逡巡、苦悩し、

最終的には育てることを決意するまでの経過を描いた作品で、

七月にあった相模原での障害者を殺傷する事件が起きたのは、

文学、物語の力が及ばなかったからではないのかという話がされました。

この作品にはまるまる主人公の〈ためらい〉や〈踏み止まり〉が描かれており、

相模原の事件にはそれがないと。

 

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今日はむすびのさんを貸し切って1階で開催しました。

初冬の光が射し込んでいました。

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むすびのさんより、大江健三郎氏がノーベル文学賞を受賞した1994年当時に

流行した、パンナコッタと杏のジャムを水に溶かしたドリンクが提供されました。

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むすびのの田中さんよりメニューの説明。軽食は大江氏がフランス文学に精通しているということで、フランス料理であるグラタンでした。グラタンには、〈焦がす〉〈こそげとる〉という意味合いもあるようで、作品世界にも通じるのではというお話でした。ボリュームもあって、美味しかったです。

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夜の鉄輪地区はいろんなところで竹灯籠が楽しめました。

温泉からあがったら、道端カレンさんが立っていてびっくりしました。

別府のおすすめスポットを案内していたようですね。

 

www.gokuraku-jigoku-beppu.com

 

次回12月、年内最後の読書会はカフカの『変身(かわりみ)』をとりあげます。 

 

【課題本の紹介】『個人的な体験』大江健三郎

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内容(「BOOK」データベースより)

わが子が頭部に異常をそなえて生れてきたと知らされて、アフリカへの冒険旅行を夢みていた鳥は、深甚な恐怖感に囚われた。嬰児の死を願って火見子と性の逸楽に耽ける背徳と絶望の日々…。狂気の淵に瀕した現代人に、再生の希望はあるのか?暗澹たる地獄廻りの果てに自らの運命を引き受けるに至った青年の魂の遍歴を描破して、大江文学の新展開を告知した記念碑的な書下ろし長編。

 

11月は大江健三郎の『個人的な体験』(新潮文庫)をとりあげます。

相模原の障害者施設での殺傷事件を受けてから、

この作品を読み直したいと思いました。

ご関心のある方は、ホームページよりお申込みください。

 参加のお申込み - 大分・別府鉄輪朝読書ノ会

 

【開催報告】第七回 別府鉄輪朝読書ノ会

主催者のシミズです。

日曜日に第七回目の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。

いつもより参加人数は少なめでしたが、その分じっくりと一人ひとりの話が

聴けたように思います。

この日の課題図書保坂和志氏の『残響』でした。

複数視点による視点の切り替わりに戸惑う方もいれば、酩酊した、

こんな小説があるのかと驚いた、影を残しながら視点が移り変わっていく、

推理小説のようだったー

読みづらかったという印象も、みんなの話を聴いていくうちに

立ち上がっていく風景もあり、よくわからないと思っていたが、

ほんとうは凄い小説かもしれないと考え始めたという感想もありました。

思うこと、思われること、思い出すこと、忘れていないことをめぐるこの小説の

根っこに流れる抒情性が好きという意見も。

 

映画や音楽のような小説だったという話もありましたのでツイッター保坂和志botからいくつか引用してみます。

保坂和志bot (@k_hosaka_bot) | Twitter

 

言葉というのはまったく特定しがたいもので、つきあいが深くなればなるほど、楽譜みたいに人それぞれの中で違った音を奏ではじめる。そういう、言葉が持っている複雑で多層的な性質が思いっきり発揮されるのが小説だ。

 

小説をもっとずっと音楽の受容の仕方に近づけることが、小説を、批評という小説とは似ても似つかない言葉から自由にすることなのではないか。

 

小説は思いを整理して伝えるという行儀いいものではない。小説には何か本質的に読解を拒む、通約不能でアナーキーなものが息づいていなければならない。そしてそれこそが、人生そのもの、長く生きてきた人間とその内奥そのものだ。

 

猫が好きで猫のために心を砕いている人間にとって、猫が好きで猫がいること以上の「いいこと」はない。猫は別に千両箱をしょってくるわけではなく、ここにいてくれればいい。

 

人間の心って、自然と誰かに語りかけるようにプログラムされているらしくて、恋愛っていうのは、語りかけるものの、ほんの一部分なんじゃないかって思う。恋人がいるから語りかけたくなるんじゃなくて、もともと心の中では、いつも誰かに語りかけているから、そこに恋人がはまるんじゃないかって思う。

 

 

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今日は貸切でした。

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柘榴、梨、グレープフルーツ、桃、バナナなどが入ったフルーツポンチは、俯瞰した視点からいろんな人が「そのまま」見えるという発想から作っていただきました。

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シェフの田中さんより、今回の作品にヒントを得たメニューの説明がありました。

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『残響』というタイトルから余韻の残る味、香りを意識して作られたとのことです。

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サービスで林檎のコンポート。特殊なお酒だそうですが、忘れました(^_^;)

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最後に全員で記念撮影しました。

次回11月は大江健三郎氏の『個人的な体験』を扱います。