今日はしずかな一日だった、光や静寂が瞑想的で、うれしく無に漂った。
たぶん大事なのは空のスペースを作ってやることなのだ。
そうすればなにごとも、万事快調だ。
最後は春の午睡。
三月の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。ここのところ雨が続いていましたが、今日はとてもいい天気でした。
今回とりあげた課題図書は吉村萬壱さんの『ボラード病』です。みなさんの読みを聴くたびに、作品の思いもしなかった相貌があらわれて、戦慄が走りました。
ドリンクはボラード(港にある船を繋留すための鉄製の杭)を連想イメージして、赤木圭一郎→ポパイ→ほうれん草、バナナ、リンゴのジュースでした。
軽食の方は、なんと作中にも出た魚肉ソーセージを使ったサンドに味噌汁でした!むすびのの田中さんは、いつか魚肉ソーセージを使ったメニューを提供したかったようで、作品に魚肉ソーセージが出てきたときは喜んだそうです。たいへん美味しかったです。
誰が正常で誰が狂っているのか、決定的な情報は最後まで伏され、作品の構造自体もこれは拾った手記ではないのかという疑惑も。みなさんの意見を聴くたびに〈分かる〉から遠ざかっていく、そんな不可思議な小説でした。
外では桜が5分咲きくらいでした。
次回でこの読書会は2周年を迎えます。夏目漱石『彼岸過迄』を読んでいきます。参加希望の方はホームページよりお申込みください。
二月の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。今回は遠く関西方面からの参加もあり、旅の途中での読書会というのもなかなか有意義だなと思いました。冬と氷と温泉と。今回は極寒の冬にぴったりの小説、アンナ・カヴァンの『氷』をみなさんと読んでいきました。
最初に感想を聞いたところ、セカイ系のはしり、1960年代の作品なのに古さを感じない、酩酊する、夢の中にいるようだ、つかみどころがない、感情移入ができないなど、作品から拒絶されるような読みづらさがみなさんにはあったようです。そのなかでも、意味や理由、動機を問うてはならない作品なのではという意見もありました。
むすびのさん提供の軽食は、エビアンの水(氷河期に形成された地層を通過して流れた硬水)で淹れた凍頂烏龍茶、どの登場人物たちにも名前がないのにかけて、名前のない丼(ごま油で揚げた鳥もも肉に玄米)でした。たいへん美味しかったです。
みなさんと感想をシェアする中で、意外に笑えるというのか作品内のいろんな矛盾や飛躍をまともに考えると笑えてしまう場面が多いことにも気付き、想定外でしたが笑いの絶えない楽しい回になりました。
今日もご参加ありがとうございました。3月は吉村萬壱さんの『ボラード病』を読んでいきたいと思います。
こんにちは。鉄輪も昨日は大雪が降りました。ただ温泉があるおかげで、地面に積もってもすぐに溶けてしまいます。地面が凍るということはないのでしょう。家の水道管にながれる水もほのかにぬるい。地熱に温められていますね。冬はありがたいです。
さて2月の別府鉄輪朝読書ノ会の案内をします。こんな寒い時期に凍れる小説を読みたいと思います。アンナ・カヴァン1967年の作品『氷』(ちくま文庫)です。
内容紹介
氷が全世界を覆いつくそうとしていた。私は少女の行方を必死に探し求める。恐ろしくも美しい終末のヴィジョンで読者を魅了した伝説的名作。
内容(「BOOK」データベースより)
異常な寒波のなか、私は少女の家へと車を走らせた。地球規模の気候変動により、氷が全世界を覆いつくそうとしていた。やがて姿を消した少女を追って某国に潜入した私は、要塞のような“高い館”で絶対的な力を振るう長官と対峙するが…。迫り来る氷の壁、地上に蔓延する略奪と殺戮。恐ろしくも美しい終末のヴィジョンで、世界中に冷たい熱狂を引き起こした伝説的名作。
ご関心のある方は、ホームページよりお申込みください。