対話と人と読書|別府フリースクールうかりゆハウス

別府市鉄輪でフリースクールを運営しています。また「こども哲学の時間」など

【開催案内】別府鉄輪朝読書ノ会

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三月の別府鉄輪朝読書ノ会の案内です。三月は毎年震災関連の作品を扱うことにしています。今年はいとうせいこう氏の『想像ラジオ』(河出文庫)をみなさんと読んでいきたいと思います。

 

 

内容(「BOOK」データベースより)

深夜二時四十六分。海沿いの小さな町を見下ろす杉の木のてっぺんから、「想像」という電波を使って「あなたの想像力の中」だけで聴こえるという、ラジオ番組のオンエアを始めたDJアーク。その理由は―東日本大震災を背景に、生者と死者の新たな関係を描き出しベストセラーとなった著者代表作。

 

 

 

 

 

【開催報告】第三十四回 別府鉄輪朝読書ノ会

 

こんにちは。別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。今回はこの時代の節目に平成元年に大ベストセラーとなった吉本ばななの『TUGUMI』をみなさんと読んで、この過ぎ去った三十年の時間に思いを馳せました。

 

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むすびの店長さんからは、TUGUMIクロウタドリ→BlackBirdがスウェーデンの国鳥ということで、北欧のベリーの甘いスープをいただきました。あたたかくて、ほっこりしました。

 

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フードメニューはTUGUMIということで鳥肉料理でした!たいへん美味しかったです。


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TUGUMI』という作品について、そこには三十年前に信じられていて今では失なってしまったものがしかと書かれ、キラキラと眩しく、涙したという声も聞かれました。それは作家の若さでもあるし、バブルの時代の輝きでもあるし、それらが登場人物とその世界観に見事に凝集され反映されている。そして作者がこれを書きたいと思った、留めておきたかった風景(匂いや光、湿度)を留め置くことに成功しているように思えた。いろんな〈別れ〉を契機としながら。

 

 

夜の道のそこかしこに、夏の影がひそんでいた。活気と夜気がどこか甘く、わくわくするような勢いで夜を彩っているのが、風の匂いひとつにもあふれるようだった。

 

TUGUMI吉本ばなな

 

 

 

 

 

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この読書会は基本小説、散文を扱う会なのですが、どこかで詩を挿みたいと思っていてもなかなかタイミングがなく、ついにこのときに父吉本隆明の「佃渡しで」を紹介することができてよかったです。父もまた郷愁(失ったもの)への強い感受性を作品に焼き付けていました。

 

 

 

これからさきは娘に云えぬ

昔の街はちいさくみえる

掌のひらの感情と頭脳と生命の線のあいだの窪みにはいつて

しまうように

すべての距離がちいさくみえる

すべての思想とおなじように

あの昔遠かった距離がちぢまつてみえる

わたしが生きてきた道を

娘の手をとり いま氷雨にぬれながら

いつさんに通りすぎる

 

「佃渡しで」吉本隆明

 

 

 

吉本隆明 佃島のパサージュ - YouTube

 

 

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日が暮れる鉄輪の情景。そう風景には何がしかの情感が加わる。鉄輪という町だけではないはずだが、得たものやこれからの未来というよりかは、失ってしまったものが見えているいまの風景を下支えしている。それはかなしみとも言う。作品の舞台となった漁村も佃島も別府も同じだろう。〈書く〉ということは、それらとのある痛みを伴った〈別れ〉の儀式かもしれないと思いました。

いつも思っていることではありますが、今回はいつも以上に開催してよかったなと思える回でした。ご参加いただいた皆様ありがとうございました。

 

三月はいとうせいこう『想像ラジオ』(河出文庫)を読んでいきたいと思います。

 

 

 

大宰府、醍醐寺、珈琲蘭館

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梅の香りというのを意識したことがなかったけど、冷たい空気のなか微かに香るものがあって、この静けさのようなものが梅のよさなんだとつくづく思った。

 

九州国立博物館で展示の京都醍醐寺の宝物には如意輪観音像のほかに空海後醍醐天皇の真筆などもあり、見るこちら側にたえず緊張を与える。実際の醍醐寺をぜひ訪れてみたいと思った。

 

最近珈琲をよく飲むようになって、以前はカフェインに若干苦手意識があったのだが年末年始にたくさん飲んでいたら、すっかり中毒となった。それで凝り症なので自分でいろいろ道具を買ってきて煎れるのだが、なにが正解の味かわからない。スタンダードの味がどのようなものなのか知りたい。ちょうど大宰府に有名店があったので寄ってみた。味はとても澄んでいて驚いた。薄い濃いではなく、澄むという別のモノサシを体感した。エッグサンドも美味であった。福岡には他にも名店がたくさんあるのでまわってみたい。珈琲はカジュアルでありながら、ひとつの道でもあろうとするのは日本だけの受容のされ方なのだろうか。

 

オカユは最近よく布団の中にもぐってくる。以前は遠慮があったのか、中に入ってくることはなかったのだが。でも熱くなるのか、しばらくすると顔や手を出してくる。

 

 

 

【開催案内】二月の別府鉄輪朝読書ノ会

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二月の別府鉄輪朝読書ノ会の案内です。もう平成という時代も残りわずかということで、平成元年に大ベストセラーとなった吉本ばななTUGUMI』(中公文庫)をとりあげて、この三十年間の時の流れを感じてみたいと思います。残席わずかですが、参加希望の方はホームページよりお申込みください。

 

内容紹介

病弱で生意気な美少女つぐみと海辺の故郷で過した最後の日々。二度とかえらない少女たちの輝かしい季節を描く切なく透明な物語。

 

 

kannawanoasa.jimdo.com

沿道からの別大マラソン

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別大マラソンを沿道から見た。

東京に暮らしていたころは、年1回のこの全国版のTV中継で、

大分、別府の町並みを懐かしく見ていた。

 

自分が走るようになったこともあって、ランナーにすっと感情移入できる。

走っている間は走っていることしかない。

孤独ですらなく、いろんな思いが脳裏を掠めることはあるけど、

そこに深く留まることはない。

自分が単なるDNAの運び屋だというのは虚しいことかもしれないが、

それは救いでもある。軽く、軽くありたく、たまにはただの容器でありたい。

そのフローのような状態に割と簡単に入っていけるのが、

ランニングの素晴らしいところだと思う。

 

沿道から知らない人に力強く「頑張れよー」と声援を送ることもまた素晴らしい。

いつからか「頑張れ」という言葉は使い辛くなってしまって、

使いどころはいろいろ考えねばならないけど、素晴らしい言葉だと思う。

ある芸人の「おまも頑張れよー」という返しはもっと好きかもしれない。

しんどいときに自分自身に向けて「頑張れよー」と言ってみることもある。

車を運転しているときなど、割と大きな声で言ってみる。そのときは軽くなる。

走るとそういう文脈からもフリーになるので、もっといい。

 

 

 

【開催報告】別府鉄輪朝読書ノ会

 

今年初めての別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。前日は雪が降って厳しい寒さとなりましたが、多くの方にご参加いただきました。ありがとうございました。

 

 

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今回とりあげた作品は鎌倉前期に編まれた「宇治拾遺物語」でした。いくつか出版されているのですが、伊東玉美さんの解説に魅力を感じて今回は角川ソフィア文庫のビギナーズ・クラシック版を選んでみなさんと読んで行きました。

 

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河野さん提供のドリンクは宇治茶オレ。服も宇治茶色!寒かったので、飲んでほっとしました。

 

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田中さん提供のフードは作品にも出てきた平茸(本しめじ)のスープでした。たいへん美味しかったです。前世は法師かも…

 

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この読書会では毎回作品を題材にしたドリンクとフードを開催会場でもあるここちカフェむすびのさんに考えていただいて提供してもらっています。参加者の方からはとても贅沢な時間を過ごさせてもらっているとの声をいただいております。

 

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古文を読むのは学生以来という方が多かったですね。現代と通じ合うところと、そうでないところの面白さや、説話の編集の妙だったり、日本語の文法的特徴による語りの魅力だったりと、様々なアングルからの感想が聴けました。この時代の限界を知ることができるという意見もありましたが、古典を読むということはとりもなおさず、現代とは何かと言う問いに直結するのではないでしょうか。

 

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外では温泉の蒸気でのらねこさんが蒸されていました。

 

次回はまもなく終わる平成を前に、平成元年に大ベストセラーとなった吉本ばななの『TSUGUMI』を読んでいきたいと思います。

 

 

 

【開催案内】別府鉄輪朝読書ノ会※満員御礼

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新年一発目はこれでいきます。今年は古典も読んでいきたいです。(既に満員御礼ですみません…)

 

内容(「BOOK」データベースより)

法師は平茸となって生まれ変わり、翁は鬼の前で踊りを踊ってこぶをとられ、神通力を持った犬が飼い主を救う…。日本、インド、中国などを舞台に物語が繰り広げられる鎌倉時代の説話集。教訓めいた話もあるものの、「善」「悪」と単純に割り切ることのできないこの世の理不尽やモヤモヤを取り込みながら、ユーモラスに展開していく。総ふりがなつきの原文と現代語訳に、ていねいな解説を付した、宇治拾遺物語入門の決定版!