対話と人と読書|別府フリースクールうかりゆハウス

別府市鉄輪でフリースクールを運営しています。また「こども哲学の時間」など

【開催報告】哲学ツーリズム@釜ヶ崎 11.2 その6「釜ヶ崎支援機構とシェルター」

 

 

 

人間は人間が好きではない。人間は社会をつくりたくない。にもかかわらず人間は現実に社会をつくる。言い換えれば、公共性などだれももちたくないのだが、にもかかわらず公共性をもつ。ぼくには、この逆説は、すべての人文学の根底にあるべき、決定的に重要な認識のように思われる。

 

(中略)

 

人間は人間が好きではない。人間は社会をつくりたくない。にもかかわらず人間は現実には社会をつくる。なぜか。

 

本書は、その謎を解くヒントを、一般意思の再読にではなく、観光客のありかたに見いだそうと試みるものである。それはまた同時に、十九世紀以降の、まじめな公とふまじめな私を対置させる政治思想への異議申し立てでもある。

 

『ゲンロン0 観光客の哲学』東浩紀

 

 

 

 

 

寿命

 

この地域の平均寿命は日本最短です。

平均よりおよそ5~10歳若くして亡くなります。

若い頃の過酷で劣悪な環境での労働が影響していると思われます。

 

ココルーム制作「釜ヶ崎アーツガイドマップ」より

 

 

 

 

徐徐に釜ヶ崎の最深部に入って行きます。

釜ヶ崎、西成、あいりん地区といっても広いです。

そして濃度というのでしょうか、空気や雰囲気に濃淡があるのがわかります。

ガードが境界線にでもなっているのでしょうか。

ここからはより濃く深いところに向かっていきます。

 

 

 

f:id:kannawadokusho:20191104214544j:plain

f:id:kannawadokusho:20191104214733j:plain

f:id:kannawadokusho:20191104214818j:plain

f:id:kannawadokusho:20191104214850j:plain

f:id:kannawadokusho:20191104214932j:plain

f:id:kannawadokusho:20191104215026j:plain

 

 

途中四角公園を通るも、カメラは向けられませんでした。

言葉にもうまく表現できません。

ただ怖いとか、暗いとかいうことではありません。

むしろ不思議な明るささえあります。

お酒からくるものかもしれませんが、

釜ヶ崎にはなにか人間の欲望が素直に解放されたような、

軽さや明るさがあり、僕がこの地に惹きつけられるのも

その明るさによってだと思います。

 

 

 

写真

 

写真や動画の撮影は長らくこのまちではタブーでした。

ここは身分証がなくても働ける場所であり、

過去は問わないまちです。

自分がここにいることを知られることを恐れる人も多くいます。

昔の映像記録には隠し撮りされたと思われるものも少なくありません。

しかし、スマートフォンなどの普及で誰でも撮影できるようになった

こともあり、最近ではかなり寛容になってきました。

とはいえここは観光地ではなく生活の場です。

いきなりレンズを向けることは避けるべきでしょう。

また特定の場所では今でも撮影がきわめて困難です。

 

ココルーム制作「釜ヶ崎アーツガイドマップ」より

 

 

 

今回ブログでいろいろと写真をアップしていますが、

肝心なものはむしろ撮れていません。

子供の表情のゆたかさや活力、大人たちの佇まい、いろんなアクション、

声掛け、細部や断片など撮影できなかったものにこそ、ここの本質がありました。

 

 

f:id:kannawadokusho:20191104215142j:plain

f:id:kannawadokusho:20191104215156j:plain

f:id:kannawadokusho:20191104215308j:plain

f:id:kannawadokusho:20191104215411j:plain

釜ヶ崎支援機構に着いて、山田理事長に話を伺いました。

釜ヶ崎の生き字引のような、40年以上この地で活動されている山田さんの言葉は

迫力があり、矢継ぎ早に繰り出される熱い思いにメモをするのが追いつきません。

 

 

「ここは社会的なゴミ捨て場」

生活保護だけでは酒にいく」

「路上に捨てられる無縁仏たち」

「食いっぱぐれたら釜ヶ崎

「これからここへくる子供たちが増えていく」

「受け止めの仕組みをどう作るか」

 

 

 

f:id:kannawadokusho:20191104215228j:plain

釜ヶ崎支援機構は、特掃(高齢者特別清掃事業)と呼ばれる社会的就労事業を

行っています。

特掃とは、釜ヶ崎の55歳以上の日雇労働者を雇用して、大阪府下および市内の施設や

道路などの清掃・除草や、保育所の遊具のペンキ塗りなどの作業を実施しています。

 

入り口には特掃の登録者数1027人と、

11月5日に輪番で紹介を受けられる番号が書かれていました。

 

f:id:kannawadokusho:20191104215437j:plain

f:id:kannawadokusho:20191104215547j:plain人間的な生活をするには少なくとも三食食べれてコーヒーくらいは飲めないと」とは山田理事長の言葉。

 

「禁酒の館」の名称で、日中の休憩、交流、就労・生活支援のための居場所を提供しています。またシャワー・洗濯機を無料で利用できます。

 

 

f:id:kannawadokusho:20191104215740j:plain

f:id:kannawadokusho:20191104215830j:plain

f:id:kannawadokusho:20191104215901j:plain

f:id:kannawadokusho:20191104215940j:plain

ここのシェルターの見学が参加者に与えた衝撃は大きかったです。

最大532人分の寝場所を提供していますが、

不自由さを嫌って野宿を選ぶ方も多いようです。

利用は一日単位で、夕方5時半に利用券を配布し、翌朝5時までの利用となっています。

 

 

 

f:id:kannawadokusho:20191104220007j:plain

炊き出しの道具もありました。

 

f:id:kannawadokusho:20191104220055j:plain

f:id:kannawadokusho:20191104220156j:plain

f:id:kannawadokusho:20191104220253j:plain

f:id:kannawadokusho:20191104220221j:plain

 

 

山田理事長の話に出た「ジェントリフィケーション」という聞きなれない言葉を

帰ってウィキペディアで調べました。

まさにいまの釜ヶ崎が置かれている状況そのもので、

山田理事長はこうして釜ヶ崎が消滅していくことを危惧していました。 

 

 

ジェントリフィケーション(英語: gentrification)とは、都市において比較的貧困な層が多く住む中下層地域(インナーシティなど都心付近の住宅地区)に、再開発や新産業の発展などの理由で比較的豊かな人々が流入し、地域の経済・社会・住民の構成が変化する都市再編現象である。日本語では、高級化、中産階級化、階級浄化などの訳語があてられる。価値判断を離れれば、「都市再編に基づく地価上昇」と簡単に定義することもできる(そのような研究者もいる)。これにより、貧困地域の家賃・地価の相場が上がり、それまで暮らしていた人々が、立ち退きなどによって住居を失ったり、それまでの地域コミュニティが失われたりすることが問題となる。

ジェントリフィケーションが起こるには、いくつかの要因が考えられる。国や市などによって再開発計画が進められ、土地の価格が上昇する場合もあれば、廃屋などが多い地域に近隣地域から中産階級流入し、地域経済の構成が変化する場合などもある。

ジェントリフィケーションの結果、その地域の地価が上昇し犯罪率が下がるなど、治安が向上することもある。しかし、このために家賃や税金が上がるなどして、それまで居住していた人々が居住できなくなり、地域のコミュニティが崩壊することが問題となっている。

日本においては、2000年代以降の東京都の都心部や湾岸地区で顕著である。再開発により旧来の住宅地が再開発され、高級マンションや高層オフィスに変貌している。

wikipediaより

 

 

 

ドヤ街のジェントリフィケーション

 

「ジェントリフィケーション」(Gentrification)は1964 年に社会学者ルース・グラスが『ロンドン』で初めて提出した概念で「地域の高級化」とも訳される。近代以降、都市が発展するに従って中流以上の住民が郊外に住む傾向が強くなり、都市中心部がスラム化する「空洞化現象」が知られていた。この空洞化した都心に高収入層や企業が回帰し、地域を作り替えてしまう現象をジェントリフィケーションと言う。

 

(中略)

 

釜ヶ崎は日本社会が抱える労働、差別、貧困、医療、福祉の矛盾が集中する「日本の縮図」として、困窮した人たちを支援する「社会資源」が最も集中する街になった。夜回り活動、飢えた人々への炊き出し、医療や生活保護や労働に関する相談、シェルターなどの宿泊施設やアルコール依存症の団体、こどもの貧困や虐待に対応する施設、アパートに入ったあとの生活支援を行なう団体などが活発な活動を続け、他の街では担うことのできない働きを数十年の間、続けている。

 

 

釜ヶ崎は「高級化された」地域になるべきだろうか。むしろ、生活困窮などさまざまな「生きづらさ」を抱える人々が助け合いながら生活できる街として存在し続けることの方が、はるかに社会的意義があるのではないだろうか。

 

釜ヶ崎から』生田武志ちくま文庫

 

 

 

 

1時間はあっというまでした。お話ありがとうございました。

つぎはあいりんセンターに向かいます。

 

その7に続きます。

 

kannawadokusho.hatenablog.jp

 

 

 

【開催報告】哲学ツーリズム@釜ヶ崎 11.2 その5「昼食〜ひと花センター」

 

 

 

季節と時刻

 

このまちは、どの季節、どんな時刻に訪れるかで、見え方も感じ方も異なります。

 

8月中旬:盆休みで仕事がなく、

帰る場所のない人、

帰ることのできない人のために

盛大な夏祭りが行われます。

そこではこのまちで亡くなった人びとの慰霊祭も重要な儀式として

行われます。

 

年末年始:年末年始も原則として建築現場の仕事がありません。

日雇いで働いている人たちにとってそれは収入がないということです。

また寒さも厳しいため、この時期を乗り切るために

越冬闘争が行われます。

現在では祭りの要素も強くなってきました。

 

12月から2月:最も気温の低い時期であり、このまちの厳しさを

一番感じる時期です。

毎年どこかで路上死が発生していることはあまり知られていません。

 

3月末:このまちにつかの間の桃源郷が現れる時期です。

路肩や公園には色とりどりの花が咲き、

そこで車座になって酒盛りが行われています。

 

ココルーム制作「釜ヶ崎アーツガイドブック」

 

 

 

 

ココルームに戻って昼食をいただきました。

たいへん美味しかったです。

 

f:id:kannawadokusho:20191104211703j:plain

f:id:kannawadokusho:20191104211728j:plain

(Yさん撮影)

 

しばらく昼休憩があったので、のんびりしました。

 

Hさんは純喫茶が好きで、合間を見ては近所のカフェを探索していましたー。

 

f:id:kannawadokusho:20191104211750j:plain

f:id:kannawadokusho:20191104211827j:plain

f:id:kannawadokusho:20191104211936j:plain

f:id:kannawadokusho:20191104212041j:plain

f:id:kannawadokusho:20191104212347j:plain

 

 

ココルーム屋上より。あべのハルカス

f:id:kannawadokusho:20191104212506j:plain

f:id:kannawadokusho:20191104212649j:plain

映画「(秘)色情めす市場」で見たような風景が広がっていました。

 

 

f:id:kannawadokusho:20191104212711j:plain

今回泊まった部屋。銀河鉄道の部屋。

 

f:id:kannawadokusho:20191104212826j:plain

宿の窓には格子があります。

 

 

お昼休憩後、ひと花センターに向かいました。

f:id:kannawadokusho:20191104212939j:plain

f:id:kannawadokusho:20191104213023j:plain

f:id:kannawadokusho:20191104213103j:plain

f:id:kannawadokusho:20191107185300j:plain

f:id:kannawadokusho:20191104213149j:plain

f:id:kannawadokusho:20191104213228j:plain

f:id:kannawadokusho:20191104213314j:plain

ひと花センターの上野さんに話を伺いました。 

こちらの施設の主眼は「居場所」づくり。

別の部屋では囲碁を打っている風景が見られました。

居場所のための行政支援はかなり稀であるとのこと。

 

 

西成区単身高齢生活保護受給者の社会的つながりづくり事業〉

引きこもりになりがちな単身高齢者で生活保護を受給している方の社会参加、

生活支援のプログラムを行う事業として2013年7月にスタート。

事業に参加してもらうことを通して孤立を防ぎ、

地域・社会とのつながりをつくり、ひとりひとりがいきいきと生きられるよう、

またそれによって地域もいきいきとなっていくような活動をめざしています。

 

 

居場所といってもただ空間があるだけではなく、

居場所たりえるためのさまざまな試み、

特に「共に」「表現する」ことに力を入れていました。

詩や俳句、書、農作業、自転車リサイクル、

犬の散歩から哲学カフェのような対話の場もあるようです。

 

パンフレットのキャッチコピーにはこんな言葉が書かれていました。

 

ちょっと立ち寄って、にっこり

困ったことを話して、すっきり

みんなで何か作って、大発見!

新しいこと、はじめてみよう

明日の朝も、いいこと、ありますように

 

 

 

 

f:id:kannawadokusho:20191107185322j:plain

お酒や賭博が身近なのでしょう、あらゆるところでそれをモチーフにした作品が

釜ヶ崎では多く見られます。

 

f:id:kannawadokusho:20191107185333j:plain

f:id:kannawadokusho:20191107185355j:plain

f:id:kannawadokusho:20191104213350j:plain

f:id:kannawadokusho:20191104213432j:plain

f:id:kannawadokusho:20191108175056j:plain

f:id:kannawadokusho:20191104213655j:plain

そのまま2階に上がって「どーん!と西成」さんの説明を受けます。

小林さんに話を伺いました。 

 

 

f:id:kannawadokusho:20191104213708j:plain

こちらはHUB機能をもった組織で、

釜ヶ崎に数多くある支援団体と利用者のマッチングをしています。

 

また「再チャレンジできるまち」として、

既存の制度では就労につながらなかった方に対し、

この街の資源(日雇労働市場・福祉サービス・協力企業)を活用して、

個々人に応じたマッチングを行っているとのことでした。

 

パンフレットには地域とのつながりのプログラムとして、

小学校の見守り隊への参加や、そうじイベントへの参加が書かれており、

以前読んだ本の一節を思い出しました。

 

通学路近辺の見守りや清掃に野宿者が雇用されれば、こどもたちと野宿者との交流も生まれ、就労の確保と野宿者への偏見の解消の両方が実現されることになる。『釜ヶ崎から』生田武志ちくま文庫

 

 

ぼくはこの施設の話しを伺ってから、この地域の福祉の充実度、考えられたケア、

福祉の町といわれる所以を強く感じ取っていきました。

 

ちなみにこの日は11月の2日で、1日が生活保護の支給日なので、

街自体ハッピーな空気になると小林さんは仰ってました。

 

f:id:kannawadokusho:20191104213726j:plain

f:id:kannawadokusho:20191104213751j:plain

f:id:kannawadokusho:20191104213816j:plain

 

 

病気

 

結核は日本ではほぼ克服された病です。

しかし釜ヶ崎結核罹患率が突出して高い地域です。

それは栄養状態と衛生状態の悪さが大きな原因となっています。

シェルターなど集団生活の場面も多いため感染の機会も多くあります。

そのため頻繁に結核検診が無料で行われています。

 

また糖尿病も多くみられます。

糖尿は栄養の過多によると理解されている場合が多いのですが、

極端に偏った食生活も大きな要因となります。

貧困状態に陥ると、糖質で空腹をしのぐ生活に陥りがちです。

これがこの地域で糖尿が多発する理由です。

 

ココルーム制作「釜ヶ崎アーツガイドマップ」より

 

 

お忙しいなか、ご対応ありがとうございました。

 

建物内はゆっくりとした時間が流れていて、とても居心地のいいところでした。

 

つぎは釜ヶ崎支援機構に向かいます。

 

その6につづきます。

 

kannawadokusho.hatenablog.jp

 

 

【開催報告】哲学ツーリズム@釜ヶ崎 11.2 その4「のぞみ作業所」

 

 

 

地名

 

この地図が表している地域には三つの名前がついています。

西成、あいりん、釜ヶ崎

最初の「西成」は行政区の名前です。この名前が全国で一番よく知られています。

二つ目の「あいりん」はこの地域に対して使われる公的な名称です。

0.62平方キロメートルの「簡易宿泊所街」を指します。

行政やメディアは基本的にこの名前を使います。

三つ目の「釜ヶ崎」は今は実在しない地名です。

しかしこの地域が担ってきた寄せ場としての役割を重視する人びとには

今でも好んで使われています。

 

 

このまちについて

釜ヶ崎は、日本の高度成長期を支えるために

安価な肉体労働者の供給源として

国の施策によって人工的に作られたまちです。

はじめて訪れた日本の若い人たちは、

「日本にこんなところがあったのか」と驚きます。

 

ココルーム制作「釜ヶ崎アーツガイドマップ」より

 

 

 

次はのぞみ作業所に向かいます。

 

過剰ともいえる規則的な風景が多く見られ、

収容という言葉が思わず出てしまいます。

 

 

f:id:kannawadokusho:20191104210328j:plain

 

一方でまたその規則性に抗うような崩れた風景も

いたるところで見られます。

 

f:id:kannawadokusho:20191104210408j:plain

f:id:kannawadokusho:20191104210441j:plain

f:id:kannawadokusho:20191104210512j:plain

f:id:kannawadokusho:20191104210551j:plain

のぞみ作業所に着きました。11時ごろ。

ここは高架下にあるため、南海電車の通過する音が定期的に響きます。

 

 

f:id:kannawadokusho:20191104210619j:plain

お話を精神保健福祉士の釆井さんに伺います。

 

のぞみ作業所は主にアルコール依存症の方の支援をしている事業所です。

この地域のアルコール依存症の問題は深刻で、

通りを歩いていても朝から酩酊している方を多く見かけます。

 

対症療法的に治療していくのではなく、

根源的な「心のしんどさ」「生きづらさ」に向き合っているとのこと。

またここでも「居場所」という言葉が聞かれました。

 

 

アルコール依存症は回復する病である

②障がいであるという理解

③アルコールへの依存(Addiction)から人とのつながりへ(Connection)

この3つを大切にしていることとして挙げられました。

 

 

実際に作業をしているところを見せていただきました。

みなさん黙々と作業しておられます。

職人的な身振りで無駄がなく、手慣れているようでした。

こういう実際の作業場というのを見たことがなかったので、

少し緊張しました。

 

和椅子や布ぞうりが丁寧につくられていました。

やさしい肌ざわりで京都のカフェや区役所の福祉の店などで販売しているそうです。

 

 

 

 

f:id:kannawadokusho:20191104210716j:plain

f:id:kannawadokusho:20191104210802j:plain

釆井さん、お忙しいところ、ご対応ありがとうございました。

 

 

午前の部はこれで終わりで、ふたたびココルームに戻ります。

 

f:id:kannawadokusho:20191104210833j:plain

f:id:kannawadokusho:20191104210913j:plain

f:id:kannawadokusho:20191104210940j:plain

f:id:kannawadokusho:20191104211020j:plain

f:id:kannawadokusho:20191104211043j:plain

f:id:kannawadokusho:20191104211423j:plain

f:id:kannawadokusho:20191104211456j:plain

有名なガード下のホルモンやまきです。

食べたかったのですが、昼も夜も人がいっぱいで入れませんでした。

 

 

f:id:kannawadokusho:20191104211536j:plain

 

 

いろんなところに酒を売っている自販機や居酒屋があり、

釜ヶ崎は酒への誘惑が多い町だと思います。

この土地で酒を止められたら、どこでも止められるという

釆井さんの言葉を思い出します。

 

 

 

5につづきます。


kannawadokusho.hatenablog.jp

 

 

 

【開催報告】哲学ツーリズム@釜ヶ崎 11.2 その3「山王こどもセンター」

 

 

まちをじぶんの足で歩く。

考えて、想像して、創造的に。

 

大阪西成区・通称釜ヶ崎

関西に暮らす人は「釜ヶ崎には行かないように」ということばを

耳にしたことは一度や二度あるでしょう。

 

暴動や寄場のイメージが強くあるのでしょうか。

そんな情報とは裏腹に、じぶんの足で歩いてみると、

あまりに正直な暮らしぶりに驚くかもしれません。

 

そして、道端や人々の会話のなかにひそむ物語を感じてみてください。

このまちに蓄えられた知恵とユーモアは、

生きぬくための力だと信じています。

 

もちろん注意も慎重さも必要ですが、一歩を踏み出してみてください。

旅するあなたに、このまちの息づかいを感じてほしいのです。

 

ココルーム制作「釜ヶ崎アーツガイドブック」より

 

 

 

ココルームを出て最初の訪問施設である山王こどもセンターを目指します。

 

釜ヶ崎関連の本を読んでいて何度か名前を目にした施設でした。

 

行く途中の商店街の風景がものめずらしく、きょろきょろしてしまいます。

 

不思議な明るさと活力を感じます。

 

 

f:id:kannawadokusho:20191104204556j:plainf:id:kannawadokusho:20191104204957j:plain

 

ショッピング

この地域で買い物をするのにスーパー玉出の存在は欠かせません。惣菜などは非常に安く買うことができますが、品質も値段なりという人もいます。夜中に見る派手な外観と客のほとんどが高齢男性という光景はカルチャーショックを与えるでしょう。

 

ココルーム制作「釜ヶ崎アーツガイドマップ」より

 

 

 

f:id:kannawadokusho:20191104204915j:plainf:id:kannawadokusho:20191104205041j:plainf:id:kannawadokusho:20191104203947j:plain

狭い路地を入っていくと山王こどもセンターはありました。

ストローム宣教師が最初に住んだ大正時代の長屋の向かいにあります。

 

 

f:id:kannawadokusho:20191106173330j:plain

f:id:kannawadokusho:20191104204308j:plainf:id:kannawadokusho:20191104204850j:plain

子どもだけでなく、大人も包括するためのおとなセンターもありました。

 

 

f:id:kannawadokusho:20191104204938j:plainf:id:kannawadokusho:20191104204438j:plain

遊び道具や衣類、本などが寄附で集められているとのことです。

 

 

f:id:kannawadokusho:20191104205103j:plain

傾斜のはげしい日本家屋特有の階段をあがって二階に集まりました。

施設長の前島さんに特殊な事情を抱えた釜ヶ崎のこどもたちのことや、

学童保育の実際についていろいろとお話しを伺いました。 

 

 

山王こどもセンターは、1964年にストローム宣教師が西成の自宅で

幼児を預かったのが始まりです。

こども達の安全で楽しい放課後を守るため、

また保護者が安心して就労できるよう地域の中に開かれた児童館です。

幼児から青年たち、障がいを持つこども達も含め、幅広い年齢層の参加者があります。

 

隣の阿倍野区西成区の間の差別意識についてや

母子家庭の子どもが多く、ダブルワークのため親にかまってもらえないこと、

貧困の問題とともに障がいをもった(発達の遅れ)子供たちと

家庭環境との関連についても話していただきました。

 

 

前島さんの語る具体的なエピソードの一つ一つが、

この同じ日本で起こっている出来事なのかと眩暈がしそうになります。 

 

行き場のないこどもたちに「居場所」をつくること。

ないがしろにされていないという体験をもち、自尊心を高めること。

最終的には地域のリーダーを育成するのが目標であるということです。

いただいた11月のイベントカレンダーは趣向に富み、

こどもたちへの愛情に満ちていました。

 

 

質問時間もふくめ1時間近くあっという間に過ぎました。

お忙しいなか、ご対応ありがとうございました。

 

 f:id:kannawadokusho:20191106172551j:plain

 

撮影は控えましたが、ここで出会った子供たちの生き生きとした表情には

驚かされました。抑圧がないというのか解放されているというのか。

きらきらと輝いていて、生命感にあふれていました。

釜ヶ崎の子どもたちは目がきれいだというのはこのことかと。

とにかく否定しない、褒める、自主性や意見を尊重するとのことでした。

 

社会福祉法人 ストローム福祉会 エリザベス・ストローム記念 山王こどもセンター : 第49回 社会貢献者表彰受賞者

 

 

 

 

f:id:kannawadokusho:20191104205018j:plain

次はのぞみ作業所に向かいます。

道行の途中途中、高橋さんが町の説明をしてくれます。

 

 

f:id:kannawadokusho:20191104205708j:plain

ここは日本最大の遊郭飛田新地とも隣り合っています。

 

 

f:id:kannawadokusho:20191104205758j:plain

f:id:kannawadokusho:20191104205846j:plain

もういまはどこを歩いているのかわかりません。

 

 

f:id:kannawadokusho:20191104205913j:plain

油断していると突如あらわれるスーパー玉出。ここは夜に買い物をしました。



4につづきます。


kannawadokusho.hatenablog.jp

 

 




 

【開催報告】哲学ツーリズム@釜ヶ崎 11.2 その2「ココルームをめざす」

 

 

今これを旅から帰って書いているのですが、

 

釜ヶ崎で得た体験と大分に戻った現実とのつながり、整合性がうまくつかめず、

 

でも安易に決着をつけてしまうのではなく、じっくり振り返り考えることで

 

矛盾を矛盾としたままとらえて、前に進みたいと思いました。

 

少しづつ書いていきます。

 

***

 

明けて11月2日当日。

 

海は凪いで空は快晴でした。

 

写真は自分が撮ったものをメインにしていますが、

 

不足分は今回一緒に参加した方から借りてアップしています。

 

 

 

f:id:kannawadokusho:20191104180033j:plain
f:id:kannawadokusho:20191104180151j:plain

f:id:kannawadokusho:20191104180302j:plainf:id:kannawadokusho:20191104180105j:plain

フェリー内で朝食をとりました。

いつもはヨーグルトだけですが、この日はがっつり食べられました。

 

 

 

f:id:kannawadokusho:20191104180438j:plain

f:id:kannawadokusho:20191104180505j:plain

大阪港着7時30分ごろ。

 

釜ヶ崎のココルームに向かいます。

 

 

f:id:kannawadokusho:20191104180534j:plain

大阪の交通は不慣れでしたが、みなさんいろいろアプリを駆使して先導してくれたので

迷うことはなかったです。

 

 

f:id:kannawadokusho:20191104202600j:plain

今回の旅でYさんの物怖じしない行動力にはだいぶ助けられました。

 旅は、長い間一緒に過ごすので、その人の性格がよくわかるようになります。

 

ツーリズムのもうひとつの側面ですね。

 

 

f:id:kannawadokusho:20191104180726j:plainf:id:kannawadokusho:20191104202530j:plain

動物園前駅から飛田商店街を歩きます。

 

 

 

 

 

f:id:kannawadokusho:20191104180940j:plain

 

ここの商店街には昭和的な喫茶がたくさんあり、朝から営業していました。

350円とか安いです。

 

朝から居酒屋もあいていました。居酒屋も350円でした。

 

f:id:kannawadokusho:20191104180835j:plain

ココルームに到着9時。

 

f:id:kannawadokusho:20191104181337j:plain

f:id:kannawadokusho:20191104181431j:plain

あいかわらずのカオス。でも居心地がとてもよい。

解放感。釜ヶ崎にあるこの解放感はなんなのだろう。

 

 

f:id:kannawadokusho:20191104181041j:plain

さきごろクラウドファンディングで掘った井戸。

水がちゃんと出ていました。

釜ヶ崎のおっちゃんの左官や土工事の技術に助けられたそうです。

 

 

f:id:kannawadokusho:20191104202450j:plain

f:id:kannawadokusho:20191105182358j:plain

メニュー表にあった困窮者ドリンク。

 

 

f:id:kannawadokusho:20191104181114j:plain

釜ヶ崎についてのガイダンスを今回アテンド役の高橋さんから受けます。

高橋さんには一日お世話になりました。

 

 

f:id:kannawadokusho:20191104181316j:plain

f:id:kannawadokusho:20191104202423j:plain

 朝の9時から夜の18時まで途中休憩を挟みつつも、

がっつり釜ヶ崎の主要な施設やポイントをめぐります。

これだけの調整でもたいへんだったと思います。

 

 


f:id:kannawadokusho:20191104202012j:plain

 

いざ出発。哲学ツーリズム@釜ヶ崎のスタート!

 

3につづきます

 

kannawadokusho.hatenablog.jp



 

 

 

【開催報告】哲学ツーリズム@釜ヶ崎 11.2 その1「大阪行きの船に乗る」

 

 

「哲学ツーリズム@釜ヶ崎」と称して有志を募り短い旅をしました。

 

 

大阪釜ヶ崎をめぐるなかでそれぞれ驚きや発見があり、

新しい世界観を獲得したり、新たな認識に到達できればと思いました。

 

大人の社会見学とも修学旅行とも言えます。

何回かに分けてレポートします。

 

哲学ツーリズムに関してはまだその要点をつかんではいませんが、

その試みへの旅にもなるでしょう。

 

今回募集をかけて人が集まるのか不明でしたし、

誰も集まらなければ一人でも行こうと思っていました。

 

蓋を開けてみれば7名集まり計画を立てていたところ台風19号で一度流れ、

さらにメンバーを変えて再募集で6名(女性2名、男性4名)の道行きとなりました。

 

残念ながら都合が合わず来られなかった方も、

この企画に賛同していただいてありがとうございました。

 


f:id:kannawadokusho:20191104175459j:plain

金曜日の夜はいつも渋滞ですが、乗船には間に合いました。

仕事を定時であがり別府港を目指しました。

別府タワー通天閣は同じ設計者です。

 

 

f:id:kannawadokusho:20191104175603j:plain

f:id:kannawadokusho:20191104175702j:plain

乗船して顔合わせ。

哲学カフェ関係者がほとんどでしたが、初めましての方もいました。

30分くらい話して、解散。

夕食、お風呂を各自とっていただいて早めにおやすみしました。

 

 

f:id:kannawadokusho:20191104175812j:plain

f:id:kannawadokusho:20191104175846j:plain

ツーリストベッド。連休前日のためか満席でした。

 

 

f:id:kannawadokusho:20191104175901j:plain

船内はネットがつながらないので、Yさんのブログからダウンロードした観光に関する論文を読んで寝ました。

 

 

その2に続きます。

 

kannawadokusho.hatenablog.jp

 

 

【開催案内】別府鉄輪朝読書ノ会 11.24 『春琴抄』

f:id:kannawadokusho:20191020210954j:plain

 

 

十一月の別府鉄輪朝読書ノ会の案内をします。

 

十一月は美しくそしてド変態の谷崎潤一郎春琴抄をみなさんと読んでいきます。むすびの店長河野さんの特製メニューもお楽しみに。

 
 

 内容紹介

盲目の三味線師匠春琴に仕える佐助の愛と献身を描いて谷崎文学の頂点をなす作品。幼い頃から春琴に付添い、彼女にとってなくてはならぬ人間になっていた奉公人の佐助は、後年春琴がその美貌を何者かによって傷つけられるや、彼女の面影を脳裡に永遠に保有するため自ら盲目の世界に入る。単なる被虐趣味をつきぬけて、思考と官能が融合した美の陶酔の世界をくりひろげる。

 
 
○課題図書:『春琴抄谷崎潤一郎新潮文庫
○日 時:11月24日(日)10:00-12:00 
○場 所:別府市鉄輪ここちカフェむすびの
○参加費:¥1,200円(運営費、むすびのさん特製の軽食、ドリンク代含む)
○定 員:12名程度(要事前申し込み、先着順)
○備 考:課題本を事前に読んで参加してください。
      11/20水までにお申込みください。