大分・別府鉄輪朝読書ノ会

大分県別府市鉄輪にて毎月開催しています課題図書形式の読書会です。

【開催案内】第十二回 別府鉄輪朝読書ノ会

12年前に夫の礼は失踪した、「真鶴」という言葉を日記に残して。京は、母親、一人娘の百と三人で暮らしを営む。不在の夫に思いをはせつつ新しい恋人と逢瀬を重ねている京は何かに惹かれるように、東京と真鶴の間を往還するのだった。京についてくる目に見え…

別府大学~文学への誘い 特別講演「温泉と文学」

先日、別府大学で開催された特別講演「温泉と文学」にいってきました。以前、この読書会にも参加していただいた澤西祐典さんをコーディネーターに、芥川賞作家の藤野可織さん、吉村萬壱さん、玄月さんの三氏が、温泉地で読みたい本などを語る楽しい会でした…

無題

「私の人生の物語などというものは存在しない。そんなものは存在しない。物語をつくりあげるための中心などけっしてないのだ。道もないし、路線もない。ひろびろとした場所がいくつか、そこにはだれかがいたと思わされているけれど、それはちがう、だれもい…

【開催報告】第十一回 別府鉄輪朝読書ノ会

こんにちは。別府鉄輪朝読書ノ会主催のシミズです。先日、第十一回目の開催をしました。課題図書は田中小実昌の『アメン父』という入手しがたい作品だったにも関わらず、多くの方に参加いただいて嬉しかったです。ありがとうございました。 自己紹介を兼ねつ…

無題

読むことが、旅であると分かれば「正しい」読みなど存在しないことがすぐに気付くはずだ。同じ場所に旅をしても、人によって経験は全く違うように、一冊の本から感じることも異なってよい。むしろ、同じ光景を、言葉を二度見る事はできないのである。だから…

無題

一冊を通して読んでも何の感動も与えなかった書物が、ある頁をふと眺めていて強烈なインスピレーションを与える事がある。この事実は、読書という営みの本質を教えている。我々の生を照らし出す言葉との出会いは、意図して得れるものではなく、我々の思いを…

無題

人が作品を選ぶのではなくて、作品が人を選ぶ。 わたしは、偶然にも、私が何かしらの接点を持つことが出来たと思われる「良い小説」について、出来うる限り良い読者であろうとし、良い反響板であろうとしました。そしてそのような努力をすることそれ自体が、…

無題

小説では表現されるすべてが「思考」なのだ。 小説家 保坂和志

【開催案内】第十一回別府鉄輪朝読書ノ会

こんにちは。主催者のシミズです。二月の別府鉄輪朝読書ノ会の案内をします。課題図書は田中小実昌の『アメン父』をとりあげたいと思います。一月は遠藤周作の『沈黙』をとりあげたところですが、キリスト教あるいは宗教について、もう一歩踏み込んで考えて…

【開催報告】第十回 別府鉄輪朝読書ノ会

シベリア寒気団の南下によりここ鉄輪でも降雪となる中でしたが第十回目の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。今回の課題本は遠藤周作の『沈黙』。第十回目にふさわしい(偶然にも漢数字の「十」がクルスを象って…)作品となりました。 はじめにみなさんに全…

無題

「小説というものは、読者を癒すよりは危機へ誘い出してほしいと思う。」 池澤夏樹(小説家、詩人、アンゲロプロス映画の字幕者)

無題

かるく、かるく…というのは、たえず父が口にしていたことだが、かるい牧師というのも、とくにそのころでははやらなかったのではないか。(中略)なにもなくてかるいこと、からっぽを父はのぞんだのだろう。そして、人をからっぽにしてくれるのは、宗教しかな…

無題

「存在しない神に祈る」田川建三 田川建三(1935年生まれ)聖書学者、著述家 1965年から1970年に国際基督教大学で助手および講師として勤め、1970年4月に「造反教官」として追放される。チャペルで礼拝のとき講壇から「神は存在しない」「存在しない神に祈る…

【開催案内】第十回別府鉄輪朝読書ノ会

新年あけましておめでとうございます。年末年始、別府鉄輪温泉は県外からの観光客が増えてにぎやかになっています。鉄輪温泉は湯が熱めなので、浸かる前にしっかり湯かけして入りましょう。そうしないとかなり湯疲れしますよー。 さて今年最初の別府鉄輪朝読…

【開催報告】第九回 別府鉄輪朝読書ノ会

年内最後となる別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。今回の課題本は多和田葉子さんの新訳によるフランツ・カフカの『変身(かわりみ)』をとりあげました。 会のはじめにこの作品の全体的な感想を聞いてみました。「グレゴールはおれのこと」「今ではグレゴー…

無題

正確な読みというものがそもそも成り立たない対象に関しては、 不正確な読みが正しいのだ、ということである。 川村二郎『アレゴリーの織物』

【課題本の紹介】カフカ『変身(かわりみ)』

内容(「BOOK」データベースより) カフカの文学は、映像的であるという印象を与えながらも一つの映像に還元できないところに特色がある。『変身』のグレゴール・ザムザの姿も言語だけに可能なやり方で映像的なのであって、映像が先にあってそれを言語で説明…

【開催報告】第八回 別府鉄輪朝読書ノ会

朝からはげしい雷雨が続いていましたが、 無事に第八回目の別府鉄輪朝読書ノ会を開催できました。 今回は土曜日の朝9時半からの変則的な時間帯でしたが、 6名の方に参加していただき、対話をしました。 今回とりあげた作品は大江健三郎氏が20代の終わりに書…

【課題本の紹介】『個人的な体験』大江健三郎

内容(「BOOK」データベースより) わが子が頭部に異常をそなえて生れてきたと知らされて、アフリカへの冒険旅行を夢みていた鳥は、深甚な恐怖感に囚われた。嬰児の死を願って火見子と性の逸楽に耽ける背徳と絶望の日々…。狂気の淵に瀕した現代人に、再生の…

【開催報告】第七回 別府鉄輪朝読書ノ会

主催者のシミズです。 日曜日に第七回目の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。 いつもより参加人数は少なめでしたが、その分じっくりと一人ひとりの話が 聴けたように思います。 この日の課題図書は保坂和志氏の『残響』でした。 複数視点による視点の切り替…

人文学と自己

なぜテロリストに自殺攻撃ができるのかと考えれば、そこに「社会のため」という自己犠牲があるのは当然の話である。「社会のため」と思い上がった人間が、障害者を殺し、医療費を喰う重病人に死ねと言い、そして若者を死に追い込むのである。それよりも、徹…

【課題図書の紹介】『残響』保坂和志

あなたに会ったのも、会わなかったのも、すべて、この世界のなかでだった―。それぞれの孤独が共鳴しあい、日常生活を映すガラスの破片のような人々の世界が語られる、夜のように美しい小説。 「BOOK」データベースより 聴こえますか。もう一人のあなたの声。…

【開催報告】第六回 別府鉄輪朝読書ノ会

主催者のシミズです。 第六回目の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。 当日はあいにくの雨でしたが、多くの方にご参加いただきました。 ありがとうございました。 今回とりあげた本は川上未映子さんの『ヘヴン』です。 胸に刺さった、ヒリヒリした、川上さん…

開催より半年経って

簡単に消化できないからこそ、読む意味のある書物がある。そういう書物の言葉は、未消化のまま読者の心に留まり続けるからこそ、長い時間をかけて、読者の思考と経験の成熟とともに、少しずつ消化され続けてゆき、読者の心の滋養となり続けていくのだ。 山本…

【開催案内】第六回別府鉄輪朝読書ノ会

こんにちは。 九月の別府鉄輪朝読書ノ会の案内をします。 課題図書は川上未映子さんの『ヘヴン』(講談社文庫)をとりあげます。 最近も殺人事件に至ったケースもありましたが、テーマは「いじめ」です。 それまでの作風から大きく転換し直球勝負で挑んだ、 …

【開催報告】第五回 別府鉄輪朝読書ノ会

第五回目の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。 今回は八月ということもあり課題本は原民喜の『夏の花』をとりあげました。 暑い中でしたがご参加いただき、それぞれの思いを聴くことができました。 観察眼の鋭さ、人間の本能、嗅覚、文章がきれい、独特で読…

【開催案内】 8/21(日)『夏の花』 原民喜

現代日本文学史上もっとも美しい散文で、人類はじめての原爆体験を描き、朝鮮戦争勃発のさ中に自殺して逝った原民喜の代表的作品集。被爆の前年に亡くなった妻への哀悼と終末への予感をみなぎらせた『美しき死の岸に』の作品群、被爆直後の終末的世界を、そ…

【開催報告】第四回 別府鉄輪朝読書ノ会

第四回目の別府鉄輪朝読書ノ会を開催いたしました。 お暑い中、12名の方にご参加いただきました。 別府周辺からも多くの初参加者の方がみえられて嬉しかったです。 今回とりあげた作品は太宰治の『グッド・バイ』です。 新潮文庫のものは戦後の短編作品がま…

読書と書物

他者と一緒に書物を読んでいて、これまでは読めなかった箇所が読めるようになるのは有益なことだが、更に有益なのは、これまで読めていたと思っていた箇所が実は全然読めてなかったことに気づけることだ。そして、不思議なことに、そう気づくことによって、…

【開催案内】第四回 別府鉄輪朝読書ノ会

被災・疎開の極限状況から敗戦という未曽有の経験の中で、我が身を燃焼させつつ書きのこした後期作品16編。太宰最後の境地をかいま見させる未完の絶筆「グッド・バイ」をはじめ、時代の転換に触発された痛切なる告白「苦悩の年鑑」「十五年間」、戦前戦中と…