対話と人と読書|別府フリースクールうかりゆハウス

別府市鉄輪でフリースクールを運営しています。また「こども哲学の時間」など

【開催案内】悩める教師のためのオンライン読書会 11.21 「教育になにを期待しますか?」

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好評のオンライン読書会です。今回対象となるのは本ではなく、あるブログの記事です。その記事を読んでご参加ください。「悩める教師たちの〜」とありますが、教師ではないけれど、一緒に考えたい方の参加もOKです。広く学校や教育について考えましょう。


ファシリテーターのコメント
「学校教育に何を期待していますか?教師や生徒、保護者、地域の方々、OB、学者、政治家…立場によってそれぞれ違うのかもしれません。今回参照する内田樹氏のブログでは市場原理化される教育について警鐘を鳴らしています。学校は企業家を養成する場所ではないし、市場原理によって淘汰されるものでもない…とすれば、教育に何を期待するのでしょうか。みなさんと一緒に考えたいと思います。」
 
 
○テーマ:「教育に何を期待しますか?」
○日 時:11月21日(土)19:30-21:30 …特に終わりは決めずに適当に散会
○場 所:各自パソコン(カメラ・マイク付属もしくは内蔵)の前へ(原則デスクトップかノートブックパソコンにて参加してください。
○方 法:Zoomを使用します。
○参加条件:事前に以下の内田樹氏のブログをお読みください。
内田樹氏のブログ:教育についてのいつもと同じ話
 
○参加費:300円*paypay他でお支払いください
○定 員:約15名程度(要事前申し込み、先着順)
○備 考:開催前日までに以下のホームページからお申込みください。
 

 

【開催案内】別府鉄輪朝読書ノ会 11.22 『過ぎ行く人たち』高橋たか子(女子パウロ会)

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十一月の別府鉄輪朝読書ノ会の案内です。
 
十一月はフランス巡礼の旅を小説にした 高橋たか子『過ぎ行く人たち』(女子パウロ会)を読んでいきます。女子パウロ会さんは初めて扱う出版社です。お楽しみに!


  
○課題図書:『過ぎ行く人たち』高橋たか子(女子パウロ会)
○日 時:11月22日(日)10:00-12:00
○場 所:別府市鉄輪ここちカフェむすびの
ファシリテーター:シミズ
○参加費:¥1,200円(運営費、むすびのさん特製の軽食、ドリンク代含む)
○定 員:10名程度(要事前申し込み、先着順)
○備 考:課題本を事前に読んで参加してください。
      11/19木までに下のホームページからお申込みください。
 
 
 

【開催報告】第五十四回 別府鉄輪朝読書ノ会『赤目四十八瀧心中未遂』

 

 

 

 

あの帽子は

わたしがころんだすきに

波にのまれてしまったのです

 

ひろってください

帽子は波にのってただよっています

ほら

すぐ手のとどくところに

あなたが一生懸命

手をのばしたのはわかっています

今日は 海の水がおこっている日

あなたをさえ 波がのみこもうとしている

けど おそれずに

あの帽子をひろってください

 

わたしが願ったのは

帽子をとりもどすこと

ではなかったけれども

 

 

新藤凉子という女の「ひかりの薔薇」(思潮社・昭和四十九年三月刊)という詩集だった。どういう女か知れないが、恐ろしい言葉をのみ込んだような気がした。

 

赤目四十八瀧心中未遂車谷長吉(文春文庫)

 

 

 

 

 

 

十月の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。

今回は車谷長吉赤目四十八瀧心中未遂』をみなさんと読んで

感想をシェアしていきました。

 

 

 

作者も主人公も言葉を正確に伝えたい人

 

一気に読んだ

 

少しずつ読んだ

 

物語に吸い込まれた

 

難しい漢字を使っているが、読みやすかった

 

怖すぎた内容、本から離れると現実に戻って安心した

 

男の人はしゃべらない。女の人が引っ張っていく世界

 

怖い世界 繊細な人 知識人 

 

なんだかんだで誰かに救われる、こういう物語のパターンがなぜあるのか問いたい

 

映画とは違う面白さがある

 

作家という業

 

日常の藪の中からの言葉、生きている人の言葉を使っている

 

文字霊

 

勤め人としてもアウトサイダーとしても生きられない立ち位置

 

境界線をただよう人 往き来する人

 

言葉のなかに生きるしかない

 

自分の意思がない。ズルイ

 

彼を羨ましいと思っている自分がいる

 

(対話のごくごこく一部を抜粋しました)

 

 

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むすびの河野さんからの特製メニューは、

 

赤目四十八瀧近くの名張市は葡萄で有名らしく、

葡萄をまるまる使ったドリンク。

 

軽食はモツにちなんだ、牛すじの味噌煮込み(土手焼き)でした。

あと鯛のお吸い物に素麺でした。豪華!

 

たいへん美味しかったです。ありがとうございました。

 

 

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ご参加ありがとうございました。

 

冨士屋さんのウスギモクセイが満開でした。

 

次回は『過ぎ行く人たち』高橋たか子(女子パウロ会)を読んでいきます。

 

 

大分合同新聞に掲載されました。10.15

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2020年10月15日付 大分合同新聞掲載 

 

 

今日の大分合同新聞に別府鉄輪朝読書ノ会が記事になっています。

なかなかのQ数の大見出し、そしてカラーで、けっこう目立っていました。

取材して記事にしていただいたWさん、ありがとうございます。

そして、その影響かブログのアクセスカウント数が振り切れている。。

 

 

せっかくの機会なので、別府鉄輪朝読書ノ会を説明しますと、

月に1回、日曜日の朝に別府鉄輪のここちカフェむすびのさんにて

読書会を開催しています。

 

読書会には大きく二つあって、

一つは自分の好きなお薦めしたい本を紹介する紹介型の読書会と、

もう一つは事前に決められた課題図書を読んで、その感想をシェアする

課題図書型の読書会で、この読書会は後者のものになります。

 

会を始めてもう4年以上になります。今まで課題図書に挙げた小説は53冊。

純文学系のものがメインです。

純文学って、読んでますか?

ビジネス本とか教養書ばかりではないですか?

純文学って、読んで何になるのでしょう?

 

たとえば夏目漱石の『こころ』を二十年ぶりに読んだときに、

作品の相貌が大きく変わっていることに驚かされます。

読む私の成熟とともに作品もまた成熟します。

十六歳には十六歳の『こころ』が、四十六歳には四十六歳の『こころ』がある。

そのような再読の機会を得ること。

すぐれた古典は再読の機会を待っています。

 

また他者の選んだ作品に初めて触れ、このような機会がなければ

生涯読むことのなかった作品との出会いがあること。

そういう偶然性に身をさらすこと。そのような場でもあります。

 

自分はこう読んだのだけど、この人はこんな読み方をしたのかという驚き。

同じ本を読んだからこそ、読みの違いが鮮明になります。

参加者の生きてきた背景が、そのまま読みに反映されるのかもしれません。

 

とはいえ、堅苦しくこ難しい会ではありません。

研究会でもありませんし、熱く文学論を戦わせる場でもありません。

単純に読んだ感想を話して、他の参加者の方の話を聴くだけの会です。

無理に話す必要はありません。聴くだけの参加もOKです。

いくつか対話のルールがあるので、それを守っていただければ問題ありません。

 

参加者は老若男女問わず、下は20代から上は70代の方まで幅広い参加者層です。

どちらかと言えば女性の参加者が多い会です。

また一番の特徴は、取り扱う作品にあわせたドリンクと軽食が

むすびの河野店長より毎回考案されて出てくることです。

そんな読書会は全国探してもなかなかないと思います。

 

もし参加してみたいという方がありましたら、

下のホームページよりお申し込みしてください。

参加条件は、決められた課題図書を事前に読んで参加することです。

参加費はドリンク・軽食付きで1,200円です。

鉄輪にぜひ遊びに来てください。コロナ対策をしてお待ちしております。

 

また、一つのテーマについて話し聴く「哲学カフェ」というのも開催しています。

たとえば、「幸せってなんだろう」とか「笑うってなんだろうか」とか。

こちらは現在オンラインでの開催がメインとなっています。

 

読書会も哲学カフェもどちらも〈対話〉することの探求に捧げられている

という点で共通しており、総称して〈対話と人と読書〉として活動しています。

こちらのホームページもリンクしておきますので、

興味のある方はどうぞご覧ください。

 

 

kannawanoasa.jimdofree.com

 

 

dialogue-oita.jimdofree.com

 

 

 

文学は実学である

 

 

日本の人文系の学者の酷さが次から次へと出てくる。こやつらは「自分は賢い!一般国民はバカ」という認識が骨の髄まで染みている。こやつらの共通点は、税金もらって自分の好きなことができる時間を与えてもらって勉強させてもらっていることについての謙虚さが微塵もないこと。橋下徹Twitterより

 

 

 

文学部・文学研究科卒業セレモニーで、文学部長・文学研究科長として式辞を読みました。急いで作ったので推敲も十分ではなく、また私の人文学観にはさまざま異論もあるかもしれませんが、とりあえず記録の意味で掲載しておきます。
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式辞

金水 敏

2017年3月22日

 

みなさま、本日はご卒業・修了まことにおめでとうございます。これから卒業証書、学位記を受け取られるみなさまにおかれましては、これまで大阪大学で過ごされた日々のことを懐かしみ、またこれから進まれる就職、進学等について希望と不安に胸を膨らませていらっしゃることと思います。

 

 さて、ここ数年間の文学部・文学研究科をめぐる社会の動向をふり返ってみますと、人文学への風当たりが一段と厳しさを増した時期であったとみることが出来るでしょう。平成25年から26年にかけて、全国国立大学で「ミッションの再定義」ということが行われましたが、文部科学省からの書き込みとして、人文社会科学系の部局に対し、組織再編・縮小を含む整理の方向が示され、「文系切り捨て政策」と騒がれたことは記憶に新しいところです。また産業界関係者の一部から「税金を投入する国立大学では、イノベーションにつながる理系に重点を置き、文系は私学に任せるべき」との発言もなされていると報道されています。

 

 これらの、文系全般に対する社会の風当たりは、むしろ皆さん一人ひとりにとっても身近な体験としてあったのではないでしょうか。すなわち、「なんで文学部に行くの」「文学部って何の役に立つの」等々と言った問いを、友人、親戚、場合によってはご両親というような身近な人々から受けた経験を持つ方は、ここにいらっしゃる皆さんの中にも決して少なくないのではないでしょうか。これを例えば「医学部」「工学部」「法学部」「経済学部」といった学部に置き換えた場合、その答えにくさという点で「文学部」の場合、答えのむずかしさが格段に違うということは明らかです。すなわち、医学部は人が健康で生活できる時間を増やすという目的を持っています。工学部は、便利な機械や道具を開発することで生活の利便性を増すという答え方ができるでしょう。また法学や経済学は、法の下での公正・平等な社会を実現したり、富の適正な再配分を目指したりなど、社会の維持・管理に役立つと答えられます。

 では、文学部で学ぶ哲学・史学・文学・芸術学等の学問を学ぶことの意義は、どのように答えたらよいのでしょうか。少なくとも、教員や研究職や出版社等を除いて、多くの皆さんが就かれる職業にも直接の関係を持つ部分は、先に挙げた学部よりはるかに少なそうです。つまり、文学部で学んだ事柄は、職業訓練ではなく、また生命や生活の利便性、社会の維持・管理と直接結びつく物ではない、ということです。

 

 この問題について、私は今のところ次のように考えています。文学部で学んだことがらは、皆さんお一人お一人の生活の質と直接関係している、ということです。私たちは、生きている限り、なぜ、何のために生きているのかという問いに直面する時間がかならずやってきます。もう少し具体的に言えば、私たちの時間やお金を何に使うのかという問いにも言い替えられますし、私達の廻りの人々にどのような態度で接し、どのような言葉をかけるのかという問いともつながります。逆に大きな問題に広げれば、日本とは、日本人とは何か、あるいは人間とはどういう存在なのか、という問いにもつながるでしょう。文学部で学ぶ事柄は、これらの「なぜ」「何のために」という問いに答える手がかりを様々に与えてくれるのです。いや、むしろ、問いを見いだし、それについて考える手がかりを与えてくれると言う方がよいでしょう。

 

 これらの問いには、簡単に与えられる答えはありません。一生かかっても解けないかも知れないし、むしろ何十年、何百年、何千年かかっても解けない問題なのだと言うべきかもしれません。もちろん、こういった問いとは無縁な生活を送ることも、今の日本ではたやすいと言えるかもしれません。美味しい食事、楽しいエンターテイメント、快適な生活環境の中で生活している限り、このような問いはむしろ不要であるようにも見えます。

 

 しかし、文学部の学問が本領を発揮するのは、人生の岐路に立ったときではないか、と私は考えます。今のこのおめでたい席ではふさわしくない話題かもしれませんが、人生には様々な苦難が必ずやってきます。恋人にふられたとき、仕事に行き詰まったとき、親と意見が合わなかったとき、配偶者と不和になったとき、自分の子供が言うことを聞かなかったとき、親しい人々と死別したとき、長く単調な老後を迎えたとき、自らの死に直面したとき、等々です。その時、文学部で学んだ事柄が、その問題に考える手がかりをきっと与えてくれます。しかも簡単な答えは与えてくれません。ただ、これらの問題を考えている間は、その問題を対象化し、客観的に捉えることができる。それは、その問題から自由でいられる、ということでもあるのです。これは、人間に与えられた究極の自由である、という言い方もできるでしょう。人間が人間として自由であるためには、直面した問題について考え抜くしかない。その考える手がかりを与えてくれるのが、文学部で学ぶさまざまな学問であったというわけです。

 

 今申し上げたことが、直ちに皆さんの腑に落ちたかどうかは分かりませんが、文学部の学問は日持ちがする、一生分、あるいはそれより遙かに長い時間効き目が続く、賞味期限が続くということは保証いたします。文学部の学問は、例え企業に就職しても、家庭に入ったとしても、一生続けることができます。お金はあまり要りません。エネルギーもさほど使わないので、エコであるとも言えます。少しの書籍と、考える頭さえあれば、たいてい間に合います。皆様どうぞ、大阪大学文学部・文学研究科で学んだことに誇りを持ち、今後ともすばらしい人生をお過ごしいただきますよう、心からお祈り申し上げます。以上をもちまして、本日の式辞とさせていただきます。

 

 

 

 

卒業・修了セレモニー式辞: SKinsui's blog

 

 

 

鉄輪温泉のウスギモクセイ

 

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咲き誇る冨士屋ギャラリーのウスギモクセイ 2020.10.11

 

 

 

ここ鉄輪温泉にある明治から続く館、冨士屋さんの庭に、

毎年今の時期、樹齢200年を超えるウスギモクセイの花が 一斉に咲いて、

辺り一帯をあまやかな芳香に染め上げる。

 

私の家でも、毎朝窓を開けるとこの香りがやさしく部屋に入ってくるのを

この時節の愉しみとしている。

借景ならず借香とでも言うのだろうか。

 

金木犀、銀木犀、薄黄木犀。

たしかにここに咲く花は薄い黄をしている。

鉄輪の猫たちにもこの香りは届いているのだろうか。

 

香りは過去の記憶と結びつきやすいが、

この香りから想起するものは何もない。

町を歩けば、この香源が気になって頭を振って辺りを探す。

 

荒川洋治さんの新刊のタイトルが『文学は実学である』だった。

すばらしい。

彼の「いままわりにある文章はほんとうに個人のためにはたらいているのか」

という文章を思い出す。

 

課題図書にするための小説を何冊か平行して読む。

十二月は決まっているけど、十一月が決まりがたく悩む。

前後の課題図書とのバランス、リズム、季節、アクチュアリティなど、

総合的に鑑みて決定していく。

 

世の中が発狂しているので、あえて発狂した小説か、もしくは鎮静する小説か。

本は邂逅。よい冒険になりますように毎月企む。

 

 

 

 

 

【開催案内】第五十四回 別府鉄輪朝読書ノ会 10.18

 

 

 

「まあまあ、ええ。あんたの腐れ金玉が歌歌いよるが。」

 

赤目四十八瀧心中未遂車谷長吉

 

 

 

 

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こんにちは。

十月の別府鉄輪朝読書ノ会の案内をします。

十月は『赤目四十八瀧心中未遂車谷長吉(文春文庫)を読みます。

僕にとっては奇跡のような小説です。作家が一生に一度しか書けないような。

エロスと魂の救済と日本語表現の極みとエンタメが全てつまっています。

 

 

内容紹介 (Amazonより)
文壇を騒然とさせた第119回直木賞受賞作。
アパートの一室で、「私」は来る日も来る日も、モツを串に刺し続けた。尼ヶ崎のはずれにある、吹き溜まりの町。向いの部屋に住む女「アヤちゃん」の背中一面には、迦陵頻伽の刺青があった。ある日、女は私の部屋の戸を開けた。「うちを連れて逃げてッ」―ー。二人の逃避行が始まる。救いのない人間の業と情念。圧倒的な小説作りの巧みさと見事な文章で、底辺に住む人々の姿を描き切った傑作。異色の私小説作家・車谷長吉の代表作。2003年に荒戸源次郎監督、寺島しのぶ出演で映画化。  


○課題図書:『赤目四十八瀧心中未遂車谷長吉(文春文庫)
○日 時:10月18日(日)10:00-12:00
○場 所:別府市鉄輪ここちカフェむすびの
ファシリテーター:シミズ
○参加費:¥1,200円(運営費、むすびのさん特製の軽食、ドリンク代含む)
○定 員:10名程度(要事前申し込み、先着順)
○備 考:課題本を事前に読んで参加してください。
      10/15木までにお申込みください。

 

参加希望の方はホームページよりお申込みください。

kannawanoasa.jimdofree.com