春さきの風 中野重治 三月十五日につかまつた人々のなかに一人の赤ん坊がいた。 朝の八時半ごろ、赤ん坊は父親と母親とに連れられて、六人の制服と二人の私服といつしょに家の前の溝板を渡つた。夏場はこの溝板がごとごというのだが、この時はすつかり凍てつ…
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