長い時間を、たった一人で過ごしてきたことに、自分が自分を哀れに思っているのだった。誰とも、何も分け合わなかった、この孤独が、自分の受けた罰かと思う。 『夜の谷を行く』桐野夏生(文春文庫) 三月の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。 今回取り上げ…
かつて漱石先生は「草枕」の中で羊羹の色を讃美しておられたことがあったが、そう云えばあの色などはやはり瞑想的ではないか。玉のように半透明に曇った肌が、奥の方まで日の光りを吸い取って夢みる如きほの明るさを啣んでいる感じ、あの色あいの深さ、複雑…
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