2023-01-01から1年間の記事一覧
なるべくちゃんとしていない、体に悪いものだけが、おれを温められる。 食べる者の顔などが分からない人たちが作った、正確な食べ物。 『おいしいごはんが食べられますように』高瀬隼子 五月の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。 今回とりあげた作品は高瀬…
日曜日に別府北部地区公民館で開催した「哲学対話de交流」講座が、 大分合同新聞の記事になっています。 わかりやすくまとめられて、開催風景のアングルも素敵です。 取材していただいた佐藤記者に感謝です。
肥前ノ旅 オワリ
雨の有田の町を歩いた。 陶祖 李参平氏が敬意を持って祀られていた。 町に必要なもの、敬意。 それがないと道に迷う。 そこではじめて雨に陶器がうつくしさを放つ。 肥前ノ旅9 旅の最後に泉山磁石場へ
長野では公民館での活動が活発らしく、 「公民館をやる」という言葉が使われているらしい。 確かに公民館は図書館と違って本のような媒介があるわけでもなく、 動詞によってでしか捉えられない施設だと思う。 でもその動詞とそのつながりが一番欠けているの…
棟方志功も気に入った風景 伊万里市民図書館の後は秘窯の里、大川内山へ。 なぜ秘窯かと言うと、鍋島藩が陶工の技術が漏れないように隔離したからである。 大陸の山水画を思わせる切り立った屏風岩の山を見て陶工たちは故郷を思い浮かべた のだろうか。冷た…
日曜日の公民館での講座は、ざっとこんな感じで進めます! ワクワク楽しみながらできるといいなと思いつつ、、 どんな方が参加するのか分からないので、想定した準備がむずかしい。。 当日のレジュメ
世界から身を退くことは個人には害になるとは限りません.…しかし一人撤退するごとに、世界にとっては、ほとんどこれだと証明できるほどの損失が生じます。失われるものとは、この個人とその同輩者たちとの間に形成されえたはずの、特定の、通常は代替不可能…
「現れの空間」は、他者を有用かどうかで判断する空間ではない. 「現れの空間」は、他者を一つの「始まり」とみなす空間、他の一切の条件にかかわりなく、他者を自由な存在者として処遇する空間である. 『公共性』齋藤純一 洋々閣での目覚め。朝食。 かわし…
アーレントは、公共的空間を「人びとが自らが誰(who)であるかをリアルでしかも交換不可能な仕方で示すことのできる唯一の場所」として定義する. 『公共性』齋藤純一 あこがれの唐津 洋々閣へ宿泊した。 雨が降っても、夜になっても、その佇まい、細部まで…
公共性は、何らかのアイデンティティが制覇する空間ではなく、差異を条件とする言説の空間である。 『公共性』齋藤純一 武雄市図書館の近くにある武雄神社を参拝して、 その奥に武雄の大楠が立っていた。 大楠に行き着くまでの道が新緑の木漏れ日に溢れすば…
公共的空間とは、自らの「行為」と「意見」に対して応答が返される空間である. 『公共性』齋藤純一 隣接する武雄市こども図書館へ。 人口5万人の小都市にこどものためだけの公共図書館があるというのはすばらしい。 地域のお父さんお母さんに利用されていた…
ところが、私たちが”privacy”という言葉を用いるとき、それはなによりもまず剥奪deprivationを意味するとはもはや考えない。 第二章 公的領域と私的領域『人間の条件』ハンナ・アレント 「私的」であると言うことは、他者の存在が失われていることを意味する…
畝が湿っている時の安心感と言ったらない。その後に晴れて、畝の表面が乾燥してきているけど、指で穴をあけると、中がまだ湿っている時、それを確認するのが好きだ。こんなことが好きだなんて、僕は知らなかった。僕は好きなものが増えた。 『土になる』坂口…
別府市教育委員会が主催する【湯のまち学びのカレッジ】の講座を担当することになりました。タイトルは哲学対話DE交流「高校生×市民」〜未来の公民館をみんなで考えよう(全3回)です。身近に高校生がいましたら、薦めていただけると嬉しいです。 哲学対話…
「港に入ったと思っていたら沖に放り出されていた」 ドゥルーズがフーコーの仕事を評して使うライプニッツの言葉。 月曜日 ・よい仕事に出会えたこと ・よいパートナーに出会えたこと ・よい趣味に出会えたこと 人生この3つのうちどれか一つあればよい人生だ…
藤さんはいいよな、おれと同じだけ残業したって家に帰ればああいう食べ物が頼まなくても出てきて、朝飯も昼の弁当も用意されていて、食べることを考えなくたって生きていける。 『おいしいごはんがおいしく食べられますように』高瀬隼子(講談社) ◆「別府鉄…
紫丁香花の大きな樹 自由が出現したのは…彼らが「挑戦者」となり、自らイニシアティヴをとり、そのことによってそれと知ることも気づくこともなしに、自由が姿を現わすことのできる公共的空間を彼らの間に創造し始めたからである。 ハンナ・アーレント『過去…
彼等は山の中にいる心を抱いて、都会に住んでいた。 『門』夏目漱石 四月の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。 満員御礼の、キャンセル待ちの回でした。 今回で7周年を迎えまして、ここまで続けられてうれしいです。 今でも毎回新しく初参加して、リピート…
静寂はたましいの栄養だ そんな言葉が頭をよぎる。たとえば山の夜、雪が音を吸い取ってしんしんとした夜なんかに ある種の静けさと対峙するにはパワーがいる。裸の自分と向き合うのだから。それはたましいにとって、とても大事なことだ。この静寂と真摯に向…
「利他」コトバンクより ① 他人に利益を与えること。自分を犠牲にして、他人のために尽くすこと。人々に功徳(くどく)、利益(りやく)を施して救済すること。※三帖和讚(1248‐60頃)浄土「自利々他円満して 帰命方便巧荘厳、こころもことばもたえたれば、不可…
あの美しい野草の名前を知りたい その草たちに囲まれ 休みたいと思っていた ここでもいいし この地球のどこか別の場所でもいい。 充分だというものはない そんな休息はない。 無邪気な小鳥たち 砂漠 朝顔が 選ばなければならない 慣れ親しんだものから離れな…
四月の哲学対話の案内です。 参加希望者は参加フォームにてお申し込みください。 ◆「哲学カフェ大分 4.15」 ※対面のみ4月は「利他」をテーマに哲学対話をしたいと思います。利他は利己の反対です。コロナ禍のなかで注目された考え方でもあります。寄附をする…
作家は、しだいに自分自身の言葉の機能を洗練してゆくことによって、あるいは、作家そのものの機能を純粋化してゆくことによって、小説を書くということを、自分が、世界にこういうふうに自分自身の内部に光をあてているんだと提示し、それによって読者とい…
ある時はひそかに過ぎた春を回顧して、あれが己の栄華の頂点だったんだと、始めて醒めた眼に遠い霞を見る事もあった。 『門』夏目漱石 ◆「別府鉄輪朝読書ノ会 4.23 」四月は夏目漱石『門』(新潮文庫)を読んでいきます。略奪婚の先に幸せはあるのか――。たま…
小説はともかく、基本的に本は難しいものでした。それを繰り返し、ていねいに読んで、それまで知らなかった語彙を知り理解することによって、生きるための指針を得たり、必要なことを学ぶ。先生は難しいことを言うものであり、それを聴いて何を言わんとして…
なにしろ、わたしが知らないうちにとつぜん何かが終ったのであり、そして今度は早くも、わたしが知らないうちにとつぜん何かがはじまっていたのである。 『挾み撃ち』後藤明生 三月の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。 今回は前回のゴーゴリ『外套』に憧れ…
こんな切れっぱしでわたしはわたしの崩壊を支えてきた 『水死』大江健三郎 2023.03.13-19 月曜日 大江健三郎の訃報をツイッターで知る。 未踏の地を歩くときに、かすかにいくあての目印となる星のような大きな大きな存在。 魂の問題をこれほどまでに文学の射…
谷々に、家居ちりぼひ ひそけさよ。山の木の間に息づく。われは うみやまのあひだ 釈迢空 2023.3.6-12 月曜日 河北秀也氏のいいちこ展の影響もあり、 フレスコモデルのいいちこ麦麹を呑んでみたら想定外に体にしっくりくる美味しさで 沼りそう。デザインも唯…
「たまには遊びにきてください」いいちこ 2023.2.27-3.5 月曜日 いい天気だった。 目に映る色彩に赤や黄色がはいってくる。 花粉症の不快感とは別に待ち望んだ季節の生のよろこばしさと直結す。 火曜日 花粉というものの不快感が気力を奪うことも。 水曜日 3…