対話と人と読書|別府フリースクールうかりゆハウス

別府市鉄輪でフリースクールを運営しています。また「こども哲学の時間」など

2023-01-01から1年間の記事一覧

カサヴェテスは決して空を見上げない

〈知識〉にとって最後の課題は、頂きを極め、その頂きに人々を誘って蒙をひらくことではない。頂きを極め、その頂きから世界を見おろすことでもない。頂きを極め、そのまま寂かに〈非知〉に向って着地することができればというのが、おおよそ、どんな種類の…

【開催案内】哲学カフェ大分 1.20

セメント町かやく舎で珈琲とUEMURA BREADさんのシュトレン ◆「哲学カフェ大分 1.20」 ※夜ではなく14時からの開催です 今回は当日みなさんが考えたい問いを集めて、その中から多数決してひとつ選び、即興的に哲学対話します。終わった後はメタ哲学カフェをし…

【開催案内】第九十二回 別府鉄輪朝読書ノ会 1.28

妻が寝てしまったあとでも、僕はまだノモンハンの戦場のことを考えていた。そこではすべての兵士たちが眠っていた。満天の星が頭上にあり、無数のこおろぎが鳴いていた。そして川の流れが聞こえた。僕はその川の流れの音を聞きながら眠りについた。 『ねじま…

【開催報告】哲学カフェ大分 12.16

3時間の時間をとって、ソクラティク・ダイアローグの手法を参考にしながら じっくりと哲学対話しました。 今回のテーマは「救われる」。 事前にこのテーマに関する問いとそれにまつわるエピソードを集めて、開始しました。 1 問いとエピソードの紹介 2 エ…

【開催報告】第九十一回 別府鉄輪朝読書ノ会

⑫どこか行ったことのない国に旅行してみる。 『自分を好きになる方法』本谷有希子 第九十一回目の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。 急に寒くなって、鶴見岳が真っ白になって、朝方キャンセルの連絡がいくつか入るなかでも、たくさんの方にご参加いただき…

田中悠輝監督の映画「インディペンデント・リビング」の鑑賞と永井玲衣さんの哲学対話

哲学は誰のものでなくさせられてきたのか 私が哲学に出会って感動したのは、その優しさ、つまり哲学は何も馬鹿にしないというところです。 永井玲衣「現代思想 鷲田清一」 別府大学の長尾先生に招かれて、田中悠輝監督の映画「インディペンデント・リビング…

小学校での哲学対話が大分合同新聞の記事になりました。

大分合同新聞 11.24付け 先日の佐伯市の小学校での哲学対話が大分合同新聞の記事として掲載されました。 講演の内容や哲学対話のことを端的にまとめていただいて、ありがとうございました。

【開催報告】哲学カフェ大分 11.25

哲学カフェを開催しました。 今回は「美味しい」をテーマにみなさんと考えていきました。 美味しいイコール体にいいのか? 体に悪いのに美味しく感じるのは何故なのか?とか、 美味しいは空間や条件によって決まるのではないのかとか、 いろんな問いが出され…

【開催報告】佐伯市の小学校で講演と哲学対話をしました!11.17

佐伯市の小学校で哲学に関する講演と哲学対話をしました! 学校内で哲学対話をすることは一つの目標だったので、とても嬉しい依頼でした。 PTAの研修部からの依頼でした。 保護者の方や先生方も集まってくれて50人ほどの集まりでした。 最初に「哲学(てつが…

【開催案内】第九十一回 別府鉄輪朝読書ノ会 12.17

でも、劇場を抜け出したあの日見た景色のお陰で、リンデは新しい自分に出会えた気がした。 『自分を好きになる方法』本谷有希子 十二月の読書会の案内です。 参加希望者はホームページからお申し込み下さい。 kannawanoasa.jimdofree.com ◆「別府鉄輪朝読書…

【開催報告】第九十回 別府鉄輪朝読書ノ会 11.19

私は誰かの美しい人だ。私が誰かを、美しいと思っている限り。 『うつくしい人』西加奈子 十一月の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。 今回とりあげた作品は西加奈子さんの『うつくしい人』。 一月にブローティガンの『愛のゆくえ』を扱ったのですが、 今回…

間が消えていくショート文化

日本史を一から学び直していて、歴史を学ぶということもまた、 個々の感性に大きく依存するというあたりまえの事実に驚かされる。 個々の感性のもようの違いにより、歴史は違った相貌を見せる、魅せてくれる。 歴史が分からなければ、今も分からない。 古代…

先生と私

周知のように王羲之の書は、肉筆といってもいずれも複製ばかりで、自ら書いた書はただの一点も残っておらず、また真偽のほども明らかではない。にもかかわらず、王羲之筆と伝えられてきた書群の彼方に浮かぶ、ひとつのかすかな映像、否、映像以前のわずかな…

【開催案内】第九十回 別府鉄輪朝読書ノ会

坂崎にとっての読書は、私たちが思うものと、違うのかもしない。 「本を置きに来るんです。吸収するだけじゃなくて、置いていくことも必要なのかもしれない、と思います。」 『うつくしい人』西加奈子(幻冬舎文庫) 十一月は『うつくしい人』(幻冬舎文庫)…

【開催報告】第八十九回 別府鉄輪朝読書ノ会 10.22

だがこの困難は、外部というよりもむしろわれわれの内部にあるのだ。第五六五信 ここでは少なくとも太陽だけはすばらしい。第五九三信 『ゴッホの手紙』テオドル宛(岩波文庫) 十月の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。 今回は芸術の秋、というのを意識し…

【開催報告】哲学対話de交流〜未来の公民館をみんなで考えよう!vol.3 10.15

今回は別府市教育委員会からの依頼である「哲学対話de交流〜未来の公民館をみんなで考えよう!」最終回の3回目でした。連日の哲学対話でしたが、こちらも大きな手応えを感じられた会になりました。 5月、8月とあって、今回10月が3回目のラスト。当初の目標と…

【開催報告】哲学カフェ大分 10.14

10月の哲学カフェ大分を開催しました。 今回は「癒し」をテーマに3時間の短縮バージョンで、 ソクラティク・ダイアローグの手法を参照しつつ哲学対話しました。 時間の節約もあり、事前に参加者のみなさんから今回のテーマに関する 問いとエピソード(具体的…

廃墟の、瓦礫の仏性

コンビニの無印コーナーにあった薄いグレーのペンをなんとなく買う。 このペンでスケジュール帳に予定を書き込むと、 なんというのか出来事性のインパクトが減って、とても心地がいい。 うっすらとその日の予定が見えるだけで、出来事の重さが消え軽くなる。…

【開催案内】哲学カフェ大分 10.14

◆「哲学カフェ大分 10.14」 前回好評だったソクラティク・ダイアローグによる哲学対話を開催します。今回のテーマは「癒し」を考えていきます。いつもより1時間多く時間をとってじっくりと考えたいと思います。みなさんの「癒し」に関するエピソードや問いを…

【開催案内】公民館de哲学対話 10.15

◆湯のまち学びのカレッジ 10.15 「哲学対話de交流 」vol.3別府市社会教育課が主催する【湯のまち学びのカレッジ】の講座のラスト第3弾です。続きの企画ですが、今回が初めての方でも流れがわかるようにしたいと考えています。哲学対話の手法を使い、地域の課…

【開催案内】別府鉄輪朝読書ノ会 10.22

アルルよりパリのテオヘ 第五四六信 手紙をありがとう、でも今度はずいぶんやきもきもした、木曜日にすっからかんになって月曜までは滅法長かった。その四日間を大体二十三杯のコーヒーとパンでつないだ、その分はこれから払わなければならない。君の間違い…

【開催報告】第八十八回 別府鉄輪朝読書ノ会 9.24

後になって証明されたとおり、自分達の初台ではついに血を見ずに終った。その主なる理由の一つは、ここいらは概して教養ある人々、所謂知識階級が多かった事である。正直な所、自分は社会主義者と同じように、この震災にあたって、所謂民衆なるものに失望し…

【開催報告】哲学カフェ大分 9.16

9月の哲学カフェを開催しました。 今回のテーマは「労働とは何か?」でした。 事前に、労働に対する問いを集めました。 端的に「問い」という形にして、差し出すことは難しさもあり、 たとえば質問と問いの違いとか、哲学的に問うとはどういうことなのかとい…

9月の別府フリースクールうかりゆハウス

◆「図書館に行く日 9.7 」○日 時:9月7日(木)○テーマ:月に一回図書館に行って、自分の興味のある本を借りる日を作ります○対 象:主にうかりゆハウスの生徒とこの講座に関心のある子どもたち(大人は参加できません)○参加費:一日利用2,500円○備 考:開催…

『皆神山』という名前の詩集

いいところもあるんだけどな そんなことなんの自慢にもならない 「皆神山のこと」杉本真維子 OPAMでの朝倉文夫展 猫の流体に魅了された朝倉文夫 詩人の杉本真維子さんが詩集『皆神山』で萩原朔太郎賞を受賞した。 皆神山は神州いや、信州にある不思議なお椀…

【開催案内】第八十八回 別府鉄輪朝読書ノ会 9.24

鄭君と自分が先ず押しひしがれた押入の間から夜具を引出していると、李君は一心にそこらを掻き起しつつ熱心な調子でこう言った。 「そんな物は後でいいから、何より本を探し出して下さい。本が一番大事なんです。本を失ったら一番困ります。それから色々なノ…

【開催報告】第八十七回 別府鉄輪朝読書ノ会 8.27

この絶望的に破壊的な爆弾が炸裂しても、その巨大な悪の総量にバランスをとるだけの人間的な善の努力が、地上でおこなわれ、この武器の威力のもたらすものが、人間的なものを一切うけつけない悪魔的な限界の向こうから、人間がなおそこに希望を見出しうる限…

夏の塩切れ

最近無気力がちで口内炎がよくできて何処かしらに不調を感じていた。二つの大きな哲学対話のファシリテーションで燃え尽きたのかとも考えていたのだが、循環農法の赤峰勝人さんが何度も口にする「塩切れ」という言葉を思い出して、自然塩を意識的に舐めたり…

【開催報告】公民館de哲学対話 vol.2

別府市教育委員会からの依頼で、 未来の公民館を考えよう!をテーマに参加者のみなさんと哲学対話しました。 先日チャレンジしたソクラティク・ダイアローグといい、 今回の公民館での哲学対話といい、結果や結論にコミットしていく対話の在り方は、 ファシ…

【開催報告】哲学カフェ大分 8.19

こんにちは。 哲学カフェ大分を開催しました。 今回はソクラティク・ダイアローグの超超短縮版で3時間かけて、 「幸福」についてみなさんと考えました。 流れとして、 1 ルール説明と簡単な自己紹介と問いとエピソードの発表(40分) 2 体験・エピソート…