年内最後となる別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。今回の課題本は多和田葉子さんの新訳によるフランツ・カフカの『変身(かわりみ)』をとりあげました。
会のはじめにこの作品の全体的な感想を聞いてみました。「グレゴールはおれのこと」「今ではグレゴールの気持ちがわかる」「ちんぷんかんぷん」「救いがない」「この訳は読みやすかった」「これが世界文学なのか」「主人公が虫に変身するだけでなく、家族全体が変わっていく物語」
主人公が穢れた虫に突然変わってしまうという物語に度肝を抜かれながらもその寓話が導く、ディスコミュニケーションや引きこもり、疎外感や孤独感など現代社会を通して読むことができる普遍性がこの作品には内在しているという話。また恋人や妻のいないグレゴールに対して「妹萌え」や「二次元コンプレックス」の指摘があり、ここにも時代を超越してしまったかのようなカフカの創造性、才能にあらためて気づかされました。
むすびの店主 河野さんから、ウルトラマンに出てくる怪物ジャミラ(元は人間で後から怪獣になる)の悲しいエピソードと今回の作品を絡めて語っていただきました。
今回のむすびのさんからの軽食メニューは、もともと洋のものであるラザニアを和風に〈変化〉させたもので、里芋のクリームソースをベースに牛すじ肉がはいっていました。美味しくいただきました。ありがとうございました。
最後にみなさんで記念撮影。ご参加ありがとうございました。
来年1月の回は遠藤周作の『沈黙』を課題本とします。
来年もよろしくお願いします。