対話と人と読書|別府フリースクールうかりゆハウス

別府市鉄輪でフリースクールを運営しています。また「こども哲学の時間」など

【開催報告】第十回 別府鉄輪朝読書ノ会

シベリア寒気団の南下によりここ鉄輪でも降雪となる中でしたが第十回目の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。今回の課題本は遠藤周作の『沈黙』。第十回目にふさわしい(偶然にも漢数字の「十」がクルスを象って…)作品となりました。

 

はじめにみなさんに全体的な感想を聞いてみました。「一気に読んだ」「以前に読んだときと感想が変わった。自分も変わったことを実感した」「世界文学にたる普遍性がある」「作者自身の葛藤を登場人物を通して表現している」「遠藤周作は変なおじさんのイメージしかなかったが、こんなに凄い小説を書いているなんて」「日本の風土に一神教はなじまないのか」「映画『地獄の黙示録』を思い起こさせる潜入譚」「後半動きがなくなりダレた」「当時の冷戦を背景としているスパイもののようだ」「スニーキング・ミッション」などなど。幼稚園やミッション系の大学や留学、また親御さんとの関係を通してキリスト教との個人史が語られる場面が多々ありました。

 

今回は小説の細部を読み解いていって味わうというよりも、キリスト教の文化や歴史、なぜ殉教するのか、日本での受容のされかた、その変容など作品の外側の知識が語られることが多く、すばらしい描写の多い遠藤周作の文章をもっと純粋に味わいたかった気もしましたが、避けては通れない予備知識でもあったと思うので、そのあたり2時間では厳しかったかもしれません。参加された方が、この作品の裾野の広さにそれぞれ得るものがあればと思いました。

 

私個人としては、最後にロドリゴが踏み絵を踏んで、転ぶことで、逆に世界のなかで個として単独に(カトリックという官僚的に管理された公的な神ではない)神とつながった(見出した)ことが全てだと思うのですが、この屈折した感じはどれくらい理解されて読まれているのかわかりません。来週公開のスコセッシ監督の映画「沈黙」でどこまでこのあたりが描写されるのか、期待したいと思います。

 

 

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ポルトガルつながりということで、ポルトガルではメジャーだというライス・プリンと遠藤周作の出演していたCM「違いが分かる男、ゴールドブレンド」のブラック・コーヒーが提供されました。人生初のライス・プリン。かなり甘かったのですが、苦めのコーヒーで中和されて美味しくいただきました。

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そして長崎といえば、ちゃんぽん!!イカシュウマイ入り!玄米おむすびは揚げ玉(狐狸庵先生より)入りでサクサクして美味しかったです。

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むすびのの田中さんに今日の軽食のコンセプトについてご説明いただきました。ちゃんぽんの麵が品切れで探すのが大変だったそうです。どれも美味しくいただきました。ありがとうございました。

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最後に集合写真をパチリ。みなさま、どうもありがとうございました。次回はキリスト教つながりで田中小実昌の『アメン父』をとりあげます。(記:志水)