対話と人と読書|別府フリースクールうかりゆハウス

別府市鉄輪でフリースクールを運営しています。また「こども哲学の時間」など

【開催報告】第十六回 別府鉄輪朝読書ノ会

 

第十六回の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。主催者のシミズです。今回は別府市で老舗のお味噌屋さんを営む坂本長平商店の坂本さんに写真を撮っていただきました。坂本さんは各地で写真の作品展を開かれています。ありがとうございました。

 

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今回の課題図書は川端康成の『みずうみ』でした。話がとびとびで混乱した、理解できなかった、著者の観察眼の鋭さに驚いた、その変態ぶりにに川端康成のイメージが変わった、登場人物が全員変、意識の赴くままに場面が転換するこの感じはデイヴィッド・リンチの映画に似ている、川端の美少女コレクション、太宰が健全に感じる、川端のシャレのならなさ、などなど思い思いの感想を語っていただきました。

 

川端の変態についての解釈(尾行とストーカーは違う。距離が大事)や様々に入り組んだ連関的な要素(湯―みずうみー貸しボウトー蛍―水木)、宮子が子宮に読める、宮沢賢治と逆のベクトル、銀平の抱える存在論的な〈かなしみ〉についてなど、さまざまな読みが展開されていきました。作者の思惑を超えた無意識を呼び込む書き方に楽しく翻弄されつつも、人間の暗部を直視するそのまなざしにゾッとする、共感ができる人、できない人、ここまで書いていいのかと思う描写の数々に言葉を失う、そんな作品でした。

 

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新潮文庫の裏表紙に書かれた紹介文。改訂前(手前)と改訂後(後)で違います。

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むすびのの店主河野さんから牛蒡茶の紹介。ごぼう花言葉は〈私にさわらないで〉とのこと。

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田中さんから今回の作品にインスピレーションを受けてつくったギョロッケ・バーガーの紹介です。川端康成のギョロギョロした目で相手を見つめるエピソードから聯想とは!

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たいへん美味しくいただきました。ありがとうございました。

 

次回8月は20日開催です。課題図書は戦争について考えたく、大岡昇平の『野火』(新潮文庫)をとりあげます。ご関心ある方はホームページよりお申込みください。

 

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