対話と人と読書|別府フリースクールうかりゆハウス

別府市鉄輪でフリースクールを運営しています。また「こども哲学の時間」など

黒田喜夫の日本語と日本

一人の詩人のトークライブのために天神に行く。

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けやき通りはなにより堆肥にもならない落ち葉が季節の感情をつくっていた。

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赤坂のホワイトスペース・ワンにて田中千智さんの個展と黒田喜夫トークライブ。絵画も詩の朗読もすばらしい夜だった。

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黒田喜夫「空想のゲリラ」出版:共和国

 

もう何日も

おれはひとりで道を歩きつづけた

背中にななめに一丁の銃をせおって

道は曲りくねって

見知らぬ村から村へつづいていた

だがその向うになじみ深いひとつの村があるのだ

そこにおれはかえる

かえらねばならぬ

目を閉じると一しゅんのうちに想いだす

森のかたち

畑を通る抜道

屋根飾り

漬物の漬けかた

意地悪い親族一統

けずり合う田地

ちっぽけな格式

そして百年も変らぬ白壁の旦那の屋敷

柄のとれたじじいの鍬よ

他人の土よ

野たれ死したおやじを

追いたてられたおふくろよ

そこにおれはかえってゆく

見おぼえのある抜道を通り

不意に銃をかまえて曲り角からおどり出る

さあ百年の恨みをはらすぞ

仇うちだ

その村は向うにある

はるかに向うに

道は見知らぬ村から村へつづいている

だが夢のなかでのように歩いても歩いてもなじみのない景色ばかり

誰ひとり通らない

犬の仔いっぴき行き会わない

おれは一軒の家に近づいて道を訊こうとした

すると家は窓も戸口もない壁だけでできた啞の家だ

別の家にかけつけた

やはり窓もない戸口もない

みると声をたてる何ものもなく

道は変な色にひかる村に消えようとする

ここは何処なのだ

この道は何処へ行くのだ

おしえてくれ

答えろ

おれは背中から銃をおろし

構えてつめよった

だが銃はばかに軽い

と ああしまった

おれは手に三尺ばかりの棒きれをつかんでいるにすぎない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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