まちをじぶんの足で歩く。
考えて、想像して、創造的に。
関西に暮らす人は「釜ヶ崎には行かないように」ということばを
耳にしたことは一度や二度あるでしょう。
暴動や寄場のイメージが強くあるのでしょうか。
そんな情報とは裏腹に、じぶんの足で歩いてみると、
あまりに正直な暮らしぶりに驚くかもしれません。
そして、道端や人々の会話のなかにひそむ物語を感じてみてください。
このまちに蓄えられた知恵とユーモアは、
生きぬくための力だと信じています。
もちろん注意も慎重さも必要ですが、一歩を踏み出してみてください。
旅するあなたに、このまちの息づかいを感じてほしいのです。
ココルーム制作「釜ヶ崎アーツガイドブック」より
ココルームを出て最初の訪問施設である山王こどもセンターを目指します。
釜ヶ崎関連の本を読んでいて何度か名前を目にした施設でした。
行く途中の商店街の風景がものめずらしく、きょろきょろしてしまいます。
不思議な明るさと活力を感じます。
ショッピング
この地域で買い物をするのにスーパー玉出の存在は欠かせません。惣菜などは非常に安く買うことができますが、品質も値段なりという人もいます。夜中に見る派手な外観と客のほとんどが高齢男性という光景はカルチャーショックを与えるでしょう。
ココルーム制作「釜ヶ崎アーツガイドマップ」より
狭い路地を入っていくと山王こどもセンターはありました。
ストローム宣教師が最初に住んだ大正時代の長屋の向かいにあります。
子どもだけでなく、大人も包括するためのおとなセンターもありました。
遊び道具や衣類、本などが寄附で集められているとのことです。
傾斜のはげしい日本家屋特有の階段をあがって二階に集まりました。
施設長の前島さんに特殊な事情を抱えた釜ヶ崎のこどもたちのことや、
学童保育の実際についていろいろとお話しを伺いました。
山王こどもセンターは、1964年にストローム宣教師が西成の自宅で
幼児を預かったのが始まりです。
こども達の安全で楽しい放課後を守るため、
また保護者が安心して就労できるよう地域の中に開かれた児童館です。
幼児から青年たち、障がいを持つこども達も含め、幅広い年齢層の参加者があります。
母子家庭の子どもが多く、ダブルワークのため親にかまってもらえないこと、
貧困の問題とともに障がいをもった(発達の遅れ)子供たちと
家庭環境との関連についても話していただきました。
前島さんの語る具体的なエピソードの一つ一つが、
この同じ日本で起こっている出来事なのかと眩暈がしそうになります。
行き場のないこどもたちに「居場所」をつくること。
ないがしろにされていないという体験をもち、自尊心を高めること。
最終的には地域のリーダーを育成するのが目標であるということです。
いただいた11月のイベントカレンダーは趣向に富み、
こどもたちへの愛情に満ちていました。
質問時間もふくめ1時間近くあっという間に過ぎました。
お忙しいなか、ご対応ありがとうございました。
撮影は控えましたが、ここで出会った子供たちの生き生きとした表情には
驚かされました。抑圧がないというのか解放されているというのか。
きらきらと輝いていて、生命感にあふれていました。
釜ヶ崎の子どもたちは目がきれいだというのはこのことかと。
とにかく否定しない、褒める、自主性や意見を尊重するとのことでした。
社会福祉法人 ストローム福祉会 エリザベス・ストローム記念 山王こどもセンター : 第49回 社会貢献者表彰受賞者
次はのぞみ作業所に向かいます。
道行の途中途中、高橋さんが町の説明をしてくれます。
もういまはどこを歩いているのかわかりません。
油断していると突如あらわれるスーパー玉出。ここは夜に買い物をしました。
4につづきます。