あの帽子は
わたしがころんだすきに
波にのまれてしまったのです
ひろってください
帽子は波にのってただよっています
ほら
すぐ手のとどくところに
あなたが一生懸命
手をのばしたのはわかっています
今日は 海の水がおこっている日
あなたをさえ 波がのみこもうとしている
けど おそれずに
あの帽子をひろってください
わたしが願ったのは
帽子をとりもどすこと
ではなかったけれども
新藤凉子という女の「ひかりの薔薇」(思潮社・昭和四十九年三月刊)という詩集だった。どういう女か知れないが、恐ろしい言葉をのみ込んだような気がした。
『赤目四十八瀧心中未遂』車谷長吉(文春文庫)
十月の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。
今回は車谷長吉『赤目四十八瀧心中未遂』をみなさんと読んで
感想をシェアしていきました。
作者も主人公も言葉を正確に伝えたい人
一気に読んだ
少しずつ読んだ
物語に吸い込まれた
難しい漢字を使っているが、読みやすかった
怖すぎた内容、本から離れると現実に戻って安心した
男の人はしゃべらない。女の人が引っ張っていく世界
怖い世界 繊細な人 知識人
なんだかんだで誰かに救われる、こういう物語のパターンがなぜあるのか問いたい
映画とは違う面白さがある
作家という業
日常の藪の中からの言葉、生きている人の言葉を使っている
文字霊
勤め人としてもアウトサイダーとしても生きられない立ち位置
境界線をただよう人 往き来する人
言葉のなかに生きるしかない
自分の意思がない。ズルイ
彼を羨ましいと思っている自分がいる
(対話のごくごこく一部を抜粋しました)
むすびの河野さんからの特製メニューは、
赤目四十八瀧近くの名張市は葡萄で有名らしく、
葡萄をまるまる使ったドリンク。
軽食はモツにちなんだ、牛すじの味噌煮込み(土手焼き)でした。
あと鯛のお吸い物に素麺でした。豪華!
たいへん美味しかったです。ありがとうございました。
ご参加ありがとうございました。
冨士屋さんのウスギモクセイが満開でした。
次回は『過ぎ行く人たち』高橋たか子(女子パウロ会)を読んでいきます。