久しぶりにシネマ哲学カフェを開催しました。
今回は2018年にカンヌの最高賞パルムドールを受賞した是枝裕和監督の
「万引き家族」を題材に、”人が人を大事にする、人に大事にされるって何だろうか”を
テーマに参加者のみなさんと対話しました。
初めに映画の感想をみなさんにお聞きしたところ、
「リラックスする感じ」や「穏やかさ」があり、デトックスした、
また「あたたかさ」「優しさ」を感じた、誰も責めたり怒る者がいない、
人を否定しない、人を欲求不満のはけ口にしていないなど、
登場人物たちが置かれている厳しい状況とは裏腹にある、理想の「家族」が
成り立っていることの不思議さが語られました。
必ずしも「血縁」が保障するわけではない、あたたかさ、
大事にすること、されること。
他人の家の子どもを叱ったりすることがなくなった現代、
無関心な世界のなかで、行き場のない人が集まり、
瞬間だが「家族」をつくる現代のメルヘン。
離散した後、亜紀はなぜ元あった家を訪れたのか。
儚い家族であったが、内実(大事にされていたという感覚)は残った。
それが、次の歩を進める力となる。そんな映画だろうか。
家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった、というタイトルの本を
見かけましたが、家族はまずその実存が先にあり、大事にしていく関係のなかで
はじめて本質をつかまえられるものなのかもしれません。
ご参加ありがとうございました。
また別の映画でシネマ哲学カフェを企画したいと思います。