対話と人と読書|別府フリースクールうかりゆハウス

別府市鉄輪でフリースクールを運営しています。また「こども哲学の時間」など

【開催報告】オンライン・シネマ哲学カフェ 7.3

 

f:id:kannawadokusho:20210624192112j:plain

 

 

久しぶりにシネマ哲学カフェを開催しました。

今回は2018年にカンヌの最高賞パルムドールを受賞した是枝裕和監督の

万引き家族」を題材に、”人が人を大事にする、人に大事にされるって何だろうか”を

テーマに参加者のみなさんと対話しました。

 

初めに映画の感想をみなさんにお聞きしたところ、

「リラックスする感じ」や「穏やかさ」があり、デトックスした、

また「あたたかさ」「優しさ」を感じた、誰も責めたり怒る者がいない、

人を否定しない、人を欲求不満のはけ口にしていないなど、

登場人物たちが置かれている厳しい状況とは裏腹にある、理想の「家族」が

成り立っていることの不思議さが語られました。

 

必ずしも「血縁」が保障するわけではない、あたたかさ、

大事にすること、されること。

他人の家の子どもを叱ったりすることがなくなった現代、

無関心な世界のなかで、行き場のない人が集まり、

瞬間だが「家族」をつくる現代のメルヘン。

離散した後、亜紀はなぜ元あった家を訪れたのか。

儚い家族であったが、内実(大事にされていたという感覚)は残った。

それが、次の歩を進める力となる。そんな映画だろうか。

 

家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった、というタイトルの本を

見かけましたが、家族はまずその実存が先にあり、大事にしていく関係のなかで

はじめて本質をつかまえられるものなのかもしれません。

 

ご参加ありがとうございました。

また別の映画でシネマ哲学カフェを企画したいと思います。