対話と人と読書|哲学カフェ大分

大分市で哲学カフェ大分を別府市で別府鉄輪朝読書ノ会を開催しています。

【開催報告】別府鉄輪朝読書ノ会 7.25

 

 

 

 

 

何週間にもわたる裁判のあいだ、ぼくは何も感じなかった。

 

 

 

 

 

 

わたしはずっと、どっちみち誰にも理解してもらえないし、わたしが何者で、どうしてこうなってしまったかということも、誰も知らないんだという気がしていたの。誰にも理解されないなら、誰に弁明を求められることもないのよ。裁判所だって、わたしに弁明を求める権利はない。ただ死者にはそれができるのよ。死者は理解してくれる。その場に居合わす必要はないけれど、もしそこにいたのだったら、とりわけよく理解してくれる。刑務所では死者たちがたくさんわたしのところにいたのよ。わたしが望もうと望むまいと、毎晩のようにやってきたわ。裁判の前には、彼らが来ようとしても追い払うことができたのに

 

 

 

『朗読者』シュリンク

 

 

 

 

七月の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。今回とりあげた作品はドイツ文学で世界的に大ベストセラーとなったB・シュリンクの『朗読者』でした。

 

以下箇条書きに、印象に残った対話内容をまとめます。

 

 

・読み終わった後に解決できないものがある

・読後もやもやがあったのをこの読書会で解消したい

・利己主義の主人公を理解する

・言葉なんか覚えるんじゃなかったと言った詩人を思い出した

・言葉を覚えることで、歴史や絶望も覚えた

・ベルクは性体験によって自信を得て、病からも恢復した

・その後のベルクとハンナの関係性。ずるい

・ハンナはベルクのことを好きだったのだろうか

・関わっていたいけど、遠い存在でいたい。

・意志の強さ、自立心の強さを感じるハンナ

・歴史と向き合うとは、どういうことなのだろうか

・朗読というのはとてもいいものだ

・ベルクはハンナのことを長い棒で遠くから突いているような感じで嫌

 

 

 

日本の戦後処理とは違う風景がドイツにはあります。その徹底さにたじろぐ、「わからなさ」と向き合う。恋愛の中に、歴史が、ナチスの記憶が突然入り込む、そして言葉によって、自分の行為の意味を知る。会のなかで、「加害者もまた被害者である」という結論には与しないという意見がありましたが、その果てに自裁があるのか、それしかないのか、終わりのない問いがたくさん残りました。

 

 

一日たって朝に、ある一人の参加者の方から「やはり、ベルクはハンナの自死へ気持ちにストップをかけるべきだったという思いに至り、珍しくご返信させていただきます。彼はハンナの再生に手を貸す手段方策を持っていたはず、そのことに情熱をそそぐべきだったとの感想を読書会を終わってふと思い…」とのメールをいただきました。

 

 

 

 

 

 

彼女はぼくのこともガス室に送っただろうか。

 

『朗読者』

 

 

 

 

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ご参加ありがとうございました。

むすびのさん特製のドイツ料理も美味しかったです。

 

 

次回八月は梅崎春生桜島・日の果て・幻化』(講談社学芸文庫)を読んでいきます。