対話と人と読書|別府フリースクールうかりゆハウス

別府市鉄輪でフリースクールを運営しています。また「こども哲学の時間」など

ぐれいぷハウス再訪 2021

 

 

今回の旅の目的は京都…ではなくて、、わが師赤井氏の運営するフリースクールに仲間と視察することであった。京都を出て、JR京都線神戸線立花駅に向かう。彼女たちはこの日の5時台の始発で向かっている予定。無事に起きられたのかな。LINEでは危うく乗り遅れそうだったの連絡が。。

 

 

うまく立花駅で合流できました。P4C(こども哲学)の参加には間に合いそうだった。

 

 

 

数年ぶりのぐれいぷハウス訪問でわくわくしていました。ぐれいぷハウスは駅から5分くらいの住宅地のなかにぽつんとある一軒家です。まさに与えられた場所で咲いた花のような居場所です。

 

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この後もつぎつぎとこどもたちがやって来ました。

 

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ファシリテーター役の中川雅道さん(ハワイ大学でP4Cを学ばれる)が、コミュニティボールの材料を準備しました。コミュニティボールはP4C(Philosophy for Children )に使われるツールで、このボールを持っている人だけが発言できることになっていて、発言したいときにこのボールを手渡されることになります。毛糸を巻く芯は通常サランラップの芯などを使うのですが、中川さんはハワイお土産?の竹でできた筒を使っていました。

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できあがりはこんな感じです。

 

コミュニティボールを使えば、話す人を指名したりするファシリテーターの役割や権力が減って、よりフラットになっていきます。また人の視線が顔よりもボールに集まりがちなので、注目が柔らかいものになります。またふわふわしているし、いじられるので気持ちが落ち着くという効果もあります。コロナ禍では使用禁止になったところも多いようですが。ちなみにボールが回ってきても、話したくないときはパスすることが認められています。

 

 

これを作るに当たって、一人は毛糸を芯に巻き、隣のもう一人は毛糸を持っていてあげます。その際に自己紹介をして、今日呼ばれたい名前や、アイスブレイクの質問(この日は最近ハマっているもの何ですか?)に答えていきます。自分の番が終わったら隣の人に渡していき、一巡するときには毛糸が巻き上がっていることが理想です。

 

はじめ30分くらいかけて、「問いだし」をしていきました。各自問いを出し合って、その中から投票をして、一つの問いに絞ります。みんなで決めた問いをみんなで考えるというプロセスをこども哲学では重視します。思考の深まりとコミュニティの醸成、その二つの深まりを目指します。考えたくない問い、つらい問いがあれば、それは除外します。目を閉じてつらい問いではないか、聞くこともあります。

 

今回選ばれた問いは「人は優しくされると優しくなるか?」でした。この問いを1時間かけて全員で深めていきました。こども哲学とは言うものの、大人と発言は遜色ありませんし、迷いがないというのか、舌鋒鋭い感じさえありました。同席したSさんは、その否定のない受容的な雰囲気に涙していました。はじめてなのに受け入れられている感がとても強くあって、僕も何度か泣きそうになるくらいでした。

 

 

ここにいる厳しい環境の中で育つこどもたちは、こども哲学の嚆矢、マシュー・リップマンの唱える探求の共同体の「批判的思考」「創造的思考」「ケア的思考」のすべてが対話の中で実現できていたことに驚かされました。

 

 

それから近所のネパールカレーでお昼のナンを食べて、こども哲学の衝撃を語って、またぐれいぷハウスに戻って、赤井さんの話と質問を夜までずっと話しをしました。その間にもこどもたちとのコミュニケーションがあり、そこからうかがい知れる個性に触れ、貴重な体験をしました。非常に去りがたく、いつまでも居たい思いを振り切って、ぐれいぷハウスを後にしました。赤井さん、長い時間ありがとうございました。

 

ぐれいぷハウスのホームページはこちら

ぐれいぷハウス – ずっと一緒にいる人がいる きみの居場所

 

 

夜、西成のココルームにチェックイン。そのまま新世界へ串カツを食べに。仲間とたくさんたくさん話をして、ココルームに戻ってもそれぞれの部屋に帰り難く、あべのハルカスの見える屋上で寒いなか話を続けました。ぐれいぷハウスと同じ事はできないけれど、同じくらいのケア的精神を持ちたいと思いました。

 

 

言語化できることもできないことも、それぞれに大きな気付きがあって、それぞれ持ち帰って大きな糧になるでしょう。

 

 

 

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旅はつづく…