が、みんなは自分の生活のことになると、「戦争」は戦争、「仕事」は仕事と分けて考えていた。仕事の上にますますのしかぶさってくる苛酷さというものが、みんな戦争から来ているということは知らなかった。
そう云えば、私は自分の生活に、全く散歩というものを持っていないことに気附いた。
小林多喜二『党生活者』
三月の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。
今回は小林多喜二『蟹工船・党生活者』をみなさんと読んでいきました。
昭和初期の話ながら労働者が中間搾取される実態など現代にもそのまま通じる話であり、今とよく似ているという感想が多かったです。
小林多喜二が拷問によって虐殺されたのが1933年の2月20日。またロシアがウクライナに侵攻して戦争が始まったのが2月25日と、現在と過去を行き来しながら、自由や戦争、正義や労働について問う読書会となりました。この小説がもつ〈アクチュアリティ〉(現実性、今日性)について、映し鏡を見るような苦しさとそしてこの作品の妙な明るさについての言及もありました。
昭和初期と現代の違いは国の若さと老い。老いてしか知らない若い読者は閉塞がデフォルトになっている。いまの若者は結婚もできない!そんな重苦しさも語られつつ。どの時代も先は見えなかったという意見もありました。
むすびのさん提供のドリンクはウクライナ、ロシアで飲まれるクワスをイメージした八朔とミントのコンポート(カンポット)でした。温かくて甘味と酸っぱさが丁度良く美味しかったです。
もう軽食を超えていますが、この日の作品に着想を得たメニューは、蟹尽くし!!
ボリュームもあって、とても美味しかったです。ありがとうございました。
今回は新潮文庫を取り上げましたが、Mさんは様々な出版社から出ている『蟹工船』を持ってきてくれました。
ご参加ありがとうございました。
今回は月刊雑誌「セーノ!」の朝活特集の取材がありました。
4月1日発売の号に掲載されるとのことで、楽しみです。
取材のご協力ありがとうございました。
次回三月は東日本大震災を題材にした作品を毎年読んでいるのですが、今年はあさま山荘事件から50年ということで桐野夏生『夜の谷を行く』(文春文庫)を読んでいきます。