対話と人と読書|別府フリースクールうかりゆハウス

別府市鉄輪でフリースクールを運営しています。また「こども哲学の時間」など

複雑化の教育論

 

 

 

僕は子どもの複雑化を素直に喜ぶことは大人のたいせつな職務の一つだと思います。

 

複雑化は計測不能である。それがとても重要なことなんだと思います。

 

複雑化する時に起きているのは量的な変化ではありません。それは「表情の変化」「手触りの変化」「雰囲気の変化」というようなものです。表情が深くなる、声の厚みが変わる、身動きの分節が変わる。

 

 

『複雑化の教育論』内田樹東洋館出版社

 

 

 

 

自分で楽曲を作って歌うということ。それは自炊に近い。心も体もすごく楽なんです。堂本剛

 

 

 

2022.5.9-15

月曜日

ボランティアのサポートしたいという方が、うかりゆハウスを訪問してくれる。

自身の息子さんも不登校の経験者だ。

息子さんは今漫画家としてキャリアをスタートしている。

以前は家を出られなかったそうだ。

社会と自分をつなぐものが、たとえ細い糸であっても、それがあるかないかは大きいので、いろんな網目を張り巡らしておきたいと思う。

 

 

 

火曜日

うすら寒い朝

 

補助金申請のためのプレゼンをする。

長年のファシリテーションの経験がこういうときに役立ったりもする。

いろんな質問に即興的に答えていく。

営業をしていたときも、即興的に答えていくのは得意だったから、

あらかじめガチガチに準備していくよりも身体にしっくりくるのだった。

 

 

即興と準備ということで思い出したことが。

中学や高校生の頃のデートで、事前にいろんなシミュレーションを頭のなかでして、

はじめから全くその通りに進まず焦ったという経験を思い出した。

デートなど予想外しか起きないし、それが恐れるのではなく楽しもうと言いたい。

 

 

 

水曜日

ある芸人や芸能人の自死の報がつづく。

老いというものと寂しさが結びつくと虚無の方へ虚無の方へ引き込まれていくのだろうか。老いと成熟を結びつけるのは簡単ではない。若さとの対比ではななく、老いそのものなかに可能性を見出すことが各人に突きつけられている。そんなことを教えてくれる場がない。

 

鉄輪の読書会では、しばらく老いをテーマにしたものを扱おうかと思う。

 

 

 

木曜日

雨。

雨だから生徒は休む。

わたしたちも休む。

本を読む。

雨音を聴きながら。

 

 

 

「雨の木」というのは、夜なかに驟雨があると、翌日は昼すぎまでその茂りの全体から滴をしたたらせて、雨を降らせるようだから。他の木はすぐ乾いてしまうのに、指の腹くらいの小さな葉をびっしりとつけているので、その葉に水滴をためこんでいられるのよ。頭がいい木でしょう。

 

「雨の木」を聴く女たち 大江健三郎

 

 

 

 

金曜日

雨。

雨だから生徒は休む。

わたしたちも休む。

本を読む。

 

 

 

・それでもずっと考え続けて、会社として「やさしく」が大事だというのは、最初に思ったことです。みんなが望むのは「やさしい会社」です。

 

・会社が遊びより楽しい場になればいい

 

『すいません、ほぼ日の経営』糸井重里日経BP社)

 

 

 

 

 

土曜日

どういう日であったのか思い出せないが、

いくつかの荷物が届いて、またいくつかの本を注文した日だったように思う。

図書館で借りた本をパラパラと読む。

 

 

 

伊勢神宮法隆寺、どちらが生命的だろうか?

 

『ゆく川の流れは、動的平衡福岡伸一朝日新聞出版)

 

 

 

 

 

日曜日

月に一度の「こども哲学の時間」を開催する。

一回切りの唯一無二のやさしい時間が流れる。

いろんな出会いや交流も生まれた。

 

 

有吉氏のラジオ、サンデードリーマーを聴く。

お笑い芸人の正しい追悼の仕方。

泣くことと笑うことが同義であるような場所が

お笑い芸人にはあるというのが羨ましく思えた。

 

 

 

オープンマインデッドであるといういうのは、「私はあなたの話に耳を傾けますよ」という他者に対する開放的な構えであるより以前に、その人自身の中ですでに対話が始まっているということです。(略)こちらの居場所がもう用意されている。

 

『複雑化の教育論』内田樹東洋館出版社