あの朝に感じためまいにも似た感覚は、ずっと昔、小学校から帰るときに経験したのとおなじものだが、自分のもっともな思い出のひとつになっている。あれはいったい何だったのだろう?女の先生がぼんやりした様子で、ほら、そよ風よ、あれが見えないの?と言ったのだ。それから八十年後、デルガディーナのベッドで目を覚ましたときに、同じ感覚を抱いた。
『わが悲しき娼婦たちの思い出』G・ガルシア=マルケス
五月の梅雨前の季節。
別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。
今回とりあげたのは、世界文学に残る作品を書き続けたガルシア=マルケスの遺作
『わが悲しき娼婦たちの思い出』
老いの問題を前に、自ら死を選ぶ人が多いなかで、
文学は老いることの豊かさ、歓びを指し示す。
大いなるイリュージョンを愛した作家が最後に描いた老境の世界に、
羨ましいという声が聞かれました。
川端康成の『眠れる美女』からインスピレーションを受けて書いたようですが、
その肌触りは随分と違うようでした。
死ぬまで恋をしていたい(谷川俊太郎)が生きるエネルギー
老いても会いたい人がいる人生
愛されるより愛すること
対等な人間関係があること
この日のむすびのさん提供のドリンクはコロンビアの「アグア・パネラ」と呼ばれる砂糖水に、飲みやすくレモンを加えたものでした。南米の風を感じました。
むすびのさん特製メニューは、コロンビアのレンズ豆のスープに、スパニッシュオムレツでした。たいへん美味しくいただきました。
ご参加ありがとうございました。
次回は、老いについて女性側から描いた傑作
『おらおらでひとりいぐも』若竹千佐子(河出文庫)を読みたいと思います。