対話と人と読書|別府フリースクールうかりゆハウス

別府市鉄輪でフリースクールを運営しています。また「こども哲学の時間」など

漂流教室

 

2013

 

 

 

涙の兆しはないが、景色からあふれてくるものに浸されている気がした。通夜の客に姿を変えて、故郷というものがあふれてくる、と思えた。

『鳥を探しに』平出隆

 

 

 

 

メカスは、自分にとってワールド・トレードセンターとは、北斎にとっての富士山のようなものだったと書いている。佐々木敦

 

 

 

 

私にとってたとえそれがどのような旅であろうとそれはいつも北へ向かってゆくものなのだ。間章

 

 

 

2023.1.16-22

月曜日

こどもたちおとなたち。

葛藤せよ。没我せよ。

 

 

「短い一生で心魅かれることに 多くは出合わない もし 見つけたら 大切に 大切に。。。」

星野道夫

 

 

 

火曜日

阪神淡路大震災。1995年

新聞配達から帰ってきた、食堂にあったテレビから地震の震度を伝えるニュース。東京からは遠かったし受験も近く、それどころではなかったけど、あの朝のことは今でもはっきり覚えていて、続いてオウムの地下鉄サリン事件とか、自分の楽しい大学生活の始まりとか、とにかくそれでも時代は「強く」しなやかさがあったと思う。

 

 

水曜日

墨で筆を使って書の真似事をするだけで、

普段のボールペンで書くときにも紙とペンが触れるときの意識の変化が生じる。

韓氏意拳の光岡氏が「先端が大事である」と言っていたのを思い出す。

 

 

 

木曜日

職人が教えるということをせず、見て覚えろというのは、「気付き」こそが唯一の変容あるいは成長を促すものだと経験的に知っているから。

子供と接していても、それは痛感する。

教えることの無力感というと大袈裟だが、本人自身が「ハッ!」とする驚きやショック以上に行動を意識を変えられるものはない。

それはある部分では自分の「死」であり、次の自分への脱皮なのだ。

 

それを促していくという意味では、哲学対話やこども哲学以外の場面でも、

私はファシリテーター(調整薬)であり続ける必要があるのではないか。

 

 

金曜日

メガネにながらくズレを感じていて、思い切ってメガネ屋で調整してもらったら見やすくなった。プロの手際の良さが潔く気持ちよかった。

 

 

土曜日

夜更けに見るプレミアリーグ

ブライトンの三苫、鮮やかなスーパーシュートを決め、夜中におもわず絶唱していまう。チョン・テセの声が素晴らしく、解説を聞くのが心地よい。引退後にもこうして呼ばれて仕事があるのがいい。

 

 

日曜日

相国寺金閣銀閣の名宝展最終日にOPAM(大分県立美術館)へ。

利休の簡潔で力強い書と楕円に押し潰れた竹掛花入れの精神性に胸打たれた。

岩澤重夫の金閣寺客殿障壁画も素晴らしかった。

 

 

 

 

 

 

夜は保坂和志氏の小説的思考塾をオンラインで視聴する。

 

小説の自由とは、分かることの外へ出ること

鳴り続けるメロディがあればいい。そこに肉声が出てくる

絵本にさつじんや事件は出てこないけど、面白いではないか

誤解から独創性が生まれる

人はなぜ宇宙のことがこんなに分かるかというと、

分かることしか分かっていないから。

 

 


雨が降り始めた。

いい夜が待っている。