何処かとんと見当もつかないほど遠くの方に、まるで世界の涯にでも立っているように思われる交番の灯りがちらちらしていた。
『外套』ゴーゴリ(平井肇訳)
二月の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。
ご参加ありがとうございました。
今回とりあげた作品は、ウクライナ出身のゴーゴリが書いた『外套』と『鼻』。
平井肇氏の名訳を楽しみながら、みなさんと読んでいきました。
シビアさと滑稽さ、ユーモアと愛惜が同居する不思議な文学空間を堪能しました。
ロシアがウクライナに軍事侵攻して1年が経とうとするなか、
「ロシア」とは何なのかという問いもありました。
人を非難するのではなく、システムを非難する、
そんなやさしい眼差しをゴーゴリに感じるとの意見もありました。
いたるところに笑いのポイントがあり、
でも馬鹿にした笑いというものではなく、
世界の根源に触れたような、主体も客体もない突き抜け方が、
私には現代でも読まれるべき価値がある思いがしています。
今回のむすびのさんのメニューは〈鼻〉からヒントを得て、
鼻につんとくる西洋わさび(ホースラディッシュ)や
鼻?の長いカジキマグロ(キハダマグロ)を使ったロシアのスープが提供されました。
たいへん美味しかったです!ありがとうございました。
次回三月はゴーゴリを愛してやまなかった作家、後藤明生の『挟み撃ち』を
みなさんと読んでいきたいと思います。