対話と人と読書|別府フリースクールうかりゆハウス

別府市鉄輪でフリースクールを運営しています。また「こども哲学の時間」など

張三李四

 

 



 

 

 

コミュニケーションの重要性と厳しさとがこの本から伝わってくる。安易に対話という言葉が用いられる今日において、大変意味深いものである。そもそも他者と関わることとは、人間が生きていくうえで避けられないことであり、またごくありふれたことでもある。しかし他者と関わるということは、決して生易しいことではなく、大変な覚悟が必要である。人と人との間には必ず暴力の生まれる可能性があるからである。

 

相手にコンタクトをとることは、自らを危険に晒すことであるともいえる。人はこの暴力性と攻撃誘発性とを自覚しなければなるまい。相手に語りかけることの真摯さと難しさが伝わってくる。主体が他者によって形成されるといった議論もまた、示唆に富んでいる。


確かに訳はよくない。拙い語学力で原書も読んでみたが、やはり困難であった。数ページ日本語にしてみたが、こなれない。そう意図された本なのだろう。しかし読んで欲しい。生きるとは他者とのかかわりの中で意味を成す(当たり前だね)と考えている私にとって、もっとも推したい本である。

 

E・レヴィナス著『存在の彼方へヴァンセンヌ中納言さんのアマゾンレビュー

 

 

 

 

 

 

2023.2.13-19

月曜日

白折のお茶が最近気に入ってよく飲んでいる。

白折とは茎の部分を利用してつくったお茶のこと。

独特の甘味があり、やみつきになっている。

 

 

 

火曜日

こども哲学を開いた。

フリースクールのこどもたちに足がかりをつけながら、

丁寧に考え対話していくということがどういうことか、

半年くらい彼等と実践してようやくつかめてきた。

 

ここのフリースクールうかりゆハウスでは下は小2から上は中1までおり、

かれらが一同となって対話がまわっていくさまはなかなか他ではないのではないのか。

 

 

水曜日

ボールをつかむ感覚、蹴る感覚、受ける感覚。

どこまで手を伸ばせば、どれくらいのスピードで走ればワンバウンドで、

あのボールを処理できるのか、これはある年齢以上になると磨かれないものらしい。

 

 

木曜日

樹氷にしろく煌めく鶴見岳が下からでもはっきり見える。

白く輝かしい。

 

 

フリースクールで最近はドッジボールが流行る。

ときにサッカーだったり、ときに鬼ごっこだったり。

引き潮満ち潮のようにある日突然興味が移っていく。

 

 

金曜日

教えている生徒さんに薦められて映画「すずめの戸締まり」を見る。

エヴァ的なビジョンがあり、宮崎駿へのオマージュもあり、

物語のベースは折口信夫民俗学のよう。

 

人がなにかしら「私」を捨てて、賢治の言うような「ぜんたい」に向かうときは

感動が生まれもするが、そこにある危険性も見逃せない。

 

 

土曜日

青色申告と格闘。

この壮大なシステムをつくりあげた叡智に感心してばかりで

手はなかなか進まぬ。

 

 

 

日曜日

別府鉄輪朝読書ノ会を開催する。

今月はウクライナ出身の作家ゴーゴリを読んだ。

『外套』をこの読書会で取り上げたいと思って数年経ち、

やっと機が熟したようだった。

 

 

朝から強風が壁や窓ガラスに吹きつける。

春一番だったと後で知る。

 

 

 

初咲き初鳴きは日記にあらわれやすいが,散りおわり鳴きおさめはあらわれにくく,おそらくはつぎのめぐりを待つことのおぼつかない者だけが見さだめ聞きとどけようとして息をつめている.

 

『累成体明寂』黒田夏子