対話と人と読書|別府フリースクールうかりゆハウス

別府市鉄輪でフリースクールを運営しています。また「こども哲学の時間」など

満腔春意

 

 

 

 

 

小説はともかく、基本的に本は難しいものでした。それを繰り返し、ていねいに読んで、それまで知らなかった語彙を知り理解することによって、生きるための指針を得たり、必要なことを学ぶ。先生は難しいことを言うものであり、それを聴いて何を言わんとしているのかを必死で考える、教育はそういうものでした。

ところがいまは違う。難しいことを言う先生は悪い、難しいことを書いている本が悪い。

 

『わが書を語る』石川九楊

 

 

 

 

2023.3.20-26

月曜日

好きなことを仕事にしても、明日が祝日だと思うと嬉しいものだ。

働くことは原罪なのかな。

 

 

火曜日

春分の日

一日中雨が降り注ぐ。

占星によると宇宙の元旦だそうだ。

春分から何かが開かれるというのは興味深い。

一日家に籠もって、いろんな構想、勉強をする。

あっという間に夜になる。

猫は傍で寝て起きて寝て起きて。

 

 

WBCメキシコ戦はクライマックスのところを見られた。

逆転サヨナラは感動的だ。

それにしても海外の野球選手の自由な雰囲気、フォームにしても所作にしても、

いいな、日本はきちっとしているなと思う。

 

 

つまり、自分以外のものの影といいましょうか、仏教についてなにも考えない、学問とか知識についてなにも考えないで、生まれ、家を持ち、子どもを持ち、老いて死んでいくごくふつうの人たちが考えていることを、考えたか、考えないか、自分の仏教の教え、思想のなかに繰り入れて考えることができたか、できなかったか。それだけが、法然あるいは親鸞と、他の当時のすぐれた坊さんとの唯一の違いです。

 

吉本隆明が語る親鸞

 

 

 

 

水曜日

朋が遠方より来る。

玄関先で長話する。

いつのまにかWBC優勝。

気持ちが良い。

霧雨。

 

 

木曜日

 

 

 

金曜日

市教委と打ち合わせ。

来年度から公民館で高校生×市民との哲学対話のシリーズ講座を担当することになって

ワクワクする。対話的な態度の涵養と探究学習を目指したい。

担当者の方とも話し合い、ずっと企画を練り続けた。

哲学や対話という言葉がもっと地域に広まってほしいと思う。

 

 

土曜日

自販機を置かないかという営業が来る。

たしかにここの周りには自販機が少なく、

温泉から出た後は何かを飲みたい人の希望に添うだろうな。

 

でもせっかくならフリースクールだし、

古本の自販機なんか置けないだろうか。

話題にもなりそうだ。

 

 

日曜日

三月の別府鉄輪朝読書ノ会を開く。

今回は後藤明生『挟み撃ち』をみんなと読んだ。

私淑する作家の作品を公に読んでいくというのは、

なかなか勇気のいるものだが、それこそが「マイパブリック」と言えるような、

真の公共空間をつくるのではなかろうか。

 

夕方西本皆文堂さんのセールで書の半紙を買う。

通うものだから顔を覚えられて、いろいろとアドバイスをいただいた。

 

 

 

大学時代に『歎異抄』に出会って以来、いつかこの思想家の言葉を書にしてみたいと考えてきましたが、その言葉に見合った書法が見当たらず、なかなか実現できなかった。

 

『わが書を語る』石川九楊