対話と人と読書|別府フリースクールうかりゆハウス

別府市鉄輪でフリースクールを運営しています。また「こども哲学の時間」など

【開催報告】第八十三回 別府鉄輪朝読書ノ会

 

 

 

彼等は山の中にいる心を抱いて、都会に住んでいた。

 

『門』夏目漱石

 

 

 

 

 

四月の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。

満員御礼の、キャンセル待ちの回でした。

 

今回で7周年を迎えまして、ここまで続けられてうれしいです。

今でも毎回新しく初参加して、リピートしてくださる方もいて、

その都度読む本を決めたり、そんな工夫を楽しんでくれているのかなと思っています。

いつもありがとうございます。

そして会場に使わせていただき、毎回趣向を凝らした料理を考えてくださる、

ここちカフェむすびのの河野さんにも感謝です。

 

 

さて、今回とりあげた作品は原点回帰の夏目漱石『門』でした。

初めて読んだ、巷にあふれている小説とは違う、御米のことがよくわからん、

勤め人として明治のサラリーマンに共感する、純文学って何?、

三部作を読んで愛情の行き着き方に驚かされた、読書できた機会を与えてくれて感謝、

希望がない、暗い。何も起こらないところが人生に似ている、言葉にならない、

表現が上手い、読みづらい、心理が風景に投影されているのがすごい、仏教用語

わからなかった、40年ぶりに小説を読んだ、静けさのある小説、暗い中にも明るさが

ある、P.ブリューゲルの絵画のよう、悪を感じさせない、優しさがある、

しっかりしろ宗助、100年前からサラリーマンはつらいよ、私も悩みがちなので共感、

事件が起こるのを待っていた自分がいる

 

 

宗助のうじうじしているところについて、否定派と肯定派に分かれたり、

御米のことを安井はなぜ妹と紹介したのか、公案で使われた言葉の謎、

社会的に外されていることの重さ、干渉し合わない夫婦の在り方、個と家(村)、

温度の低い(低くなった)夫婦の在り方や罪をどう背負うのか背負わないのかについて

いろんな意見が交わされました。

 

 

二人とも〈門〉によっては、救われず、慰藉も得ず、どこからも包括されず疎外される

そんな現代にも通じる人間像を描き出したかったのかもしれません。

 

 

 


むすびのさんの特製メニューは、日影を歩く?宗助と御米をイメージして、

陰性の植物(影で育つ)食材でできたお料理が提供されました。

かぶ、小松菜、ほうれん草、アスパラ、パセリ、タケノコ、蕗の薹、いちご、

また海底を這うホウボウとニベ。

どれもたいへん美味しかったです。ありがとうございました。

 

 

会の方は、まだまだ話し足りませんでしたが、時間切れとなってしまいました。

五月はアメトーク!の読書芸人でも取り上げられた

『おいしいごはんが食べられますように』高瀬準子を読んでいきます。

また次回もよろしくお願いいたします。