対話と人と読書|別府フリースクールうかりゆハウス

別府市鉄輪でフリースクールを運営しています。また「こども哲学の時間」など

【開催報告】第八十四回 別府鉄輪朝読書ノ会

 

 

なるべくちゃんとしていない、体に悪いものだけが、おれを温められる。

 

 

 

 

 

 

食べる者の顔などが分からない人たちが作った、正確な食べ物。

 

 

『おいしいごはんが食べられますように』高瀬隼子

 

 

 

 

五月の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。

今回とりあげた作品は高瀬隼子『おいしいごはんが食べられますように』でした。

 

(今回は料理の主題から席のレイアウトを変更しました。)

 

 

はじめに自己紹介を簡単にして、今回の小説を読んでの全体的な感想を聞かせていただきました。

 

・面白かった。楽しかった。他の作品も読んだ

・二谷が分かるが、尊敬できない人と付き合える、結婚できる?

・このタイトルは誰のための祈りの言葉なのだろう?

・2回読んだ。職場のあるあるの風景

アメリカ人ですが、読みやすく面白かった。読めば読むほど全員を嫌いになった

・自分に当てはめてみると、もやもやする。

・読んでいて、つかめない感じ

・二谷さんがわからない。手作りをもらったりするのが嫌というのはわかる

・この小説は何について考える小説なのか?わからない

・全員嫌な人。ホラー的な終わり方

・謎が多い小説

・共感しつつも、後味が悪い

・恐怖を感じた。みんな生きていて苦しいんだなあ

・初参加です。ハッピーエンドだと思う。すっきりした

・芦川さんは私としてはあり。イノセント

・読みやすかった。何回も読んだ。食べることの罪悪感とは?

・芦川さんにある憎悪とは?

・初参加です。普段は読書しませんが参加しました。共感するところとひいたところ

・後味は悪かった

 

 

感想を交わすなかで、なぜみんなこんなに芦川さんのことが気になるのか?

という問いや「正しさ」にのれない二谷さん、好きなことを選ばなかった二谷さんと

好きなことをしている芦川さんなど、二人の人物について考察が多くなされました。

 

 

 

「わたしたちは助け合う能力をなくしていってると思うんですよね。昔、多分持っていたものを、手放していっている。その方が生きやすいから。成長として。誰かと食べるごはんより、一人で食べるごはんがおいしいのも、そのひとつで。力強く生きていくために、みんなで食べるごはんがおいしいって感じる能力は、必要じゃない気がして」

 

 

 

最後ある方が、いつ自分が助ける側から助けられる側になるかわからないし、

精神的な自立があれば、助け合える関係になるのではないのかという意見が

印象に残りました。

 

 

話は尽きずタイムオーバーとなりましたが、最後に他者とどう助け合えるのか

みたいな話が出てきて、この作品のポテンシャルを引き出せてよかったなと

思いました。

 

 

 

(各席でとても会話が弾んでいて、次回からもこの席のレイアウトでいこうかなと考えています。)

 

 

今回むすびのさん提供のお料理は、作品の主題と相俟って、

みんなで「とりわける」スタイルでした!!

7年間してきて初めてのスタイルで新鮮でした。

 

これが面倒だと思う方もいれば、楽しいと思う方もいる、とは

むすびの河野さんの言葉。

 

デザートも出て、とても美味しかったです。

ありがとうございました。

 

 

 

ご参加ありがとうございました。

次回は『おいしいごはんが食べられますように』と芥川賞を争った、

年森瑛『N/A』(文藝春秋を読んでいきます。

次回は今回とは真逆の拒食と性的マイノリティがテーマです。

お楽しみに。