なるべくちゃんとしていない、体に悪いものだけが、おれを温められる。
食べる者の顔などが分からない人たちが作った、正確な食べ物。
『おいしいごはんが食べられますように』高瀬隼子
五月の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。
今回とりあげた作品は高瀬隼子『おいしいごはんが食べられますように』でした。
(今回は料理の主題から席のレイアウトを変更しました。)
はじめに自己紹介を簡単にして、今回の小説を読んでの全体的な感想を聞かせていただきました。
・面白かった。楽しかった。他の作品も読んだ
・二谷が分かるが、尊敬できない人と付き合える、結婚できる?
・このタイトルは誰のための祈りの言葉なのだろう?
・2回読んだ。職場のあるあるの風景
・アメリカ人ですが、読みやすく面白かった。読めば読むほど全員を嫌いになった
・自分に当てはめてみると、もやもやする。
・読んでいて、つかめない感じ
・二谷さんがわからない。手作りをもらったりするのが嫌というのはわかる
・この小説は何について考える小説なのか?わからない
・全員嫌な人。ホラー的な終わり方
・謎が多い小説
・共感しつつも、後味が悪い
・恐怖を感じた。みんな生きていて苦しいんだなあ
・初参加です。ハッピーエンドだと思う。すっきりした
・芦川さんは私としてはあり。イノセント
・読みやすかった。何回も読んだ。食べることの罪悪感とは?
・芦川さんにある憎悪とは?
・初参加です。普段は読書しませんが参加しました。共感するところとひいたところ
・後味は悪かった
感想を交わすなかで、なぜみんなこんなに芦川さんのことが気になるのか?
という問いや「正しさ」にのれない二谷さん、好きなことを選ばなかった二谷さんと
好きなことをしている芦川さんなど、二人の人物について考察が多くなされました。
「わたしたちは助け合う能力をなくしていってると思うんですよね。昔、多分持っていたものを、手放していっている。その方が生きやすいから。成長として。誰かと食べるごはんより、一人で食べるごはんがおいしいのも、そのひとつで。力強く生きていくために、みんなで食べるごはんがおいしいって感じる能力は、必要じゃない気がして」
最後ある方が、いつ自分が助ける側から助けられる側になるかわからないし、
精神的な自立があれば、助け合える関係になるのではないのかという意見が
印象に残りました。
話は尽きずタイムオーバーとなりましたが、最後に他者とどう助け合えるのか
みたいな話が出てきて、この作品のポテンシャルを引き出せてよかったなと
思いました。
(各席でとても会話が弾んでいて、次回からもこの席のレイアウトでいこうかなと考えています。)
今回むすびのさん提供のお料理は、作品の主題と相俟って、
みんなで「とりわける」スタイルでした!!
7年間してきて初めてのスタイルで新鮮でした。
これが面倒だと思う方もいれば、楽しいと思う方もいる、とは
むすびの河野さんの言葉。
デザートも出て、とても美味しかったです。
ありがとうございました。
ご参加ありがとうございました。
次回は『おいしいごはんが食べられますように』と芥川賞を争った、
年森瑛『N/A』(文藝春秋)を読んでいきます。
次回は今回とは真逆の拒食と性的マイノリティがテーマです。
お楽しみに。