対話と人と読書|別府フリースクールうかりゆハウス

別府市鉄輪でフリースクールを運営しています。また「こども哲学の時間」など

【開催報告】第九十七回 別府鉄輪朝読書ノ会 6.30

 

 

 

 

「俺、これから何もしなかったら、今の俺のままじゃん、これから先ずーっと」

 

『何者』朝井リョウ

 

 

 

 

 

六月の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。

今回とりあげた作品は朝井リョウ『何者』でした。

 

就活を通して、何者かになろうとする者、拒絶する者、順応していこうとする者がテーマの作品でしたが、考えさせれるさまざまな感想が聞かれました。

 

好きな登場人物、嫌いな登場人物、自分を投影できる登場人物がみなさん違っていたのが興味深かったです。

 

・学生から社会人への通過儀礼としての就活

・昔の自分を思い出した

・登場人物がみんな真面目

・この作品の魅力を知りたい

・ずっとチリチリした嫌な気持ち

・うしろから殴られたような衝撃があった

・怖かった

・痛さ、寒さがきちんと描かれている

・それらを避けている人たち

・みんな友だちごっこをしている

・二つの説教について

・他人のことばかり考えている拓人

 

「何者になるってどういうことですか?」という問いかけには、

職種に名前が付くことや周囲が求めるものになること、他者との比較があること、

「学生」を手放したときになにが残るのか、何者でもないことの不安・・

 

それぞれの人物についての意見も興味深く、光太郎はやりきっている、バランスがとれている、けどストーカーとか、瑞月の思わせぶりはなんなん?とか・・

 

裏垢や本垢についての考察も、ツイッターの使い方はみんな違っているところが面白く、そこでの人物評も考えさせられました。

 

 

今日のむすびのさんの特製メニューは「おぬし何者?」がテーマでした!

薬膳にも料理にも使われるキクラゲ、夏場が旬の冬瓜、料理として食べるのか

スイーツとして食べるのか東西で違うトコロテン、覆面レスラーのような外見の

デストロイヤーという品種のじゃがいも、これらの食材を使ったお料理でした。

たいへん美味しくいただきました。ありがとうございました。

 

 

 

 

 

何者かになってしまった者としては、

むしろ何者か(肩書き)が重要視されない読書会や哲学対話は、

社会の余白の場として、とても貴重だなと手前味噌で考えたところでした。

 

 

ご参加ありがとうございました。

 

次回は生誕100年の安部公房砂の女をとりあげます。