ただ存在するということがいかに大変か、それに耐えられないから、みんな勉強したり働いたりするのかもしれなかった。
『植物少女』朝比奈秋
十月の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。
今月は朝比奈秋さんの『植物少女』をみなさんと読んで感想を交わしました。
・植物少女というタイトルについて、なぜ植物人間ではないのか。少女とは誰なのか?
・残酷な話だと思って読み始めたが読後感はよかった
・やさしい文章
・人間って何のかという問いが読んでいる間じゅうずっとあった
・意識や心だけでなく、体へのリスペクトをもたないといけないと思った
・中心人物を誰と見るかで読み方も変わった
・空虚感が大きくなる面白さ
・構成の美しさに目を見張った
・美桜という名前のうつくしさ
・前頭葉を活性化したくて参加しました
・生と死とその間を転換する構成
・生きるとは呼吸すること
・ただ呼吸しているだけの母はもっともよく生きているかもしれない
・丁寧に書かれていて読みやすかった
・好きだなあと思えた
・自分で自分をケアしている美桜
などなど
初参加の方も、老若男女問わず、いろんな感想と意見、問いが出て、
この小説を選んで良かったなあと思いました。
わたしは禅寺に通って坐禅をしていることもあり、
呼吸(自律神経のなかで唯一自在にコントロールできる)というものに注目していて、
内山興正老師の「生命の実物を生きる」という「実物」という言葉に痺れています。
植物人間の方々がいる病棟に長く働く吉田さんが、
「我とか、欲とか、そういうものがまるっきりなくなっちゃってね。」
という言葉も興味深いです。
あとどなたかの「死んでからが人生だ」という言葉も思い出しもして、
生と死は思ったよりきれいに区分けできるものではないと気付かされました。
今回のむすびの河野さんの特製メニューは、植物人間から着想を得て、
英語だとplantではなくhuman vegetableというところから、
キャベツなどを豊富に使ったミルクベースの野菜スープに、
母をイメージしたクロックマダムでした。たいへん美味しかったです。
ありがとうございました。
ご参加ありがとうございました。
十一月は二十四日に開催します。
来月も母と娘の物語『かか』宇佐見りん(河出文庫)を読んでいきます。
また対話の場でお会いしましょう♫