一面だからこそ、もしかしたら、家族や、親友や、同僚には到達できない、その人の胸の奥の、ずっとずっと奥にあって、その人がその人である証拠のようなもの、世界でたったひとつのエンジンのようなものが駆動するのを、その音を、見たり聞いたりできるのかもしれないと思う。
『よむよむかたる』朝倉かすみ

新年一月の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。
今回とりあげた作品は直木賞候補にもなった朝倉かすみさんが書いた
『よむよむかたる』でした。
読書会がテーマの作品ということもあって、最初にアイスブレイクの質問として、
1)この読書会を知ったきっかけ
2)参加してみてどうだったか
3)『よむよむかたる』の全体的な感想
を聞いていきました。
2)では、本を「味わう」ように読みたい、どんな人がどんなふうに語るのか、こんなことを語るのがどんな人なのか知りたいなど、多様な参加目的や動機が聞かれて、こちらもいろんな気付きがありました。
そういえば振り返ってみると、ドレスコードのあった回もあったなあと。
3)は、なかなか作品世界に入り込めなかったという方と、
感動した、入り込みすぎて涙がとまらないという方に分かれたのが興味深かったです。
この読書会との比較もされながら読み進めていきました。
直木賞に選ばれなかった理由として、展開に一部疑問符がつくというコメントがあり、それがどこなのか、みんなで考えたりしました。
また「老い」というものについて、見た目は老いても心は20歳のままという実感を語ってくれた方もあり、そうすると誰にとっても「死」が遠いものであるという指摘もありました。
井上さんのキャラや言動に疑問があったりなかったり、子供の時のイメージと結びつかないといった指摘も。

今日のむすびのさん特製メニューは、作品のなかに出てくる
冷や麦、親芋のグラタンに玄米でした。
とても美味しかったです。ありがとうございました。
この読書会もみなさんいろんな思いをもって参加してくれているんだと胸が熱くなりました。私にも人生があれば、みなさんにも人生があり、そしてここでのみなさんは、せめてここだけでも固有の自分でいられる場所にできたらと改めて思ったりしました。
芸術は人生よりも大きいと思っているので、わたしも生きている限り、そんな大きな文学をこれからも紹介し、みなさんと読んでいくことに喜びを感じています。
有る程の菊抛げ入れよ棺の中 夏目漱石




ご参加ありがとうございました。
次回は2月23日、金原ひとみさんの『ナチュラルボーンチキン』をとりあげます。