桟橋を打つ波も、それを聞く人そばにいなければ、音がないのといっしょではないか?カモメの啼き声、風の歌、人の世のざわめき…もし耳に聞こえないのであれば、それはほんとうに鳴っていることになるのだろうか?生活の音を聴く健やかな耳があっても、はるか遠くでたおれた森の樹は音をたてるだろうか?
『失聴 豊かな世界の発見』ハンナ・メーカ

九月の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。
今回とりあげた作品はハンナ・メーカ『失聴』でした。
小説ではなく、エッセイを初めてとりあげました。
そして内容に即して、会の最初30分は言葉を使わず、筆談やジェスチャーでコミュニケーションしてみました。
言葉を使わないと微妙なニュアンスが伝わりにくく、伝達ミスが起こったり、わたしのファシリテーションもあったのですが、慌ただしかったのが反省点でしたが、とても楽しい時間でもありました。なんだかジェスチャーってかわいいですね。
言葉は道具で、スマホみたいに便利なんだけれども、便利すぎて失っているものがあるなあと感じました。
対話の中で出たいくつか問い。
Q 今の「聴こえ」はどんな感じですか?
Q ペットとして飼う犬と聴導犬として飼う犬との関係性の深さは違う?
Q 福音って、なんで音なの?
作品からの対話としては、
聴覚障害者の気付かれづらさにまつわるもの、作者の気の強さについて、自身の耳鳴りについての話や、ノイズをキャンセルすること、音をラベリングしてみると音のないものにも音を感じたり、日本語の擬音について(胃がキリキリ痛む)、言葉が生まれる以前の世界のゆたかさはどうだったのか、好きな音、苦手な音について、いろいろと語り合いました。レコードやマッチを擦る音など、アナログと身体との親和性が高いのかもしれません。とても楽しお時間でした。

この日のむすびのさんの特製メニューは、「耳」に関係する食材で作っていただきました。ミミガー、耳パスタ、黒木耳(くろきくらげ)、白木耳(しろきくらげ)、耳石のある鮭、耳つきのパン!たいへん美味しかったです。
ご参加ありがとうございました。
次回は10月26日(日)10時からです。
今回とのつながりで『ことり』小川洋子(朝日文庫)を読みます。
お楽しみに♪