対話と人と読書|別府フリースクールうかりゆハウス

別府市鉄輪でフリースクールを運営しています。また「こども哲学の時間」など

もし最も贅沢なことといえば、私は私の青春であなたを待っています。

 

 

 

 

在来工法の輝きは最初だけ

 

 

災害が起きると、みな声が弾む

 

 

宮崎駿

 

 

 

 

 

ポスターをフリースクールの壁に貼った。つねに問うてほしい言葉



 

 

もう十年以上も前のことになるが、安曇野で自然農を実践されている方の集まりに

参加したことがあった。

曇天で雨が降り出しそうななか、蕎麦の実を臼で挽くという外での活動があって、

そのときにある参加者の方が主催者のAさんに外に出る際、

「傘は持っていった方がいいですか?」と聞いた。

そのときAさんはたしなめるように「そんなことは自分で考えて判断してください」と

言ったのが今でも記憶に残っている。

 

 

勝手に逃げろ/人生、というゴダールの映画がある。

船が沈没しているときに船長が部下に投げかける言葉らしい。

(命令系統はもうない)勝手に逃げよ、あとは思い思いに生きよ。

 

宮崎駿の新作を見ていたとき、ゴダール感じていた。おれは。

 

 

もし最も贅沢なことといえば、私は私の青春であなたを待っています。

 

スパムメールでのAIが自動生成した日本語が詩に近づくことがある。

 

たとえば、レーモン・ルーセルのように。

 

 

作品は、全くの想像から生まれた組合せのほかは、現実のものはなにひとつ、世界と精神についてのいかなる観察も含んではならない。

レーモン・ルーセル

 

 

 

思えば、自分は「どう生きるのか」を常に問うていた青年だった。

青臭いが、青臭ささがそのままで温存できる幸せな時間だった。

そしてそれこそ(ファンタジー)が今の自分をつくり、支えている。

私は私の青春でああなたを待っているものがある。

刺さったまま今も揺れている槍があるということだ。

 

 

 

Lied Vom Kindsein
– Peter Handke

Als das Kind Kind war,
ging es mit hängenden Armen,
wollte der Bach sei ein Fluß,
der Fluß sei ein Strom,
und diese Pfütze das Meer.

Als das Kind Kind war,
wußte es nicht, daß es Kind war,
alles war ihm beseelt,
und alle Seelen waren eins.

Als das Kind Kind war,
hatte es von nichts eine Meinung,
hatte keine Gewohnheit,
saß oft im Schneidersitz,
lief aus dem Stand,
hatte einen Wirbel im Haar
und machte kein Gesicht beim fotografieren.

Als das Kind Kind war,
war es die Zeit der folgenden Fragen:
Warum bin ich ich und warum nicht du?
Warum bin ich hier und warum nicht dort?
Wann begann die Zeit und wo endet der Raum?
Ist das Leben unter der Sonne nicht bloß ein Traum?

Ist was ich sehe und höre und rieche
nicht bloß der Schein einer Welt vor der Welt?
Gibt es tatsächlich das Böse und Leute,
die wirklich die Bösen sind?
Wie kann es sein, daß ich, der ich bin,
bevor ich wurde, nicht war,
und daß einmal ich, der ich bin,
nicht mehr der ich bin, sein werde?

Als das Kind Kind war,
würgte es am Spinat, an den Erbsen, am Milchreis,
und am gedünsteten Blumenkohl.
und ißt jetzt das alles und nicht nur zur Not.

Als das Kind Kind war,
erwachte es einmal in einem fremden Bett
und jetzt immer wieder,
erschienen ihm viele Menschen schön
und jetzt nur noch im Glücksfall,
stellte es sich klar ein Paradies vor
und kann es jetzt höchstens ahnen,
konnte es sich Nichts nicht denken
und schaudert heute davor.

Als das Kind Kind war,
spielte es mit Begeisterung
und jetzt, so ganz bei der Sache wie damals, nur noch,
wenn diese Sache seine Arbeit ist.

Als das Kind Kind war,
genügten ihm als Nahrung Apfel, Brot,
und so ist es immer noch.

Als das Kind Kind war,
fielen ihm die Beeren wie nur Beeren in die Hand
und jetzt immer noch,
machten ihm die frischen Walnüsse eine rauhe Zunge
und jetzt immer noch,
hatte es auf jedem Berg
die Sehnsucht nach dem immer höheren Berg,
und in jeder Stadt
die Sehnsucht nach der noch größeren Stadt,
und das ist immer noch so,
griff im Wipfel eines Baums nach dem Kirschen in einemHochgefühl
wie auch heute noch,
eine Scheu vor jedem Fremden
und hat sie immer noch,
wartete es auf den ersten Schnee,
und wartet so immer noch.

Als das Kind Kind war,
warf es einen Stock als Lanze gegen den Baum,
und sie zittert da heute noch.


子供は子供だったころ
腕をブラブラさせ
小川は川になれ
川は河になれ
水たまりは海になれと思った

子供は子供たったころ
自分が子供とは知らず
すべてに魂があり
魂はひとつと思った

子供は子供だったころ
なにも考えず癖もなにもなく
あぐらをかいたり
とびはねたり
小さな頭に大きなつむじ
カメラを向けても知らぬ顔

子供が子供だったころ
いつも不思議だった
なぜ私は私で,あなたでない?
なぜ私はここにいて,そこにいない?
時の始まりはいつ?宇宙の果てはどこ?
この世の生はただの夢?

見るもの聞くものかぐものは
この世の前の世の幻?
悪があるってほんと?
悪い人がいるってほんと?
いったいどんなだったー
僕が僕になる前は
僕が僕で亡くなった後―
僕はいったい何になる?

子供は子供だったころ
ほうれん草や豆やライスが苦手だった
カリフラワーも今は平気で食べる
どんどん食べる

子供は子供だったころ
一度よその家で目覚めた
今はいつもだ
昔はたくさんの人が
美しく見えた
今はそう見えたら僥倖
昔ははっきりと
天国が見えた
今はぼんやり予感するだけ
昔は虚無など考えなかった
今は虚無におびえる

子供だったころ
子供は遊びに熱中した
今はあの熱中は自分の仕事に追われるときだけ

子供が子供だったころ
リンゴとパンを食べてればよかった
今だってそうだ

子供は子供だったころ
ブルーベリーがいっぱい降ってきた
今だってそう
クルミを食べて舌を荒らした
今も同じ
山に登る度にもっと高い山にあこがれ
町に行くたびにもっと大きな町にあこがれた
今だってそうだ
木に登りサクランボを摘んで
得意になったのも
今も同じ
やたらと人見知りをした
今も人見知り
初雪が待ち遠しかった
今だってそう

子供は子供だったころ
木をめがけてやりなげをした
刺さったやりは今も揺れている

 

 

ameblo.jp

 

 

宮崎駿は誰よりも若かった。

最初のワンカットから涙が出た。

思い切りバットを振りまくった。

世界は君に渡された。

勝手に逃げろ、人生。

終幕、ありがとうと心の中でつぶやいた。