対話と人と読書|別府フリースクールうかりゆハウス

別府市鉄輪でフリースクールを運営しています。また「こども哲学の時間」など

エッセー

わかりあうための対話(その8)〜more than words

イルカの交信がかれらのなき声によってはなされないで、音と音のあいだにある無音の間の長さによってなされるという生物学者の発表は暗示的だ。 武満徹『音、沈黙と測りあえるほどに』 今まで書いてきた内容と相反するかもしれません。 わたしは言葉による哲…

わかりあうための対話(その7)〜わたしたちはお互いに〈確認する〉ことができる

哲学対話に関する本は、ここ10年でたくさん出版されてきました。どれを読んでも、学びや気づきがわたしにはあるのですが、哲学対話をより深めていくためにインスピレーションを得たのは、むしろ哲学対話以外の著作でした。たとえば、今回紹介するカウンセリ…

わかりあうための対話(その4)〜補、感情を表す語彙を増やす

私もそうですが、日本人は感情表現をあまりしないように思えます。特に負の感情は抑えつける。周囲に波風が立つからでしょうか。 NVC(Non Violent Communication)では、自身の感情を的確に言い表す力をつけることを重要視し、感情を表す語彙を増やすように…

哲学エッセイ「たちどまる練習〜哲学対話のある風景」⑦ラスト

☆大分合同新聞社さんのGXエデュケーションにて、哲学エッセイ「たちどまる練習〜哲学対話のある風景」の最終です。今回は社会の余白と哲学対話の終わり方、問いを持つことについて書きました。お読みいただき、ぜひご感想を聞かせてください。 出版すること…

哲学エッセイ『たちどまる練習』⑤

大分合同新聞社さんのGXエデュケーションにて、哲学エッセイ「たちどまる練習」の5回目を寄稿しました。 タイトルは「真理を語る勇気(パレーシア)」です。私の大好きな漫画『チ。-地球の運動について-』に触れながら、対話における自己開示や告白の勇気に…

哲学エッセイ『たちどまる練習』4

大分合同新聞社さんのGXエデュケーションにて哲学エッセイを寄稿しました。 今回は『魂を救え!』と題して、現代人の魂のゆくえについて、 踏み込んで書いています。 (編集者からは重いと言われがちなので、次回は軽いものを…) お読みいただいて、ぜひ感想…

お正月にシュタイナー十二感覚論を学ぶ

ニドムさん主催、喫茶Piricaにて「シュタイナーの12感覚論」を学ぶ講座を受けました。 シュタイナーについてはいくつかの著作をかじり読んだりしていても、いまいち芯に触れた理解が足りないと感じ、それでいて重要性だけはわかっているつもりだったので、友…

謹賀新年 2025年 元日

2024 フリカエリ

今年最後の坐禅。 四月に羯諦寺さんを訪問して、坐禅と出会ったのが今年一番の革命的な出来事かもしれない。 身体を通して自分(世界)と出会い直す。また途上の途上だけど。 考えない坐禅と考える哲学対話はまったく真逆のことなのに、とても近しいものを感…

哲学エッセイの寄稿

大分合同新聞社GXエデュケーションさんに「ある光」と題した哲学エッセイを寄稿しています。今回は子どもの「神様はいるの?」という問いを受けて、この難問について考え書いています。ご笑覧ください。 https://www.oita-press.co.jp/gxeducation/2024/12/2…

エッセイ『たちどまる練習〜哲学対話のある風景②』

大分合同新聞社のGXエデュケーションというサイトに「たちどまる練習〜哲学対話のある風景」というエッセイを寄稿しています。 月1で更新していく予定です。今回は、自分と哲学の始まり、勉強やワンダーについて考えつくまま好きに書いています。ご笑覧くだ…

書くことは生きること。生きられること

大分合同新聞社GXエデュケーションへのエッセイ第1章の文章が校了となって、ほっとする。わたしには難しいと思ってないのだけど、難しい言葉だとしてわたしの語彙が展開できないのがなかなか辛かった。たとえば、深淵とか驚愕とか間隙といった言葉は、全部平…

エッセイの連載が始まりました!

! 大分合同新聞社さんのWEBサイトGXエデュケーションにて、 コラムを担当することになりました。 わたしにとっては初めてのエッセイ〈試み〉であり、書くことによって 哲学対話の世界をもっと深く考え、そして遠くに広げていきたいと思います。 ブログに書…

玖珠町立学びの多様化学校で子どもたちと哲学対話をしました。

玖珠町立学びの多様化学校で、子どもたちと哲学対話をしました。9年生、7,8年生、小学部とそれぞれ45分ずつ、途中給食をいただき、1日かけて実践しました。写真撮影やフォローをうかりゆハウスのあやこさんに手伝っていただきました。 たくさんのオーディエ…

さまざまな8.15 破夏(hage)

破夏として母と歩む孔雀かな 「霊果」安井浩司 終戦へとむかうお盆のこの時期が好きだ。 内省的でありたいと思う。 いろんな意味で。 父と母の背中をみるのはあと何回だろうかとも思う。 私自身もこの坂を歩くのは何回だろうかとも思う。 この一週間の夏休み…

Real Life Gold Medals

対話的合理性に必要とされるのは、一方で人を結びつける共感と愛であり、他方で、笑いである。 『人は語り続けるとき、考えていない』河野哲也 大分合同新聞社のGXエデュケーションから哲学対話についてのインタビューを受けた。 ライターさんは以前UEMURA B…

あっは ぷふい

有る程の菊投げ入れよ棺の中 漱石 東京時代に少し親交のあった中村靖日さんが亡くなられたとの報をヤフーニュースで知る。まだ無名だった頃、一緒に中央線で帰って映画について戦争について語り合ったのは20年前くらい。俳優もやり監督もしたいと言っていて…

朋遠方より来る有り亦楽しからずニャ

「朋遠方より来る有り亦楽しからずや」の意味は? 「遠くから友人が来てくれて一緒に酒を飲むことは何と楽しいことなのだろう」と解釈していたが、これは間違いで、孔子は、「学問をしてそれを自分のものとして、知識が豊かになれば、道を同じくする友人が遠…

自分の人生をどう生きたいかが民主主義

・ 勉強をしていなかったA君は隣の席の子の鉛筆がなぜ短いのか理解できなかったが、自分が勉強するようになって鉛筆が減るのを知ってなるほどと思ったという話をしてくれた。 ・ この前の哲学フェの参加者の声を本人の了解いただいて載せる。 自分は共感を大…

【開催報告】内省的哲学対話 5.11

……人生とは、あるいは生活史とは、要するにそれはそのつどの行為選択の連鎖である。そのつどその場所で私たちは、なんとかしてより良く生きようと、懸命になって選択を続ける。ひとつの行為は次の行為を生み、ひとつの選択は次の選択に結びついていく。こう…

【開催報告】内省的哲学対話 5.3

空を見てよかった 闇とも 光とも いえない もう 内とも 外とも わからない深さのなかに 結び付きを とりもどす 内藤 礼 パレーシア 率直に話すこと、じぶんを見せることは、じぶんへの関係、他者への関係、話すことを通して明らかにされることがらへの関係、…

坐る、坐らせていただく

ここ2日は連続して羯諦寺に朝通い、坐って、英語で他の海外の人たちと話し帰る。 坐るごとに上達していく。 坐るに上達もあるのか。 集中の度合いというのか、深まり方、スイッチの入り方。 いつもは窓を開け放ち外を向いていたが、今日の会では人と人で向き…

臨書・爨宝子碑(さんぽうしひ)

今日の風蘭さんの書道教室は、中国東晋代の義熙元年(405年)に建てられた地元豪族の墓碑銘「爨宝子碑(さんぽうしひ)」。今は中学校内に保存されているようです。 *** 隷書のような波磔などが見られますが、楷書のように正方形の字形で、隷書と楷書の中…

臨書:開通褒斜道刻石

風蘭さんの書道教室では直接「古隷」を臨書の題材として選ばなかったが、個人的に漢代の磨崖に刻され二千年の風化に耐えた「開通褒斜道刻石」に強く惹かれるものがあり、いろいろと調べたり、試みに自分でも半紙に書いてみたりした。線がとても難しくて面白…

門と非門

日出町の羯諦(ぎゃてい)寺※に赴く。10年位前から行きたいと思っていて今回遂に念願叶い、「ひじはく」というイベントの関連でお邪魔した。欲望はいつか辿り着く。 「ひじはく」大分県日出町ならではの「食・自然・歴史文化」を満喫するとっておきの時間に…

ききとりうるかぎりの

日出町の魚見桜と菜の花と雨 わかったな それが 納得したということだ 旗のようなもので あるかもしれぬ おしつめた息のようなもので あるかもしれぬ 旗のようなものであるとき 商人は風と 峻別されるだろう おしつめた 息のようなものであるときは ききとり…

声から声へ、肉声の文化を

前回の哲学カフェに参加された20代のAさんから感想をいただいたので、本人に了解を得てここでシェアします。 「テーマについてみんなで考えていくこと自体ももちろん楽しかったのですが、答えのないこと・思考を深めたところで利益につながるか分からないよ…

対話空間のオラリティ

ベルリンの壁が壊れたときも、とシュテファンがいった。 「ぼくはタクシーの運転手。夜、一人のお客さんを乗せて、東に入りました、東は入ったこともなくて。お客さんもぼくも。それで迷いました。明け方になってやっと見つかりました。その通りは、入ってい…

石鼓文の臨書から

何かを作ることは必ず、新たな、別の現実を生み出すことだと考えます。なぜならそこには、かつて存在しなかったものが生まれるからです。 『架空線』澤直哉(港の人) 今月の風蘭さんの書道教室は篆書の臨書。石に刻まれた文字、石鼓文を臨書する。線の質、…

立春吉日、藍のよろこび

立春の吉日の日に書家の風蘭さんのワークショップと書のライブを楽しむ。よろぷぷさんの演奏とジュン・チャンさんの舞いの中での風蘭さんのライブ書。 第一部のラピスラズリや藍の青い墨を用いたワークショップでは、形にとらわれない書、書以前の形態、筆と…