対話と人と読書|哲学カフェ大分

大分市で哲学カフェ大分を別府市で別府鉄輪朝読書ノ会を開催しています。

エッセー

伯林の瞬間

2002.10 Seoul 街の猥雑さは誰がつくるのだろう 音のうまれるときは、人間の内部にもからっぽな空間がある。心にじゃまされずに音に気づき、音のはこびをほとんど意思の力で消えるまでたどる。音をつくる身振りは訓練をかさねて、意識からはなれていく。フィ…

パピルスからPDFまで

2002.10 Seoul 日本ではもう舗装されていない路を見つけるのは難しい この本のタイトルをどうしようかとあれこれ考えつくしたあとに、私たちは正しいタイトルにいたりついたのだろうか。 『建築する身体』荒川修作+マドリン・ギンズ 2021.9.6-12 月曜日 昨…

空蝉 うつせみ

2002.10 Seoul 裏路地は終始猥雑ではあったが、妙に人を落ち着かせるものがあった 主体は、それ自体が解体されることなしには、そしてその結果対象が際限のない一連の移動へと逃れていくのを見ることなしには、欲望することはできません。 『自我』ラカン 20…

Comme à la radio ラジオのように

ラジオの事前収録をしました。 OBSのビルは197号線沿いにあり、いつも素通りしてばかりだったけど、 昨日は初めてスタジオ内に入りました。 ディレクターのイイクラさんと対話形式で進行して、 自分の活動の思いや趣旨を語りました。 イイクラさんもまた僕と…

もうギターは聞こえない

2002.10 Seoul 屈曲し続ける迷路のような路地を疲れを知らぬまま歩きに歩いた すべて成熟は早すぎるよりも遅すぎる方がよい。これが教育というものの根本原則だと思う。 『春宵十話』岡潔 一週間 8.23-29 月曜日 吉村萬壱先生とツイッターでやりとりする。別…

Black girl combing her hair

2002.10 Seoul 未知の国の朝の出勤風景のなかでわたしは彼らと同じ方向を歩いた。 行動の中心であるべきさまざまな人物が、諸事物が出現する多元的な質の差異のうちに入り込み、それらの事物と相互に浸透し始めるような世界は、笑いに満ちている。 『小津安…

風は完璧に私を比喩とした。

2002.10 Seoul 壁の影が濃かった。壁から壁へ飽きることなく歩いた 人はどうして道を失うことの焦燥と脱出への冀求のみを語ってきたのだろうか、と考え始める。壁から壁へ、敷石の起伏と屈折に身をゆだねながら歩き続けているかぎりほとんど無限に歩くことの…

くたびれた色気

2002.10 Seoul 町や人が活気に充ちているというより、いわく言いがたい疲弊を感じたが、よれたワイシャツや町の傾いた看板にくたびれた色気というものがあった。梶山季之が『性欲のある風景』で描いた高野山別院の大伽藍と色街が背中合わせにあった極楽坂の8…

8.6

大江健三郎『アトミック・エイジの守護神』と金在南『暗やみの夕顔』を読んだ。集英社の戦争×文学という一連のアンソロジー・シリーズは本当にすばらしいと思う。最初に原民喜『夏の花』。これ以外にない。2016年の8月の読書会で『夏の花』をとりあげた回は…

Never say never again / 次はない、なんて言わないで

2002.10 Seoul 知らない土地に見覚えのある雨が降った 偉大な思想家の思索の全貌を薄く広く要約的に紹介するだけの「入門書」は、結局、何に対しても読者を「入門」させてくれない。 神学者 山本芳久 月曜日 昨日の読書会に参加された方から、1日置いて考え…

Against the Day / 逆光

2002.10 Seoul 朝の鮮やかな国で この日通学途中の女子学生のスカートを翻らせた파람 パラム(風)はどこにいったのだろう どの道を行っても道ごとに落日があると知っていて,それを見たいのだかよけたいのだか,逆光の防砂林をぬけて目つぶしを射てくるものに…

人が待ち時間に空を見上げなくなったから、UFOの目撃情報が減った

私は「青く高い空」の章では、人が戦場でたおれるとき青い空を恋しがり、あそこに幸福があったと思うということについて話した。 小島信夫『私の作家遍歴』 2002.10 Seoul 一週間 月曜日 ウカリユハウスの壁面の塗装が大方終わる。思ったより白く輝いていて…

エリ・エリ・レマ・サバクタニ

ここにすべてがあるから、わたしは書くために遠くまで行く必要はない。 辻山良雄 鉄輪温泉渋ノ湯の裏手にある月を象った碑。どういう意味があるのか分からない 一週間 月曜日 暑い、蒸す、これはもう夏だ。クーラーつける。 昨日の韓氏意拳の稽古の残響、筋…

青い卵、青い船。

なにはともあれ日記者は日記することで生きのびなければならない. 『累成体明寂』黒田夏子 鉄輪温泉渋ノ湯の裏にある、太陽を表した碑 一週間 月曜日 涼しい。雨曇り。 ブラジルの熱帯雨林に住むヤノマミ族(人間という意味)には雨の言葉が五十を超えるとい…

One More Light

基本的に受け身を取れるのは、受け身を取れるように投げているからですよね。 光岡英稔 一週間 月曜日 夏至の日。晴れた夏至の日というのはあまり記憶にない。せっかくならと太陽を浴びたくて、無意味にあてもなく近場をドライブする。窓から入ってくる風が…

裸女のいる隊列

伝わらなくても、自分の中で生まれ発せられたことばは、とおとい。 伝わらないことばほど、あなたの中でしか生まれないことばで、なおさら、とおとい。 伝わることばがすぐれているというわけでは、ない。 それは便利だが、伝わらないことばには、そのことば…

腐草為螢(くされたるくさほたるとなる)

花があちこちに咲いて草が生い茂っている季節は、猫にとって世界はどんな匂いの集合体になっているのだろうか。 『明け方の猫』保坂和志 一週間 月曜日 哲学カウンセリング、哲学相談について調べる。 積ん読のままになっているピーター・B .ラービ『哲学カ…

夜の靴を探して

堕落した情報があるのではなく、情報それ自体が堕落なのだ。 ジル・ドゥルーズ『シネマ2 時間イメージ』法政大学出版局 一週間は一週間。 月曜日 五月が終わる。みなで訪れた国東の日が遠い昔のようだ。あのころに比べ、すでに日は鋭さを持ちはじめている。…

幻ブルーマンデー

松永久美子をはじめとして、手足や身体のいちじるしい変形に反比例して、なにゆえこの子たちの表情が、全人間的な訴えを持ち、その表情のまま、人のこころの中に極限のやわらかさで、移り入ってきてしまうのだろうか。 『苦海浄土』第二部 神々の村 第一章 …

バカ波。

1週間のふりかえり 世の中の裏側にあるような貧しげな宿屋を見ると、私はむやみに泊まりたくなる。そして侘しい部屋でセンベイ布団に細々とくるまっていると、自分がいかにも零落して、世の中から身捨てられたような心持ちになり、なんともいえぬ安らぎを覚…

筋斗雲はだれもが乗れるわけではないのに、ちぎって分け与えることができる

数に溺れて、、ではなく蒲団に溺れて 1週間のふりかえり その杉本家の肇や、清や、勝や、この四つか三つか五つのちいさな年子たちは、けんめいに反りくりかえって走り去ったが、すれ違うとき汚れた頬っぺたがももいろをおびて、金毛の孫悟空のように笑い、清…

Art in You. Art in You. Art in You...

私が愛した世界は15億の人口だった。60億人が暮らす今の世界は、もはや私とは無縁の存在です。 レヴィ=ストロース 晴れて無職になって半月ばかりが過ぎる。 とにかく自由ということの素晴らしさを骨の髄まで味わっている。 日本のサラリーマンも年に1ヶ…

国東半島へ 01

高崎恵さんの作品 *ご本人の許可を取って撮影しています 以前からインスタグラムなどで繋がっていた国東在住の写真家高崎恵さんが 自宅の倉庫を使ってプライベート展示をしているというので、 連絡をとって国東のアトリエまで会いに行き、作品を見せていた…

「あなたを定義しているものを失ったとき、あなたは自分を取り戻せるか」

「ノマドランド」を見た。 (以下ネタバレ注意) 柳美里の『JR上野駅公園口』のアメリカ版のようであった。 なるほど柳美里の作品が評価されたのも頷けた。 アメリカも日本も同じ問題圏にいるということ。 ここにも大きな主題として「風景」があった。 「風…

【開催報告】第参回 本読みに与ふる時間 4.18

僕は飛騨高山に住んでいた頃、農的生活をしていた。 今は空き農地を探し中で、半農的生活を模索している。 日曜日の朝。 「本読みに与ふる時間」を開催しました。 この企画のために早起きしたという方も。 休日のソフトスタートに活用していただけると嬉しい…

Q日。

自分の時間を生きていたい。 休職中。たった一週間だけど。 しかも代休なんだけど。 とにかくゆっくりした。 時間をつかまえられるくらい移ろうものに目をむけた。 住んでいる鉄輪のすばらしさをしみじみと味わった。 鉄輪の平日を何も知らなかった。 鉄輪温…

アクティブレストに思ふ

死の淵をあるいている日日。月の残業が160時間を超えていて過労死ラインが80時間というから倍、心身ともに疲れ切ってしまい(体重もひと月で5kgも落ちた)転職も考えねばならんなあと近くに住む友人と久しぶりに再会し、鉄輪の冨士屋さんでぜんざいをいただ…

町のともしび(たとえあなたが行かなくとも店の明かりは灯っている。バッキー井上)

日が暮れるのが早くなった。 冬はなんというのか、夜にむかって暗くなるというだけのことの、 寂寞の程が尋常ではない。 そんななかにあって、町の灯り、特に新しい店のそれなどは 大いなるやさしさとなり、慰めになる。 都会のクリスマスのイリュミネーショ…

北海道、網走・知床・十勝への旅 4日目最終日

風景はひとがいてこそ全うされるような、それが人文学の営みだと考えた。 北海道の開拓団で思い出すのは、京都山科にある一燈園の創始西田天香氏のことだ。 西田氏のことは小島信夫の小説『十字街頭』で知った。 西田氏を題材としているが、小島信夫の小説に…

北海道、網走・知床・十勝への旅 3日目

自分の人生のなかで〈アイヌ〉との接点があったのははるか昔、 19歳の頃大学受験浪人のため新聞奨学生として上京していたときだった。 ほかの新聞奨学生たちと恵比須の寮に住んでいて、 自分の配達する区域と同じところを担当する先輩のAさんが北海道出身で…