対話と人と読書|別府フリースクールうかりゆハウス

別府市鉄輪でフリースクールを運営しています。また「こども哲学の時間」など

【開催案内】別府鉄輪朝読書ノ会 10.22

アルルよりパリのテオヘ 第五四六信 手紙をありがとう、でも今度はずいぶんやきもきもした、木曜日にすっからかんになって月曜までは滅法長かった。その四日間を大体二十三杯のコーヒーとパンでつないだ、その分はこれから払わなければならない。君の間違い…

【開催報告】第八十八回 別府鉄輪朝読書ノ会 9.24

後になって証明されたとおり、自分達の初台ではついに血を見ずに終った。その主なる理由の一つは、ここいらは概して教養ある人々、所謂知識階級が多かった事である。正直な所、自分は社会主義者と同じように、この震災にあたって、所謂民衆なるものに失望し…

【開催報告】哲学カフェ大分 9.16

9月の哲学カフェを開催しました。 今回のテーマは「労働とは何か?」でした。 事前に、労働に対する問いを集めました。 端的に「問い」という形にして、差し出すことは難しさもあり、 たとえば質問と問いの違いとか、哲学的に問うとはどういうことなのかとい…

9月の別府フリースクールうかりゆハウス

◆「図書館に行く日 9.7 」○日 時:9月7日(木)○テーマ:月に一回図書館に行って、自分の興味のある本を借りる日を作ります○対 象:主にうかりゆハウスの生徒とこの講座に関心のある子どもたち(大人は参加できません)○参加費:一日利用2,500円○備 考:開催…

『皆神山』という名前の詩集

いいところもあるんだけどな そんなことなんの自慢にもならない 「皆神山のこと」杉本真維子 OPAMでの朝倉文夫展 猫の流体に魅了された朝倉文夫 詩人の杉本真維子さんが詩集『皆神山』で萩原朔太郎賞を受賞した。 皆神山は神州いや、信州にある不思議なお椀…

【開催案内】第八十八回 別府鉄輪朝読書ノ会 9.24

鄭君と自分が先ず押しひしがれた押入の間から夜具を引出していると、李君は一心にそこらを掻き起しつつ熱心な調子でこう言った。 「そんな物は後でいいから、何より本を探し出して下さい。本が一番大事なんです。本を失ったら一番困ります。それから色々なノ…

【開催報告】第八十七回 別府鉄輪朝読書ノ会 8.27

この絶望的に破壊的な爆弾が炸裂しても、その巨大な悪の総量にバランスをとるだけの人間的な善の努力が、地上でおこなわれ、この武器の威力のもたらすものが、人間的なものを一切うけつけない悪魔的な限界の向こうから、人間がなおそこに希望を見出しうる限…

夏の塩切れ

最近無気力がちで口内炎がよくできて何処かしらに不調を感じていた。二つの大きな哲学対話のファシリテーションで燃え尽きたのかとも考えていたのだが、循環農法の赤峰勝人さんが何度も口にする「塩切れ」という言葉を思い出して、自然塩を意識的に舐めたり…

【開催報告】公民館de哲学対話 vol.2

別府市教育委員会からの依頼で、 未来の公民館を考えよう!をテーマに参加者のみなさんと哲学対話しました。 先日チャレンジしたソクラティク・ダイアローグといい、 今回の公民館での哲学対話といい、結果や結論にコミットしていく対話の在り方は、 ファシ…

【開催報告】哲学カフェ大分 8.19

こんにちは。 哲学カフェ大分を開催しました。 今回はソクラティク・ダイアローグの超超短縮版で3時間かけて、 「幸福」についてみなさんと考えました。 流れとして、 1 ルール説明と簡単な自己紹介と問いとエピソードの発表(40分) 2 体験・エピソート…

さまざまな8・15

集英社のこの「コレクション 戦争×文学」のアンソロジーが好きで、 安価で手に入る機会を見つけては購入している。 母は美容師をしていて、仕事柄たくさんのお客さんと話をする。 そのなかには満州から命からがら引き揚げてきたお婆さんもいて、 引き揚げの…

望郷と海

陸から海へぬける風を 陸軟風とよぶとき それは約束であって もはや言葉ではない だが 樹をながれ 砂をわたるもののけはいが 汀に到って 憎悪の記憶をこえるなら もはや風とよんでも それはいいだろう 盗賊のみが処理する空間を 一団となってかけぬける しろ…

ギギギ・・

私は厠にいたため一命を拾った。八月六日の朝、私は八時頃床を離れた。前の晩二回も空襲警報が出、何事もなかったので、夜明前には服を全部脱いで、久し振りに寝間着に着替えて睡った。それで、起き出した時もパンツ一つであった。妹はこの姿をみると、朝寝…

振り袖は泣く

お母さん、彼らは詩を書くのです。パウル・ツェラン なぜ、事の初めにはいつも光があるのだろう。ドリゴ・エヴァンスの最初の記憶は、教会の礼拝堂にあふれる太陽の光だった。彼はそこに、母親と祖母といっしょにすわっていた。木造の教会。まばゆい光、彼は…

【開催案内】第八十七 別府鉄輪朝読書ノ会 8.27『ヒロシマ・ノート』

たとえば、被爆して、ひととおりの悲惨な目にあった家族が、健康を恢復し、人間として再生できたという物語はないものだろうか。 『ヒロシマ・ノート』大江健三郎 ◆「別府鉄輪朝読書ノ会 8.27 」 八月は毎年戦争文学を読んでいます。今年は三月に八十八歳で…

【開催報告】第八十六回 別府鉄輪朝読書ノ会

自分のいない日本語のほうが、やはり美しい。 『鴨川ランナー』グレゴリー・ケズナジャット 七月の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。 今回は『鴨川ランナー』グレゴリー・ケズナジャットをとりあげ、 参加者のみなさんと読んでいきました。 はじめに自己紹…

もし最も贅沢なことといえば、私は私の青春であなたを待っています。

在来工法の輝きは最初だけ 災害が起きると、みな声が弾む 宮崎駿 ポスターをフリースクールの壁に貼った。つねに問うてほしい言葉 もう十年以上も前のことになるが、安曇野で自然農を実践されている方の集まりに 参加したことがあった。 曇天で雨が降り出し…

【開催報告】哲学カフェ大分 7.15

++ 7月の哲学カフェ大分を開催しました。 シネマ5でのトークショーの影響もあり、多くの初参加の方が来てくれました。 ご参加ありがとうございました。 今回のテーマは「助けてと言える社会はどうしたら実現するの?」でした。 始めにみなさんから、このテー…

この部屋ではかなしい気持ちになれない

二重の国で歌声が はじめてやさしく 永遠となる ——『オルフェウスへのソネット』リルケ 2023.7.14 いただいた葡萄とじゃがいもに見惚れて写真を撮る。 物質についてわたしはなにも知っていない。 いもの球体の向こう側、まわりこむ奥行きはどうなっているの…

京都の微熱

小倉紀蔵の『京都思想逍遥』と鷲田清一の『京都の平熱』を少しづつ読む。 それぞれのパッサージュが交錯する。鷲田氏が平熱なら小倉氏は微熱だ。 今年も暑かった。だが、祇園祭の宵山には、毎年かならず、でかける。なぜか?こんなに暑い夜に、なぜわざわざ…

【開催案内】哲学カフェ大分 7.15

◆「哲学カフェ大分 7.15」 ※対面のみ7月のテーマは「助けてと言える社会はどうしたら実現するの?」です。わたしは人に助けを求められる人の方に真の自立を感じたりするのですが、みなさんどうですか? ○テーマ:助けてと言える社会はどうしたら実現するの?…

【開催案内】第八十六回 別府鉄輪朝読書ノ会 7.23

紙面の上で珍しい宝石のように輝いていた綿密な文字に気がつくと、きみは思わず手の動きを止めて目を凝らす。意味どころか、発音すら想像がつかない。じっと眺めて理解しようとするものの掴みどころはない。拒まれたというわけではなく、文字はただそこに立…

【開催報告】第八十五回 別府鉄輪朝読書ノ会 6.25

まどかは当事者性なんて一つも持っていなかった。 『N/A』年森瑛 六月の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。 今回は参加者のみなさんと『N/A』年森瑛を読みました。 ・3回読んでも残るモヤモヤ ・面白かった、笑えた ・主人公のことだけがわからない ・「…

【開催報告】「東京ヒゴロ」人生×対話 6.24

自己は物語の形をして存在している。 『ナラティヴと共同性』野口裕二 うかりゆハウスのこの空間は,優しさがかさなっていて居心地がいいとの声をいただいた 松本大洋の最高傑作との声もある「東京ヒゴロ」を題材にした 松本大洋「東京ヒゴロ」を下敷きにしつ…

経過する

コンコードの町へと続く線路端の斜面に、朝、霜が溶け出して現れる葉のような模様を擬した形態であると想像することは不当なのだろうか?さらにいえば、荘厳な黄昏時に赤い空の縁を流れてゆく雲の変幻自在な姿を彼の「日記」の文字がそのままに移しているの…

大分シネマ5トークショー「ぼくたちの哲学教室」

大分シネマ5での映画「ぼくたちの哲学教室」の公開に合わせて、 館長の田井さんとトークショーをしました。 最近夜の部はめっきりお客さんが少なくなったらしく、10人は集まればいいかなと 田井さんとも話していたのですが、当日は50人以上集まってくれて、…

墓碑銘

わたしは混乱を墓碑銘とするだろう キング・クリムゾン 2023.6.10 ジュンク堂大分店が来月で閉店のニュースを合同新聞で知る。 以前のフォーラスから今の地に縮小移転して、なんとか踏ん張ってきたが、 限界が来たのかもしれない。 リアルがなくなるというこ…

【告知】大分シネマ5にてトークイベントのお知らせ

こんばんは、志水です。以前のメールでもお伝えしましたが、北アイルランドの分断の街ベルファストの学校で「こども哲学」を展開するケヴィン校長を追ったドキュメンタリー映画「ぼくたちの哲学教室」が大分シネマ5で6/17から上映されます。 https://youngpl…

【開催案内】別府鉄輪朝読書ノ会 6.25

かけがえのない他人、は、まどかにとって特別な意味を持つ言葉だ。 ホットケーキを食べたりおてがみを送ったりするような普遍的なことをしていても世界がきらめいて見えるような、他の人では代替不可能な関係のことを、かけがえのない他人同士と名付けていた…

【開催報告】哲学カフェ大分 6.3

6月の哲学カフェ大分を開催しました。 今回は「推しとか推すって何だろう?」をテーマにみなさんと哲学対話していきました。 哲学対話の問う、考える、話す、聴くの要素の「問う」ことに力点を置いて、 今回の構成を考えました。 問いに始まり、問いに終わる…