2016-01-01から1年間の記事一覧
年内最後となる別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。今回の課題本は多和田葉子さんの新訳によるフランツ・カフカの『変身(かわりみ)』をとりあげました。 会のはじめにこの作品の全体的な感想を聞いてみました。「グレゴールはおれのこと」「今ではグレゴー…
内容(「BOOK」データベースより) カフカの文学は、映像的であるという印象を与えながらも一つの映像に還元できないところに特色がある。『変身』のグレゴール・ザムザの姿も言語だけに可能なやり方で映像的なのであって、映像が先にあってそれを言語で説明…
朝からはげしい雷雨が続いていましたが、 無事に第八回目の別府鉄輪朝読書ノ会を開催できました。 今回は土曜日の朝9時半からの変則的な時間帯でしたが、 6名の方に参加していただき、対話をしました。 今回とりあげた作品は大江健三郎氏が20代の終わりに書…
内容(「BOOK」データベースより) わが子が頭部に異常をそなえて生れてきたと知らされて、アフリカへの冒険旅行を夢みていた鳥は、深甚な恐怖感に囚われた。嬰児の死を願って火見子と性の逸楽に耽ける背徳と絶望の日々…。狂気の淵に瀕した現代人に、再生の…
主催者のシミズです。 日曜日に第七回目の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。 いつもより参加人数は少なめでしたが、その分じっくりと一人ひとりの話が 聴けたように思います。 この日の課題図書は保坂和志氏の『残響』でした。 複数視点による視点の切り替…
あなたに会ったのも、会わなかったのも、すべて、この世界のなかでだった―。それぞれの孤独が共鳴しあい、日常生活を映すガラスの破片のような人々の世界が語られる、夜のように美しい小説。 「BOOK」データベースより 聴こえますか。もう一人のあなたの声。…
主催者のシミズです。 第六回目の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。 当日はあいにくの雨でしたが、多くの方にご参加いただきました。 ありがとうございました。 今回とりあげた本は川上未映子さんの『ヘヴン』です。 胸に刺さった、ヒリヒリした、川上さん…
簡単に消化できないからこそ、読む意味のある書物がある。そういう書物の言葉は、未消化のまま読者の心に留まり続けるからこそ、長い時間をかけて、読者の思考と経験の成熟とともに、少しずつ消化され続けてゆき、読者の心の滋養となり続けていくのだ。 山本…
こんにちは。 九月の別府鉄輪朝読書ノ会の案内をします。 課題図書は川上未映子さんの『ヘヴン』(講談社文庫)をとりあげます。 最近も殺人事件に至ったケースもありましたが、テーマは「いじめ」です。 それまでの作風から大きく転換し直球勝負で挑んだ、 …
第五回目の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。 今回は八月ということもあり課題本は原民喜の『夏の花』をとりあげました。 暑い中でしたがご参加いただき、それぞれの思いを聴くことができました。 観察眼の鋭さ、人間の本能、嗅覚、文章がきれい、独特で読…
現代日本文学史上もっとも美しい散文で、人類はじめての原爆体験を描き、朝鮮戦争勃発のさ中に自殺して逝った原民喜の代表的作品集。被爆の前年に亡くなった妻への哀悼と終末への予感をみなぎらせた『美しき死の岸に』の作品群、被爆直後の終末的世界を、そ…
第四回目の別府鉄輪朝読書ノ会を開催いたしました。 お暑い中、12名の方にご参加いただきました。 別府周辺からも多くの初参加者の方がみえられて嬉しかったです。 今回とりあげた作品は太宰治の『グッド・バイ』です。 新潮文庫のものは戦後の短編作品がま…
被災・疎開の極限状況から敗戦という未曽有の経験の中で、我が身を燃焼させつつ書きのこした後期作品16編。太宰最後の境地をかいま見させる未完の絶筆「グッド・バイ」をはじめ、時代の転換に触発された痛切なる告白「苦悩の年鑑」「十五年間」、戦前戦中と…
先日、第三回目の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。 当日は朝から激しく雨が降っていましたが、 開催する頃には止んでくれました! 今回の課題図書は角田光代さんの『対岸の彼女』。 最初に全体的な感想を全員に聞いたところ、 初めはのれなかったけど、読…
先日、大分銀行宗麟館2階にて紙好きの集まる カミカイギというのがありまして行ってきました。 紙が好き!カミカイギ、開催中です! – パラボラ舎 手動の活版印刷機で便箋を制作するワークショップがあり、 鉄輪朝読書ノ会のレターセットをつくってみました…
専業主婦の小夜子は、ベンチャー企業の女社長、葵にスカウトされ、ハウスクリーニングの仕事を始めるが…。結婚する女、しない女、子供を持つ女、持たない女、それだけのことで、なぜ女どうし、わかりあえなくなるんだろう。多様化した現代を生きる女性の、友…
『やし酒飲み』は日本語訳もまた創意工夫に満ちたものなのですが、 超訳すぎるのでは?という声もありましたので、 会の中でも話題となった一文をとりあげてみたいと思います。 岩波文庫でいうと、76ページの1行目に王様との対話のやりとりがあるのですが、 …
第二回目の別府鉄輪朝読書ノ会を開催いたしました。 今回はエイモス・チュツオーラの『やし酒飲み』を課題本とし、 マイナーな作品だったので参加者が集まるのか心配しましたが、 おかげさまで満員御礼となりました。 参加者は15名(女性10名/男性5名)でし…
別府地元の愛すべきローカル新聞、 今日新聞さんに第一回の別府鉄輪朝読書ノ会を 記事にとりあげていただきました。 意見交換というとニュアンスがだいぶ違うのですが。。 読んだ本の感想を気楽にシェアする会で、 意見を熱くぶつけあったりということはあり…
GWは晴天の合間を縫って四国に渡り、瀬戸内海の島々を巡る旅をしました。 島々といっても、直島と豊島だけですが。 特に豊島の豊島美術館は静かで繊細で、従来の美術館のイメージを覆す、 自然と融通無碍の空間を一体となって味わうような美術館でした。 人…
「わたしは、十になった子供の頃から、やし酒飲みだった」――。やし酒を飲むことしか能のない男が、死んだ自分専属のやし酒造りの名人を呼び戻すため「死者の町」へと旅に出る。その途上で出会う、頭ガイ骨だけの紳士、指から生まれた赤ん坊、不帰(かえらじ)…
運営にもご協力いただいたSさんより、 すてきな開催風景の写真を送っていただきました。 ありがとうございました。 むすびのの田中さんに、今回の軽食メニューのコンセプトを話していただきました。 むすびのオーナーの河野さんに、これからの展望などを語っ…
第一回目の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。 今回の課題図書は夏目漱石の『こころ』でした。 参加者は女性9名、男性7名で年齢層は20代から60代まででした。 参加者それぞれの『こころ』の読書体験があり、 それをつき合わせることで、各人の考え方や生き…
今回の地震の被害にあわれた方々にお見舞い申し上げます。 ここ別府鉄輪でも大きく揺れました。 大分市より揺れたかと思いますが、大きい本棚や食器棚等は無事でした。 奥行きのない軽い本棚は倒れていましたけど。 本好きの方は本棚を持っている方が多いと…
第一回目の別府鉄輪朝読書ノ会はすでに満員御礼ですが、 とりあげる課題本の紹介をしたいと思います。 夏目漱石『こころ』。 夏目漱石は1916年に49歳で亡くなっています。 今年で没後100年ですね。 処女作の『吾輩は猫である』が1905年の発表ですから、 あれ…
第一回目の別府鉄輪朝読書ノ会(課題図書:夏目漱石『こころ』)ですが、 開催1か月を前にして早くも満員御礼となってしまいました。 申し込みを考えられていた方、ごめんなさい。 5月22日 開催予定の第二回目(課題図書『やし酒のみ』チュツオーラ)は 現在…
先日、別府にあたらしくできた古書店の書肆ゲンシシャを訪れました。 出版社でも書肆山田とか、書肆が屋号につくところはそれだけでゾクゾクします。 店内はバランスよく本が配置され、広くはないもののすっきりしていて、 300円でいただける紅茶を飲みなが…
第1回目の別府鉄輪朝読書ノ会を開催します。 とき:2016年4月24日(日)午前10時から12時 ところ:別府鉄輪ここちカフェむすびの(別府市鉄輪上1組) 参加費:1,000円(1ドリンク軽食付き) 定員:約15名 → 残席少ないです 課題図書:『こころ』夏目漱石 ※…
このたび1年ほどかけて準備してきた読書会が、4月に具体的な形となりまして開催されます。 ちょうど1年前にここ別府鉄輪の地に引っ越してきて、すっかり土地の人となり、この温泉街をこよなく愛しているのですが、「本」や「読書」といった文化が希薄なこと…