第五回目の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。
今回は八月ということもあり課題本は原民喜の『夏の花』をとりあげました。
暑い中でしたがご参加いただき、それぞれの思いを聴くことができました。
観察眼の鋭さ、人間の本能、嗅覚、文章がきれい、独特で読みにくい、
抽象的なのか具象的なのかわからない、日常の中に原爆がやってくる感じ、
語りがたい事象を語る言語の限界に挑んでいる、旧字体の迫力、
一文一文を味わい尽くしたいような、
悲惨さを訴えるだけの戦争文学とは一線を画している等々。
原民喜は大文字の歴史に流されることなく、
あくまで一個人として原爆体験を表現し得たことに
その普遍性、世界文学に足るものがあるのだろうと思いました。
後輩でもあり『永遠のみどり』に出てくるEこと遠藤周作の言葉を引用します。
「原民喜さんの『夏の花』は、戦後いくつも書かれた広島原爆の日を語る作品のなかで、最高のものである。そこには大声も大きな身ぶりもない。そこにあるのはその日を体験して、大きな哀しい眼で全てを目撃した語り手の声である。」(ぐうたら交遊録)
対話の中でたびたび言及されました遺書をリンクします。
また、おいの時彦さん(81)への インタビューもリンクしますので、ご関心のある方は読んでみてください。
戦後71年:原爆を描いた作家・原民喜の祈りと黙契 広島に住むおいの原時彦さんに聞く : 文化 : クリスチャントゥデイ
今回もむすびのさんの特製メニューです。地きゅうりのヨーグルト和えや、奥部鍼灸院の奥部さんからいただいた大きなオクラのカレーなど美味しくいただきました。
夏の花を代表するイチジクのコンポートも美味しかったです。イチジクには実がなくて食用としているのは花の部分だそうです。そういえば、漢字で無花果と書きますね。
最後にみなさんで記念撮影。
いつも詳細に調べて参加されているMさんのノートです。作品理解の助けになりました。付箋がすごい!!
今後とも別府鉄輪朝読書ノ会は月1回日曜日の午前中に開催します。
次回は9月25日。川上未映子の『ヘヴン』(講談社文庫)をとりあげます。
ご関心のある方はホームページよりお申込みください。