旅のしおり
肥前ノ旅 オワリ
雨の有田の町を歩いた。 陶祖 李参平氏が敬意を持って祀られていた。 町に必要なもの、敬意。 それがないと道に迷う。 そこではじめて雨に陶器がうつくしさを放つ。 肥前ノ旅9 旅の最後に泉山磁石場へ
棟方志功も気に入った風景 伊万里市民図書館の後は秘窯の里、大川内山へ。 なぜ秘窯かと言うと、鍋島藩が陶工の技術が漏れないように隔離したからである。 大陸の山水画を思わせる切り立った屏風岩の山を見て陶工たちは故郷を思い浮かべた のだろうか。冷た…
世界から身を退くことは個人には害になるとは限りません.…しかし一人撤退するごとに、世界にとっては、ほとんどこれだと証明できるほどの損失が生じます。失われるものとは、この個人とその同輩者たちとの間に形成されえたはずの、特定の、通常は代替不可能…
「現れの空間」は、他者を有用かどうかで判断する空間ではない. 「現れの空間」は、他者を一つの「始まり」とみなす空間、他の一切の条件にかかわりなく、他者を自由な存在者として処遇する空間である. 『公共性』齋藤純一 洋々閣での目覚め。朝食。 かわし…
アーレントは、公共的空間を「人びとが自らが誰(who)であるかをリアルでしかも交換不可能な仕方で示すことのできる唯一の場所」として定義する. 『公共性』齋藤純一 あこがれの唐津 洋々閣へ宿泊した。 雨が降っても、夜になっても、その佇まい、細部まで…
公共性は、何らかのアイデンティティが制覇する空間ではなく、差異を条件とする言説の空間である。 『公共性』齋藤純一 武雄市図書館の近くにある武雄神社を参拝して、 その奥に武雄の大楠が立っていた。 大楠に行き着くまでの道が新緑の木漏れ日に溢れすば…
公共的空間とは、自らの「行為」と「意見」に対して応答が返される空間である. 『公共性』齋藤純一 隣接する武雄市こども図書館へ。 人口5万人の小都市にこどものためだけの公共図書館があるというのはすばらしい。 地域のお父さんお母さんに利用されていた…
ところが、私たちが”privacy”という言葉を用いるとき、それはなによりもまず剥奪deprivationを意味するとはもはや考えない。 第二章 公的領域と私的領域『人間の条件』ハンナ・アレント 「私的」であると言うことは、他者の存在が失われていることを意味する…
特別鉄道オタクというわけではないが、 にちりんや寝台特急富士に関しては個人的な思い入れもあり、 九州鉄道記念館につい立ち寄った。 思いのほか充実していて、行って良かったと思った。 グッズ売り場では散財。 鉄でできたブックエンドが死ぬほどほしかっ…
日本海側に近いせいか、大分よりだいぶ寒さを感じた。 それだけに酒や海鮮が美味しくしみた。 下関は海洋とそれにつづく大陸へと開かれた土地で、 コリアンタウンなどすぐにそれを感じられる。 歴史の熱い吐息が何度もはかれた。 赤間神宮は不思議な印象を残…
クリスマスに門司、関門海峡、下関、唐戸市場を旅した。 写真をつらつらと。 海峡にロマンあり。 関門海峡は本州と九州が卍のような絡むような形になっていて、 九州の突端が北にあり、本州の突端は南にある。 盲腸のようなぷるるんと突き出た感じがそれぞれ…
窓から見える田園の風景は夏そのものであり、また本州を感じさせるものだった。 哲学対話のファシリテーションのために別府から宇部へと旅する。 旅というか移動なのだが、それでもすこしは旅だった。 大分県外を出たのは、昨年12月の京都・大阪以来だった。…
フェリーの出発まで時間があったので大阪の街をぷらぷら歩きながら、 徒然なるままに写真を撮った。 今日、北新地で火事のニュースがあったが、私のあるいたところだろうか。 放火という話もあり、心配である。 ここの歩道橋でビッグイシューを買った。 とて…
西成、釜ヶ崎の朝。 ココルームの屋上にあがって朝の空気を吸った。 都会の空気。 近くに見えるあべのハルカスと遠くに見え隠れする通天閣。 西側に見えるのは、ココルーム自慢の庭。 いつもはココルームで朝食をとっていたのだが、この日は休みと言うことで…
東寺の近くにホテルをとった。 夜にライトアップがあったので、疲労していたが少し休憩して向かった。 溜息が出るような美しさであったが、過剰な演出のような感じもして、もやった。 寝る前にヘルスアプリを見ると22.8km、歩数にして34,282歩の歩いた一日だ…
京都府立医大の旧図書館のモダニズム建築。昭和4年竣工。尖ったエントランス ずっと行きたかった誠光社さん。店内はこじんまりとしつつも、どれも読みたい力のある本ばかりが置かれていて、時を忘れて過ごした。 関美穂子さんの型染めのポストカードと『学校…
ぎゅうぎゅうに入って、身を入れ替わりつつ東西南北を眺めた三階の望楼 眺望をさまたげないために、雨戸を格納する戸袋は窓の左右ではなく下に設えれていた 鴨川デルタの近くにある、旧三井家下鴨別邸の特別公開に合わせて行く。 ツイッターともだちの方に勧…
蓮華王院本堂、通称三十三間堂。 私はなにか仏教がもつ量への傾斜が質を造っていくような発想というか思想が好きで、三十三間堂の異様とも言えるこの横長、水平への延びはぞくぞくさせる。磯崎新氏だったかこの建築に無限焦点という言葉を使ったのは、カメラ…
フリースクール視察のために関西へ。 フェリーの定期検査により運行日にずれが生じ、僕だけ先行して出た。 1日の余りを京都探訪にあてる。 天気はぼちぼち。 常に歩いているせいか、寒さは感じなかった。 (この日は22.8km、34,282歩とヘルスアプリに記録さ…
大江健三郎『アトミック・エイジの守護神』と金在南『暗やみの夕顔』を読んだ。集英社の戦争×文学という一連のアンソロジー・シリーズは本当にすばらしいと思う。最初に原民喜『夏の花』。これ以外にない。2016年の8月の読書会で『夏の花』をとりあげた回は…
高崎恵さんの作品 *ご本人の許可を取って撮影しています 以前からインスタグラムなどで繋がっていた国東在住の写真家高崎恵さんが 自宅の倉庫を使ってプライベート展示をしているというので、 連絡をとって国東のアトリエまで会いに行き、作品を見せていた…
知らない窓から知らない風景を見、知らない風に吹かれるのは精神的にとてもよい。 ビジネスホテルの簡潔を極めたミニマルな空間もまた精神が整う。 お寺や神社のように結界はないけど、ビジネスホテルにはその無表情さに 自分の精神を滑り込ませられるようだ…
違う土地の風を浴びたくておとなり熊本へ。 復旧した九州横断特急で竹田、阿蘇を通って熊本へ。 別府から片道約3時間、約5,000円で脳の風景を洗う。 熊本は駅周辺ががらんとしているのが面白い。 はじめに河原町繊維問屋街にある「モラトリアム」というお店…
風景はひとがいてこそ全うされるような、それが人文学の営みだと考えた。 北海道の開拓団で思い出すのは、京都山科にある一燈園の創始西田天香氏のことだ。 西田氏のことは小島信夫の小説『十字街頭』で知った。 西田氏を題材としているが、小島信夫の小説に…
自分の人生のなかで〈アイヌ〉との接点があったのははるか昔、 19歳の頃大学受験浪人のため新聞奨学生として上京していたときだった。 ほかの新聞奨学生たちと恵比須の寮に住んでいて、 自分の配達する区域と同じところを担当する先輩のAさんが北海道出身で…
歩いて バスに乗って バスから降りて 歩いて 食べて 山 川 空 湖 光 光 目が眩んで 写真を撮って 撮って 撮って 歩いて 話して 笑って 歩いて バスに乗って バスにゆらゆらゆられた 一瞬も飽きることがなかった二日目は光に、大地に、大空に圧倒された一日だ…
毎朝、会社で清掃活動をする。 自分は主に外回りの落葉などを掃く担当になっている。 この時期は落ち葉が多く、毎日毎日掃いても降ってくるが、 清掃後はなかなか清々しい気持ちになる。 ただ積もった落ち葉を掃くと、時折その落ち葉を寝床にするように ダン…
火口を歩いた。 意外にも近く、家から車で20分少しの所にそれはあった。 ぎらつく太陽光のなか、鉄輪、明礬を抜け、湯布院方面に向かう。 塚原温泉の受付で200円払って、いざ火口へ。 受付から5分くらい歩いたところ、 荒涼たる風景が広がっていた。 砂礫が…
今回「哲学ツーリズム@釜ヶ崎」の参加者のみなさんから 感想をいただきました。その一部をあげたいと思います。 Aさん ツーリズム 道中でもお話に出ましたが百聞は一見に如かずとは正にこのことかと思いました。 この有名な諺は百見は一考に如かず、百考は…