2022-01-01から1年間の記事一覧
2022.12.31 年末から年始にかけるこの時期がとても好きだ。 内省的になるし、振り返り行く末を見つめる時間が静寂のなかにあるからだ。 この年末に心にのこった言葉。 幸せとは、同じ志をもつコミュニティで頼り頼られ生きることという、 ハーバード大学の研…
特別鉄道オタクというわけではないが、 にちりんや寝台特急富士に関しては個人的な思い入れもあり、 九州鉄道記念館につい立ち寄った。 思いのほか充実していて、行って良かったと思った。 グッズ売り場では散財。 鉄でできたブックエンドが死ぬほどほしかっ…
日本海側に近いせいか、大分よりだいぶ寒さを感じた。 それだけに酒や海鮮が美味しくしみた。 下関は海洋とそれにつづく大陸へと開かれた土地で、 コリアンタウンなどすぐにそれを感じられる。 歴史の熱い吐息が何度もはかれた。 赤間神宮は不思議な印象を残…
クリスマスに門司、関門海峡、下関、唐戸市場を旅した。 写真をつらつらと。 海峡にロマンあり。 関門海峡は本州と九州が卍のような絡むような形になっていて、 九州の突端が北にあり、本州の突端は南にある。 盲腸のようなぷるるんと突き出た感じがそれぞれ…
次にカクレキリシタンの名称であるが、長崎県下各地において彼ら自身はみずからカクレキリシタンとは称してこなかった。生月では「古ギリシタン」「旧キリシタン」、平戸では「辻の神様」、外海では「昔キリシタン」「古ギリシタン」「しのび宗」、五島では…
吾平は寝る時も枕元に算盤を置いた。ふと、商算がうかべば、人の寝しずまった深夜にも、まだ空が白まない夜明け方にもむっくり起き上がり、寝床の上に几帳面に端坐して、一心に算盤をはじいた。油垢に黒く光った算盤の上を、節くれだった太い指先が、飽くこ…
私がベンヤミンに惹かれる理由のひとつは、そこかもしれません。彼は、最初から断片として構想された形式は、人類の最後の日における美しきものの像を確保している、というのです。 『鳥を探しに』平出隆 2022.12.5-11 月曜日 クロアチア戦、敗北、残念。 で…
人間の幸福というものの幻のような、おとぎばなしのような性質が彼には興味深かった。 『幸福』チェーホフ 2022.11.28-12.4 月曜日 みんなでみかん狩りヘ。 農園は丘陵の上にあり、目線の彼方には海が見える。 潮風を浴び、農薬を使っていない、露地栽培。 …
◆「哲学カフェ大分 12.17 」 ※対面のみ今回は「出会うことは偶然なのか必然なのか?」をテーマに哲学対話をしたいと思います。出会いには、恋人、配偶者や友人、師もあるでしょう。また人だけではなく、本や一篇の詩、学問、映画や土地との出会いもあるかも…
「阿呆たれ!大阪は人間でいうたらへそや、大阪商人が闇稼ぎしたら、日本中にほんまの商人無うなってしまいよるわ、大阪商人の根性はなあ、信用のある商品を薄利多売して、その労苦で儲けることや、大阪の根性も知りくさらんと、ど性骨叩きあげたろか、闇屋…
いやはや、なんのための議論になったのでしたかな!初めは健康のことだったのに、死ぬ話になっちまうなんて。チェーホフ『ヴェローチカ』 光を伝える!こういう言葉は、会話にも本にもありませんが、それを考え出し、頭の中に見つけ出したのですからね!『聖…
落ちついて考えて見ると、全く何も用事がない。行く先はあるが、汽車が走って行くから、それに任しておけばいい。 『第二阿房列車』内田百閒 11月の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。 今回みなさんと読んだ作品は内田百閒『第二阿房列車』でした。 別府に…
OABさんが当フリースクールのこども哲学を取材・撮影してくれて、先日「じもっと!OITA」で放送されました。端的にこども哲学をまとめていただいて嬉しかったです。YouTubeにもアップされたので、ぜひご覧ください。 ↓ www.youtube.com
長い、露のやどった口ひげを撫でながら、彼はずしりと馬にまたがって、何か忘れものがあるか、言い足りないかといったふうで、目を細めて遠くのほうを見た。いちばん地平線や果てしない曠野のあちこちに聳えている物見や古墳が、いかめしく、ひっそりと見お…
2年9ヶ月ぶりに対面での哲学カフェを開催しました。 久しぶりに会えた方、オンライン以外で初めて対面した方など、 「会う」ことの重みをじっくりと感じながら、 「会うって必要?」をテーマにみなさんと哲学していきました。 会うことの大切さを認識しつつ…
〔断章六より〕衝動のようにさへ行はれるすべての農業労働を冷く透明な解析によってその藍いろの影といっしょに舞踏の範囲に高めよ宮沢賢治「生徒諸君に寄せる」 2022.11.7-13 月曜日 新装したサッカーシューズでこどもたちとボールをひたすら蹴る。 蹴って…
ついにはありがたいことにまったく顔を見せなくなったころ、ヘイノ・ヴァンダージュースは視野の隅の方で、粗面積みの石壁と波打つニレの木の合間にきらきらと光る翼の付いた物体が見えたような気がしたことが一度か二度あった。そして奇妙なことに、それが…
11月12日にオンラインで開催される哲学プラクティス連絡会のワークショップに、 ファシリテーターとして参加します。 テーマは「対話のあとのファシリテーターのふりかえり、どうしてますか?」です。 ファシリテーター経験者やそうでない方にも、興味のある…
私の座席の窓は曇らない。 内田百閒『第二阿房列車』 十一月の別府鉄輪朝読書ノ会の案内です。 今年は鉄道開業150周年とのこと。十一月はレールの繋ぎ目が刻む音を愛する究極の鉄ちゃん、内田百閒の『第二阿房列車』(新潮文庫)を読んでいきます。第一阿房…
いま、また日本は滅びのプログラムの中に入っている。 どんな国家も、大帝国も、その繁栄は永劫不変ではないから、この日本の衰退と滅亡は驚くにはあたらない。私たちは、ただ今回の滅亡の際には、前回のように近隣諸国にあまり迷惑をかけることなく、静かに…
その夜のランニングは六月にはじめて、走ることを命じられた夜に似ていた。 『草の響き』佐藤泰志 こんにちは。 十月の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。 今回選んだ作品は佐藤泰志『きみの鳥はうたえる』『草の響き』でした。 80年代のまだ「余力」のあっ…
イルカの交信がかれらのなき声によってはなされないで、音と音のあいだにある無音の間の長さによってなされるという生物学者の発表は暗示的だ。 武満徹『音、沈黙と測りあえるほどに』 2022.10.17-23 月曜日 夜は冷たい風が吹いたが、 猫のオカユは温泉の蒸…
脱穀・ 大分の安心院という(あじむと読む)地域は別府の鉄輪から車で40分もかからない場所にあり国東とも宇佐とも違う内陸の谷あい山あいの地域だ。そこに佐田という地区があり、佐田京石と呼ばれるストーンサークルがある不思議なところだが、そこで合鴨農…
「多くの者が召されるが、選ばれる者は少ない」のではなく、「多くの者が召されて、しかも多くの者が選ばれる」ような、そうした空間ではなかったか。 『反写真論』倉石信乃 国東半島国見町 櫛来社蹴火子祭 2011.10.14 神にそぐう祭りは土日といった人間の都…
この巨大な褐色がかった青が、私の魂のなかに落ちてきて、そこで歌っていた。私はこの色に浸り切っていたのです。 セザンヌ 2022.10.3-9 月曜日 子どもが立派なオセロボードを持ってきたのでオセロをする。 オセロというのは手加減というのが難しいし、こう…
◆「絵本 de 考えるカフェ 10.11 」一緒に絵本を読んで、考えることを楽しもう! 最後に絵本を読んだのはいつですか?忘れられない絵本はありますか?絵本の作品世界を味わって、そのテーマに込められた世界観を子どもも大人も考え語り合いませんか?(内容紹…
世界を道徳的に感じとるとは、どういうことなのでしょうか。たとえば、雲ひとつない澄み切った蒼穹へ眼を向け、私たちの上に広がるその青さを感じることなのです。 『天体と自然界の霊的本性たち』ルドルフ・シュタイナー 子供の世界に少しでも近づきたいと…
◆「別府鉄輪朝読書ノ会 10.30 」十月は村上春樹と同い年ゆえにその栄光の影に隠れ、目立った文学賞を獲ることなく自死してしまった作家佐藤泰志氏の作品をとりあげます。没後30年、近年評価が著しく高まり、多くの作品が映画化されています。今回は『きみの…
林檎と梨。 それぞれの物の奥行きの違い。 林檎の方がより複雑に感じられる。 いや、深さの質が違うというべきか。 なぜセザンヌが執拗に描き続けたのか。 僕が完成することを求めるとすれば、それはより真実な、より難しい喜びのためだけであるべきです。 …
「だまされてるの?」 「わたし? だまされてないよ」 そのあと妙な沈黙があった。 『星の子』今村夏子 第七十六回目の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。 今回とりあげた作品は『星の子』今村夏子でした。 新興宗教2世が題材となっていて、作品自体は2017…