落ちついて考えて見ると、全く何も用事がない。行く先はあるが、汽車が走って行くから、それに任しておけばいい。
『第二阿房列車』内田百閒
11月の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。
今回みなさんと読んだ作品は内田百閒『第二阿房列車』でした。
別府に行っても温泉には入らない、行き先に用事はなく、
列車に乗ることそのものが目的の、「阿房」の精神に贅や余裕、
ユーモアを感じながら、その作品世界を味わいました。
百閒先生は今で言う〈乗り鉄〉だと思いますが、
「絶景も却ってうるさい」という記述もあったりして、
また別のツボがあるのかもしれません。
今回はむすびの河野店主の鉄ちゃんぶりを披瀝。
国鉄時代の帽子や鋏、時刻表、硬券の切符など、たくさんのコレクションを
展示してくださって、参加者の皆さんもテンションが上がっていました。
ありがとうございました。
デザァトは、始皇帝の阿房宮→不老不死→桃→ネクター→ネクタルから着想を得た、
洋梨と桃の飲み物でした。美味しかったです。
メインのお食事は駅弁をイメージした、
函館本線森駅のイカめしを洋風にアレンジしたものと、小倉駅のかしわうどん。
どれもたいへん美味しかったです。至福でした。
今回は趣向を凝らした展示といい、お食事といい、河野店長のアイデアが光りました。
たいへん楽しい空間ですごせました。ありがとうございました。
今後も年一回くらいは鉄道つながりの作品を選びたいなと思いました。
次回十二月は今年最後の読書会です。
山崎豊子『暖簾』を読んでいきたいと思います。