もし神様がベッドを覗くことがあって、誰かがありきたりな動作で自分たちに酔っているのを見たとしても、きっと真剣にやっていることだろうから、笑わないでやって欲しい。
今年最後の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。
今回とりあげた作品は山崎ナオコーラさんの『人のセックスを笑うな』。
読みやすく、さらっと読み進めることもできる作品なのですが、
一文一文をじっくり味わってみると、高橋源一郎さんが書いているように
「そう簡単なものじゃない」作品で、かなりの歯ごたえがあることに
気付いていきました。
ジェンダー、さみしさ、喪失感、権力性、傷つき、「らしさ」からの解放、
惚れた弱み、翻弄、孤独、若さ、依存、閉塞感、種としての人間、自己陶酔、
雰囲気、気分、呼吸
そんなキーワードで読み解きながら、
「人のセックスを笑うな」の「人」とは他人のことなのか、種としての人間のことなのかという問いが出たり、独り相撲の尊さや最後の台詞「会えなければ終わるなんて、そんなものじゃないだろう」についての言及もありました。
小説は試験の問題として使われることに抵抗がある方もいるかもしれませんが(作者の言いたいことを問うなど)、論理の飛躍が著しいと思われる小説であっても、たいがいロジカルに組み立てられていたりもしますので、他の参加者とともに丁寧に読んでいけば、見えなかった結び付きや「正解」が見えてくることもあるでしょう。ただそこからどうしようもなく零れ落ちてしまう情や響といったものを感じることが小説を読むたのしみかもしれません。今回の作品はロジカルに構築されているところと、それぞれの関係性の描写が味わい深く、時折差し挟まれる詩的な描写や夢とも響き合って、とても豊かな作品だなと改めて思いました。私たちは、もしかしたら「奇跡」、を目撃したのかもしれません。
ご参加ありがとうございました。
今回のむすびのさん提供のドリンクは、
節句(セックス?)をイメージした桃のジャムの入った甘酒と
作中にも出てきたお鍋でした。たいへん美味しかったです。
むすびのさんはしばらくお休みしていましたが、今日から再開です!!
今回とは別種の歯ごたえと格闘してみたいと思います。
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夕方、廣川玉枝さんの「地獄祭り」が鉄輪で開催されました。
マレビトたちがむすびのさんの前や鉄輪の宿宿を練り歩いて、
最後はむし湯前広場で渦踊りを繰り広げました。すばらしかった。
写真をたくさん撮ったので、また別立てでまとめたいと思います。