2023-08-01から1ヶ月間の記事一覧
鄭君と自分が先ず押しひしがれた押入の間から夜具を引出していると、李君は一心にそこらを掻き起しつつ熱心な調子でこう言った。 「そんな物は後でいいから、何より本を探し出して下さい。本が一番大事なんです。本を失ったら一番困ります。それから色々なノ…
この絶望的に破壊的な爆弾が炸裂しても、その巨大な悪の総量にバランスをとるだけの人間的な善の努力が、地上でおこなわれ、この武器の威力のもたらすものが、人間的なものを一切うけつけない悪魔的な限界の向こうから、人間がなおそこに希望を見出しうる限…
最近無気力がちで口内炎がよくできて何処かしらに不調を感じていた。二つの大きな哲学対話のファシリテーションで燃え尽きたのかとも考えていたのだが、循環農法の赤峰勝人さんが何度も口にする「塩切れ」という言葉を思い出して、自然塩を意識的に舐めたり…
別府市教育委員会からの依頼で、 未来の公民館を考えよう!をテーマに参加者のみなさんと哲学対話しました。 先日チャレンジしたソクラティク・ダイアローグといい、 今回の公民館での哲学対話といい、結果や結論にコミットしていく対話の在り方は、 ファシ…
こんにちは。 哲学カフェ大分を開催しました。 今回はソクラティク・ダイアローグの超超短縮版で3時間かけて、 「幸福」についてみなさんと考えました。 流れとして、 1 ルール説明と簡単な自己紹介と問いとエピソードの発表(40分) 2 体験・エピソート…
集英社のこの「コレクション 戦争×文学」のアンソロジーが好きで、 安価で手に入る機会を見つけては購入している。 母は美容師をしていて、仕事柄たくさんのお客さんと話をする。 そのなかには満州から命からがら引き揚げてきたお婆さんもいて、 引き揚げの…
陸から海へぬける風を 陸軟風とよぶとき それは約束であって もはや言葉ではない だが 樹をながれ 砂をわたるもののけはいが 汀に到って 憎悪の記憶をこえるなら もはや風とよんでも それはいいだろう 盗賊のみが処理する空間を 一団となってかけぬける しろ…
私は厠にいたため一命を拾った。八月六日の朝、私は八時頃床を離れた。前の晩二回も空襲警報が出、何事もなかったので、夜明前には服を全部脱いで、久し振りに寝間着に着替えて睡った。それで、起き出した時もパンツ一つであった。妹はこの姿をみると、朝寝…