読書会
なんでもないものの尊厳 『定義』谷川俊太郎 十二月は谷川俊太郎を追悼し、彼の詩を読みたいと思います。この読書会で詩を扱うのは最初で最後かもしれません。この詩集を完読し、当日はこの詩集のなかから一つ気に入った詩を選んでください。(できたら朗読…
ずっと思っていたことがあるんよ。人間が信仰を捨てることはままある、そいでも信仰を取り戻すことなんてできるんでしょうか。何かをふたたび信仰することはできるんでしょうか。 『かか』宇佐見りん 十一月の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。 今回は宇佐…
ちょっと前になりますが、大分合同新聞さんにて百回目の別府鉄輪朝読書ノ会を 取材していただき記事にしてもらいました。ありがとうございました。 これからも人文学、純文学の読書文化を微力ながら下支えしていきます。
ただ存在するということがいかに大変か、それに耐えられないから、みんな勉強したり働いたりするのかもしれなかった。 『植物少女』朝比奈秋 十月の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。 今月は朝比奈秋さんの『植物少女』をみなさんと読んで感想を交わしまし…
以前この読書会でもとりあげた韓国の文学者ハン・ガンさんがノーベル文学賞を受賞しました!おめでとうございます。自分のことのように嬉しくもあり、納得です。いいとこ見てるなあー。 news.yahoo.co.jp 2021年に『菜食主義者』を課題図書としましたが、近…
◆「別府鉄輪朝読書ノ会 10.27」十月は『植物少女』朝比奈秋(朝日新聞出版)を読んでいきます。美桜が生まれた時からずっと母は植物状態でベッドに寝たきりだった。小学生の頃も大人になっても母に会いに病室へ行く。動いている母の姿は想像ができなかった。…
「この世も終わりだよ。人間が一等車に乗り、書物が貨車にのせられるようになったら!」 『百年の孤独』ガブリエル・ガルシア=マルケス 第百回目の別府鉄輪朝読書ノ会を無事開催できました。満員御礼でした。 参加者のみなさまといつもメニューを考えていた…
長い歳月が流れて銃殺隊の前に立つはめになったとき、恐らくアウレリャノ・ブエンディア大佐は、父親のお供をして初めて氷というものを見た、あの遠い日の午後を思いだしたにちがいない。 『百年の孤独』ガルシア=マルケス 『百年の孤独』ガルシア=マルケ…
ぼくがパレスチナで知っていた神も、やはりパレスチナから逃げ出していったのだということを、ぼくはもはや疑わなかった。 『悲しいオレンジの実る土地』ガッサーン・カナファーニー 俺はまた別の見方からいうと、俺達は商品的状態なんじゃあねえかって言い…
◆「別府鉄輪朝読書ノ会 8.18 」 八月は毎年戦争に関する文学を読んでいます。今年はパレスチナ人作家で36歳で爆殺されたガッサーン・カナファーニーの『ハイファに戻って/太陽の男たち』(河出文庫)を読んでいきます。 何かを「知りたい」と思うとき、その…
一体、この美しさの正体は、何なのだろう?…自然のもつ、物理的な規律や、正確さのためか、それとも逆に、あくまでも人間の理解を拒みつづけようとする、その無慈悲さのせいかなのか? 『砂の女』安部公房 八月の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。暑い中で…
労働を越える道は、労働を通じて以外にはありません。労働自体に価値があるのではなく、労働によって、労働をのりこえる・・・その自己否定のエネルギーこそ、真の労働の価値なのです。」 『砂の女』安部公房 ◆「別府鉄輪朝読書ノ会 7.28 」 じめじめした梅…
「俺、これから何もしなかったら、今の俺のままじゃん、これから先ずーっと」 『何者』朝井リョウ 六月の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。 今回とりあげた作品は朝井リョウ『何者』でした。 就活を通して、何者かになろうとする者、拒絶する者、順応して…
探していないふりをしながら、ずっと探していた。後ろにいたのか、と、冷静に思う。 『何者』朝井リョウ ◆「別府鉄輪朝読書ノ会 6.30 」六月は『何者』朝井リョウ(新調文庫)を読んでいきます。すべての就活生と働く人に。就活対策のため、拓人は同居人の光…
だったら、殺すために孕もうとする障害者がいてもいいんじゃない? 『ハンチバック』市川沙央 五月の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。 今回とりあげた作品は市川沙央さん『ハンチバック』でした。 様々なテーマが内包されていて議論の尽きない回で、これ…
私は紙の本を憎んでいた。目が見えること、本が持てること、ページがめくれること、読書姿勢が保てること、書店へ自由に買いに行けること、ー5つの健常性を満たすことを要求する読書文化のマチズモを憎んでいた。その特権性に気づかない「本好き」たちの無知…
結果、暗い深海にもぐったまま、どんな罠も仕掛けも策も及ばぬ遠くを目指すことにしたのだろう。それでこっちも、どんな人間も追いつけないところまで追いかけることにした。世界中のだれも手も届かないところまで追うことにした。そのあげく、いまこうして…
◆「別府鉄輪朝読書ノ会 4.28 」 四月は、ヘミングウェイ『老人と海』(新潮文庫)を読んでいきます。いくつかの出版があるのですが、これから購入される方は新潮文庫版でお願いしたいです。 内容紹介 ノーベル文学賞とピューリッツァー賞を著者にもたらした…
とにかく、気が向いた頃、いつもの改札口に立っていれば誰か相手が来るだろうと思った。 『東京のプリンスたち』 「さあ、ユートピアに帰る時間となりました。」 『月のアペニン山』 白鳥が隣人愛を行わなかったことは誰にも出来ないことだったのである。 『…
村では山へ行くという言葉に二つの全く違った意味があるのであった。どちらも同じ発音で同じアクセントだが、誰でもどの方の意味だかを知りわけることが出来るのである。 『楢山節考』深沢七郎 ◆「別府鉄輪朝読書ノ会 3.31」三月は姥捨山伝説を材にとった『…
その年に動物たちはみんな奴隷のように働きました。 『動物農場』ジョージ・オーウェル 2月の別府鉄輪朝読書ノ会はジョージ・オーウェルの『動物農場』を課題図書とし、参加者の皆さんと読んでいきました。 初めは志高く、理想に向かっていたのに、どこで歯…
「感傷的になってはいけない、同志よ!戦争とはそういうものだ。よい人間なんて、死んだ人間しかいない」 『動物農場』ジョージ・オーウェル(ハヤカワepi文庫) 『動物農場』ジョージ・オーウェル ◆「別府鉄輪朝読書ノ会 2.25」二月は権力の発生とその腐敗…
どんな暗闇の中でも目を閉じるという行為にはそれなりの意味があるのだ。 『ネジまき鳥クロニクル』村上春樹 今年最初の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。 今回とりあげた作品は村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』の第1部から3部でした。 過去この読書会で…
妻が寝てしまったあとでも、僕はまだノモンハンの戦場のことを考えていた。そこではすべての兵士たちが眠っていた。満天の星が頭上にあり、無数のこおろぎが鳴いていた。そして川の流れが聞こえた。僕はその川の流れの音を聞きながら眠りについた。 『ねじま…
⑫どこか行ったことのない国に旅行してみる。 『自分を好きになる方法』本谷有希子 第九十一回目の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。 急に寒くなって、鶴見岳が真っ白になって、朝方キャンセルの連絡がいくつか入るなかでも、たくさんの方にご参加いただき…
でも、劇場を抜け出したあの日見た景色のお陰で、リンデは新しい自分に出会えた気がした。 『自分を好きになる方法』本谷有希子 十二月の読書会の案内です。 参加希望者はホームページからお申し込み下さい。 kannawanoasa.jimdofree.com ◆「別府鉄輪朝読書…
私は誰かの美しい人だ。私が誰かを、美しいと思っている限り。 『うつくしい人』西加奈子 十一月の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。 今回とりあげた作品は西加奈子さんの『うつくしい人』。 一月にブローティガンの『愛のゆくえ』を扱ったのですが、 今回…
坂崎にとっての読書は、私たちが思うものと、違うのかもしない。 「本を置きに来るんです。吸収するだけじゃなくて、置いていくことも必要なのかもしれない、と思います。」 『うつくしい人』西加奈子(幻冬舎文庫) 十一月は『うつくしい人』(幻冬舎文庫)…
だがこの困難は、外部というよりもむしろわれわれの内部にあるのだ。第五六五信 ここでは少なくとも太陽だけはすばらしい。第五九三信 『ゴッホの手紙』テオドル宛(岩波文庫) 十月の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。 今回は芸術の秋、というのを意識し…
アルルよりパリのテオヘ 第五四六信 手紙をありがとう、でも今度はずいぶんやきもきもした、木曜日にすっからかんになって月曜までは滅法長かった。その四日間を大体二十三杯のコーヒーとパンでつないだ、その分はこれから払わなければならない。君の間違い…