対話と人と読書|別府フリースクールうかりゆハウス

別府市鉄輪でフリースクールを運営しています。また「こども哲学の時間」など

【開催報告】第九十四回 別府鉄輪朝読書ノ会 3.31

 

 

 

とにかく、気が向いた頃、いつもの改札口に立っていれば誰か相手が来るだろうと思った。

 

『東京のプリンスたち』

 

 

 

 

「さあ、ユートピアに帰る時間となりました。」

 

『月のアペニン山』

 

 

 

白鳥が隣人愛を行わなかったことは誰にも出来ないことだったのである。

 

『白鳥の死』

 

 

 

 

その時はわしは山へ行って、新しい筵の上に、きれいな根性で座っているのだ。

 

楢山節考深沢七郎

 

 

 

 

三月の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。

 

今回は深沢七郎楢山節考』を中心に、他『月のアペニン山』『東京のプリンスたち』『白鳥の死』を読んで、感想を語り交わしました。

 

現代とは違う価値観、因習のなかで立ち上がる楢山まいりの崇高さに感動したり、涙したり、おりんそのものの個の在り方に萌えを感じたり、でもそれは共同体が生き残るためのシステムを内面化したものなので、どこまでこの感情に素直になっていいのか、神風特攻隊の事例を挙げながら、考えていきました。

 

誰かのために死ぬこと、自分の為に死ぬこと、読む年齢によって感想の変わる作品、難しい、潔い、かわいい、即身仏、死生観、おりんさんの感情、食えない世界、人生は屁みたい・・などなど参加者のみなさんの多様な読みが、作品を照らしながら、作品理解を重層的にしていきました。

 

年をとると言うことがネガティブに語られがちですが、老いることの豊かさを感じていくことが、個人と社会の成熟につながる(それを教養と呼びたい)のではないか。この読書会を90歳までできたら面白い。山をのぼり、下りることにも楽しさを見出すような。国もそう在れば良いなと。

 

特に男性の中高年の居場所のなさについて考えることが多く、おりんだけではなく、男性の老いに美しさを見出せるような・・これはまたの主題としたい。

 

 

今日のむすびのさん特製メニューは、『東京のプリンスたち』で多く流れるプレスリーから着想を得た、ミートローフとエルビス・サンド(ピーナッツバター、バナナ、ベーコン、ハチミツ)でした!初めての食べ物でとても美味しかったです。たしかに、これは太りそう。

 

 

 

 

ご参加ありがとうございました。

四月も老いについて考えたくヘミングウェイ老人と海』を読んでいきます。

お楽しみに。