私は誰かの美しい人だ。私が誰かを、美しいと思っている限り。
『うつくしい人』西加奈子
十一月の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。
今回とりあげた作品は西加奈子さんの『うつくしい人』。
一月にブローティガンの『愛のゆくえ』を扱ったのですが、
今回の『うつくしい人』は『愛のゆくえ』が通奏低音になっているということもあり、
これを機会にみなさんと読んでいきました。
今日もたくさんの人に集まっていただいて、いろんな意見が聴けました。
全体的によく分からなかった、ちょうどいい終わり方だった、旅行っていいなあ、
気分が主人公と同じように晴れた、結局お姉さんを目指すということ??
誰かに認められることが幸せにつながることではないはず、
美しいとは、ひらがなのうつくしいとは何か?
いろんな謎が回収されぬまま置かれているのが良い、
などなど、いろんな問いも聴かれました。
対話のなかで出た発言で、意外に「坂崎がいい!」というのも私にとって発見でした。
しかし愚純に生きるというのもなかなか難しく小利口になってします。
愚純のままでいられる場所というのがなかな少ない。
だからこのホテルにあるような図書室や、あるいは『愛のゆくえ』に出てくる図書館
のようなものを自分はつくりたいのかもしれない。無用のものを。
この読書会もビジネス書や啓発書、新書でない、小説を読もうとしているのも、
愚純であろうとしたい現れなのかと思ったりしました。
わたしの思う、感じる「うつくしい人」ってなんだろうか。
いつもの哲学的にではなく、この小説に寄せて考えてみると、
迷いとか戸惑いとかに揺れ動いている人のことのように思う。
完成された人ではなく。そんなことを考えた
今日のむすびのさんの特製メニューは作者西加奈子さんが住んでいたエジプトにちなんだ料理でした。多種多様な炭水化物を詰め込んだ!エジプトの国民食もコシャリと焼き茄子と白ごまのペースト、ババガヌークを挿んだパンでした!乾燥地帯のエジプトでは口パサパサになりそうな感じもしましたが、とても美味しかったです。ありがとうございました。
ご参加ありがとうございました。
来月十二月は、『自分を好きになる方法』本谷有希子(講談社文庫)を読んでいきます。