まどかは当事者性なんて一つも持っていなかった。
『N/A』年森瑛
六月の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。
今回は参加者のみなさんと『N/A』年森瑛を読みました。
・3回読んでも残るモヤモヤ
・面白かった、笑えた
・主人公のことだけがわからない
・「かけがえのない他人」について初めて考えた
・わたしたち学生の会話も当たり障りのない言葉で満ちている
・定型にはまらずに生きていける?
・よく分からなかった
・初読は共感できなかったけど、2回目10代の目線になって読んだらわかった
・輪郭がぼやけている10代のころの苦しさ
・懐かしい
・かけがえのない他人を得たいなら、
自分をさらけだして、相手に梯子を掛けて昇るしかない
・テンポについていけなかったけど、まどかの世界観は意外にシンプルかも知れない
ぐりとぐらのような
・生理の表現を男性はどう読んだのか
・カテゴライズされる安堵とくるしさ
文学としての、まどかの秀逸なキャラクター設定に感心しつつ、
若い方の抱える「生きづらさ」に話題が移り、
「生きづらさ」という名前(定型)が与えられただけであって、
まどかの苦悩は普遍的だとする意見もあり、
「かけがえのない他人」とは、損得勘定なしにピンチに助けてくれる存在
すべてのことではないのか、
またまどかが「かけがえのない他人」に出会えないのは、
自分自身をかけがえのない存在だと思えてないからだという意見もありました。
ラストをどう捉えるかも、たくさんの意見が聴けました。
(若者)とか(年寄り)とか(男性)、(女性)、LGBTQ+など、
わたしたちもそういう括りで人を判断し、決めつけているところがあり、
その一歩手前で踏みとどまり、(ただのまどか)と向き合えるのか、
試されているようです。
この日のむすびのさんの特製メニューは、
作品のテーマから、どのジャンルにも「属さない」お料理をつくってくれました。
エスニックだったり、和だったり、ミルクと素麺とブルーチーズの組合せは斬新!
とても美味しかったです。ありがとうございました。
ご参加ありがとうございました。
七月は日本に住むアメリカ人が日本語で書いた『鴨川ランナー』と
同収録の『異言』を読んでいきたいと思います。