紙面の上で珍しい宝石のように輝いていた綿密な文字に気がつくと、きみは思わず手の動きを止めて目を凝らす。意味どころか、発音すら想像がつかない。じっと眺めて理解しようとするものの掴みどころはない。拒まれたというわけではなく、文字はただそこに立っていただけで、きみの視線は文面に触れるたびにするっと滑り落ちる。その無頓着さは魅力的でもあり、挑発的でもあった。きみは日本語を受講すると決意した。
『鴨川ランナー』グレゴリー・ケズナジャット
七月の別府鉄輪朝読書ノ会の案内です。
七月は日本に移り住んだアメリカ人のグレゴリー・ケズナジャット
十六歳のとき、四条大橋の欄干から見た鴨川の景色が忘れられず、