対話と人と読書|別府フリースクールうかりゆハウス

別府市鉄輪でフリースクールを運営しています。また「こども哲学の時間」など

その藍いろの影といっしょに 舞踏の範囲に高めよ

 

 

 

 

〔断章六より〕
衝動のようにさへ行はれる
すべての農業労働を
冷く透明な解析によって
その藍いろの影といっしょに
舞踏の範囲に高めよ

宮沢賢治「生徒諸君に寄せる」

 

 

 

 

2022.11.7-13

月曜日

新装したサッカーシューズでこどもたちとボールをひたすら蹴る。

蹴っても蹴っても飽きない、

光りがあり、風があって、そんななか永遠を感じる。

でも帰ってくると足が痛くて、疲れていた。

もっと体力、筋力をつけたい。

 

 

火曜日

「こども哲学の時間」を開催する。

テーマは「お互いを大切にするって、どういうこと?」

対話を通して、考え方が変わってくる。

人の見方も変わってくる。

とても大切な時間を共有した。

 

 

 

水曜日

オンラインで勉強を教えるというのは、隔靴掻痒。

なかなかもどかしい。

でも今の教育ビジネスはコロナ禍も相俟ってオンラインが伸びている。

大学ですら。

 

 

木曜日

こどもたちのフロー体験に感化を受ける。

記憶にも残らない没我こそが、その子が大人になったときに

大いなる「ささえ」となるのだろう。

わたしたちは、記憶にあるものより、記憶にないものによってできている。

でももう中学くらいになると、それも少なくなってくるようだ。

 

 

 

金曜日

畳替えの打ち合わせと計測。

こどもたちに新しい畳のい草の香りを嗅ぐきっかけになると嬉しい。

 

 

土曜日

朝から夕方まで哲学プラクティス連絡会に参加。

午前中はファシリテーション

午後からは学校でこども哲学を実践している人のプレゼンを聴く。

こども哲学や哲学対話、哲学カフェをもっと社会に浸透させたいとしたときに、

大事なのは組織的な運動なのか、それとも個の強さによってなのか。

 

 

日曜日

久しぶりに雨が降った。

皮膚にまとわりつく湿気がやさしかった。

 

 

明日のための予習。

本や物語が好きなこどもがさらにさらに好きになるために自分ができることを考える。

上からではなく、あくまで対等に、同じ目線で。

 

 

夜に花火が鳴る。

 

 

 

老人とサーニカとはふた手に別れて、羊の群れの両端に立った。二人とも棒のように立ちつくした —身じろぎもしないで、地面を見つめ、考えこみながら、老人のほうは幸福についての思いから逃れられなかったし、若者は若者で、夜ふけに聞かされたことを考えつづけていたからだ。自分には要りもせず、わかりもしない幸福そのものにはちっとも興味は湧かなかったが、人間の幸福というものの幻のような、おとぎばなしのような性質が彼には興味深かった。

『幸福』チェーホフ