朝からはげしい雷雨が続いていましたが、
無事に第八回目の別府鉄輪朝読書ノ会を開催できました。
今回は土曜日の朝9時半からの変則的な時間帯でしたが、
6名の方に参加していただき、対話をしました。
今回とりあげた作品は大江健三郎氏が20代の終わりに書いた『個人的な体験』。
大江文学は難しい印象があった、食わず嫌いで敬遠していたが読んでみたら、
意外にエンターテインメントだった、先入観が変わったという声が聞かれました。
この作品は、主人公の鳥(バード)に生まれた子供に障害があることが判明し、
その子供を葬りたいと考えるなかで主人公が逡巡、苦悩し、
最終的には育てることを決意するまでの経過を描いた作品で、
七月にあった相模原での障害者を殺傷する事件が起きたのは、
文学、物語の力が及ばなかったからではないのかという話がされました。
この作品にはまるまる主人公の〈ためらい〉や〈踏み止まり〉が描かれており、
相模原の事件にはそれがないと。
今日はむすびのさんを貸し切って1階で開催しました。
初冬の光が射し込んでいました。
むすびのさんより、大江健三郎氏がノーベル文学賞を受賞した1994年当時に
流行した、パンナコッタと杏のジャムを水に溶かしたドリンクが提供されました。
むすびのの田中さんよりメニューの説明。軽食は大江氏がフランス文学に精通しているということで、フランス料理であるグラタンでした。グラタンには、〈焦がす〉〈こそげとる〉という意味合いもあるようで、作品世界にも通じるのではというお話でした。ボリュームもあって、美味しかったです。
夜の鉄輪地区はいろんなところで竹灯籠が楽しめました。
温泉からあがったら、道端カレンさんが立っていてびっくりしました。
別府のおすすめスポットを案内していたようですね。
次回12月、年内最後の読書会はカフカの『変身(かわりみ)』をとりあげます。