対話と人と読書|別府フリースクールうかりゆハウス

別府市鉄輪でフリースクールを運営しています。また「こども哲学の時間」など

【開催報告】第十五回 別府鉄輪朝読書ノ会

第十五回目の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。朝は大雨が降っていましたが、開催時には晴れてきて安心しました。

 

f:id:kannawadokusho:20170625174932j:plain

 

今回は安部公房の『砂の女』をみなさんと読んでいきました。作品の知名度でしょうか、いつもより倍以上の参加者が集まりました。ありがとうございました。

 

口の中が渇いてくる、皮膚がヒリヒリする、砂のざらざら感がする、汗ばんだ不快感があるといった身体的な反応が読んでいる間や読後に訪れるという感想が多く聞かれたり、登場人物や世界観の不気味さに対する嫌悪感こそが、多くの人を惹き付ける源ではないのかという意見もありました。物語の構想力、人物設定、舞台設定、広範な知識と文体が完璧な調和をなして作品をつくりあげている。この引きずり込まれる感覚は男性が結婚生活や仕事にもっているイメージなのではないか。労働の為の労働とは現代の労働観を象徴している。男は環境そのものを変えようとする、女は環境を当然なものとして受け入れる。男は望んで穴ぐらに入り込んだのだ。忘れられたい欲望、存在証明を消したい欲望。などなど、みなさんのさまざまな読みが聞かれました。

 

 

f:id:kannawadokusho:20170625175010j:plain

f:id:kannawadokusho:20170625175155j:plain

f:id:kannawadokusho:20170625174958j:plain

f:id:kannawadokusho:20170625175200j:plain

今回むすびのさんから提供された料理は、サンドカラーで統一された!地獄蒸しの卵と奈良漬をはさんだパンにハモのすり身の玄米おむすびでした。美味しかったです。

f:id:kannawadokusho:20170625175143j:plain

f:id:kannawadokusho:20170625175440j:plain

コーヒースムージーは見た目も砂っぽく、そして食感も見事じゃりじゃりしていました!

f:id:kannawadokusho:20170625175002j:plain

むすびの田中さんから、料理の説明がありました。

f:id:kannawadokusho:20170625175520j:plain

Mさんの付箋…。ここまで読み込まずともお気軽にご参加くださーい。

 

今回が理系の変人が書いた小説なら、次回は文系の変態、川端康成の『みずうみ』をみなさんと読んでいきたいと思います。7月23日(土)10時よりここちカフェむすびのさんにて開催します。ご興味のある方、ご参加ください。

 

お申し込みはホームページよりお願いします。

ホーム - 大分・別府鉄輪朝読書ノ会

 

 

 

 

 

 

 

【開催案内】第十五回 別府鉄輪朝読書ノ会

f:id:kannawadokusho:20170529213416j:plain

 

第十五回目の別府鉄輪朝読書ノ会は安部公房砂の女』(新潮文庫)をとりあげます。

 

 内容(「BOOK」データベースより)
砂丘へ昆虫採集に出かけた男が、砂穴の底に埋もれていく一軒家に閉じ込められる。考えつく限りの方法で脱出を試みる男。家を守るために、男を穴の中にひきとめておこうとする女。そして、穴の上から男の逃亡を妨害し、二人の生活を眺める部落の人々。ドキュメンタルな手法、サスペンスあふれる展開のなかに、人間存在の象徴的な姿を追求した書き下ろし長編。20数ヶ国語に翻訳された名作。

 

とき:2017年6月25日(日)午前10時~12時

ところ:別府鉄輪ここちカフェむすびの

 

ご関心ある方はホームページよりお申込みください。

ホーム - 大分・別府鉄輪朝読書ノ会

 

 

 

【開催報告】第十四回 別府鉄輪朝読書ノ会

第十四回目の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。今回の課題本、メキシコの作家フアン・ルルフォの『ペドロ・パラモ』をみなさんと読んでいきました。

f:id:kannawadokusho:20170528213303j:plain

f:id:kannawadokusho:20170528212557j:plain

f:id:kannawadokusho:20170528212711j:plain

短い作品に多すぎる登場人物、生きている者と死んだ者が語らい、過去と現在が交錯する70の断片からなるこの小説は一度読んだだけではわからないものの、わかる、わからないを超えた豊かな混乱を読書体験として味わう。みなさんの読みを持ち寄りながら、遠いメキシコの荒野の乾いた風がこの温泉地鉄輪にも吹き抜けたような思いがしました。

f:id:kannawadokusho:20170528212948j:plain

f:id:kannawadokusho:20170529095646j:plain

場面ごとに登場人物をまとめて作表してきた方がいました!

f:id:kannawadokusho:20170528212746j:plain

メキシコということで、むすびのさんからはクミンシードの効いたチリコンカンやとうもろこしの粉を使ったスープなどが提供されました。辛かったですが、美味しかったです。

f:id:kannawadokusho:20170528213207j:plain

f:id:kannawadokusho:20170529095623j:plain

ご参加ありがとうございました。次回、6月は阿部公房の『砂の女』を読んでいきます。

 

【開催案内】第十四回 別府鉄輪朝読書ノ会

f:id:kannawadokusho:20170426170544j:plain

 

5月の別府鉄輪朝読書ノ会はメキシコの作家フアン・ルルフォの『ペドロ・パラモ』(岩波文庫)をとりあげます。5月28日(日)午前10時よりここちカフェむすびさんにて開催します。

 


内容(「BOOK」データベースより)
ペドロ・パラモという名の、顔も知らぬ父親を探して「おれ」はコマラに辿りつく。しかしそこは、ひそかなささめきに包まれた死者ばかりの町だった…。生者と死者が混交し、現在と過去が交錯する前衛的な手法によって、紛れもないメキシコの現実を描出し、ラテンアメリカ文学ブームの先駆けとなった古典的名作。 

 

 

ご参加されたい方は、ホームページよりお申込みください。

ホーム - 大分・別府鉄輪朝読書ノ会

 

 

【開催報告】第十三回 別府鉄輪朝読書ノ会『草枕』夏目漱石

第十三回目の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。代表のシミズです。今日は開催して1周年の記念にあたり、みなさんで祝っていただきました。ありがとうございました。今回も一年前と同じく夏目漱石の作品『草枕』をとりあげ、みなさんと対話していきました。

f:id:kannawadokusho:20170423172641j:plain

はじめに自己紹介をしつつ全体的な感想を聴いたところ「漢文や古い漢字が出てきて難しかった」「読むのに苦労した」というのが多くあった一方で、「お洒落」「現代風」「コミカル」「ギャグ」といった感想もありました。また禅や仏教などの思想、哲学としてこの作品を読まれた方もいました。

f:id:kannawadokusho:20170423172505j:plain

f:id:kannawadokusho:20170423172612j:plain

f:id:kannawadokusho:20170423172428j:plain

読むのが難しい作品であっても、みなさん一人一人の解釈や読みを突き合わせることによって、自分の読書体験が更新されて、幾様にも向き合えることを実感できた回でした。時代を超えて近代文学に触れるよろこびがここにあるように思えました。

f:id:kannawadokusho:20170423172225j:plain

ミント水にできたてのクッキーをいただきました。

f:id:kannawadokusho:20170423173921j:plain

むすびのさんからの今日の提供は、「草」をテーマにバジルやセリ、ウド、チモトを食材に使い、お祝いに鯛のつみれのスープでした。たいへん美味しかったです。ありがとうございました。

f:id:kannawadokusho:20170423172744j:plain

f:id:kannawadokusho:20170423172814j:plain

f:id:kannawadokusho:20170423172540j:plain

最後にみなさんで記念撮影。ご参加ありがとうございました。また1年継続できるよう、ぼちぼちやっていきます。5月はメキシコの作家、フアン・ルルフォの『ペドロ・パラモ』をとりあげます。

 

 

 

 

 

〈ゆふいん文学の森〉がオープンしました!

太宰治が東京の荻窪で下宿していたという〈碧雲荘〉。これが取り壊される危機にあったところ、湯布院で旅館業を営む橋本さんが引き取りを打診し、約2億円をかけて湯布院に移築したという偉業。それが〈ゆふいん文学の森〉としてこのたびオープンしました。文学の拠点にしたいと柚野館長。湯布院を大地震が襲って1年後に新しい希望が生まれました。

 

先日そのオープン記念式典に招待していただき内覧会に参加してきました。

 

f:id:kannawadokusho:20170418090026j:plain

f:id:kannawadokusho:20170418090106j:plain

f:id:kannawadokusho:20170418090128j:plain

東京でも数件しか残っていない昭和初期の下宿の建築様式。

f:id:kannawadokusho:20170418094339j:plain

f:id:kannawadokusho:20170417094713j:plain

各部屋は複数の読書スペースとして活用されている。

f:id:kannawadokusho:20170418090236j:plain

富嶽百景』にも登場した窓。

f:id:kannawadokusho:20170417094428j:plain

又吉さん寄贈の石

f:id:kannawadokusho:20170418090327j:plain

テレビ局から感想を聞かれる。

f:id:kannawadokusho:20170417094736j:plain

窓から見える豊後富士こと由布岳がすばらしい。

f:id:kannawadokusho:20170418090339j:plain

f:id:kannawadokusho:20170418094439j:plain

かぼすスカッシュが美味しかったです。

f:id:kannawadokusho:20170417094755j:plain

関連グッズもたくさん。

f:id:kannawadokusho:20170417095556j:plain

太宰が座った同じ窓辺で富嶽百景を読んでみる。

 

ここでの読書会の話もあり、今後の展開が楽しみです。

文学好きな方、ぜひ行ってみてください。