暗黙のルール
長らくこのまちではお互いのことをあまり
詮索しないという暗黙のルールがありました。
このまちで働くにはそれなりの理由のある人も多く、
一般社会から身を隠したい人も多かったのです。
これを「不関与規範」と呼ぶ研究者たちもいます。
ココルーム制作「釜ヶ崎アーツガイドマップ」より
最後の訪問施設はこどもの里でした。17時を過ぎていました。
タイトル「さとにきたらええやん」という映画にもなっている施設です。
こどもたちが多かったので内部の撮影はできませんでしたが、
ほんとにパワフルでいろんな年齢のこどもたちが思い思いに遊んでいて、
外ではおっちゃんとこどもの交流があったりとカオスが無軌道のまま許されている。
ほんとに楽しそうな場所でした。
パンフレットを抜粋します。
こどもの里はこどもたちの居場所。
私たちはこどもを守るために1977年から、
こどもの里は、こどもや保護者から利用料をいただいていません。
まかなっています。こどもの里が、これからも”こどもたちの居場所”
であり続けるために、ぜひ、ご支援をお願いいたします!
1 安心な場
必要とする人は誰でも利用できる場
※国籍の違いや障がいの有無など関係なく誰でも利用できます
2 遊びの場、休息の場
愛されているという実感があり、失敗しても大丈夫な自由な場
3 学びの場
生きているだけですばらしい!という自信と自己肯定感を育む場
4 受け入れられる場
こどもや保護者の抱える課題に耳を傾け、受け止めてくれる人がいる場
5 新しい福祉地域文化を創造する場
弱い立場の友達や社会の谷間におかれている友達と共に助け合って
生きていける場
夕食どきでお忙しいときにお邪魔しました。
ご対応ありがとうございました。
要塞のような西成警察署。こどもの里のすぐ前にあります。
ふるさとの家のラーメン室!
サバイバルメニュー
あいりんセンターの裏手では賞味期限が切れそうな・切れた弁当を
100円ほどで買うことができます。食べて大丈夫かどうかはあなた次第です。
こうした弁当を買うお金がなくなったとき、
この地域の人たちの多くが食べているのは袋ラーメンです。
この地域で人気のある袋ラーメンは他所ではほとんど見かけることのない
非常に安い製品です。
「ふるさとの家」では一階のひと部屋を「ラーメン室」として
開放しており、
麺を茹で、もやしやキャベツなどの野菜を無料でもらうことができます。
いよいよラーメンを買う余裕もなくなると、
無料の炊き出しに並びます。
炊き出しはさまざまな団体が行っていて、
ほぼ毎日どこかで最低一食は食べられると言われています。
しかし断固として炊き出しを食べない人もいます。
それはその人にとっての尊厳の一部なのです。
もしあなたが炊き出しを食べたいと思ったら、
実施している人たちに許可をもらって、
列の最後尾に並びましょう。
なお、路上で火を起こして炊事することはできません。
ココルーム制作「釜ヶ崎アーツガイドマップ」より
三角公園をぶらぶらします。四角公園とはちがってここは開放的でした。
さまざまなイベントに活用されているとのこと。
日本で最後の街頭テレビだそうです。
公園
この地域の公園は独特です。
まずこどもがほとんどいません。
従って遊具もなく、水場がなく、高い檻で囲まれています。
また使用時間は制限され夜間は施錠されるところが
ほとんどです。
かつてはブルーシートで小屋掛けをしている人もたくさんいましたが、
今ではごく限られた公園でごく少数の人たちが寝起きしているだけです。
また暴徒化することを警戒してか多くの人が集まれる場所が
ほとんどないため、
公園がさまざまなイベントの会場としても
利用されます。
ココルーム制作「釜ヶ崎アーツガイドマップ」より
すっかり暗くなり、遠くにあべのハルカスが見えます。
夜のスーパー玉出はサイケです。
コースにはなかったのですが、
高橋さんが最後飛田新地を案内してくれました。
撮影は厳禁でした。初めて訪れた方は度肝を抜かれたことでしょう。
国の登録有形文化財の「鯛よし百番」。
遊郭として建てられた当時の建物を現在料亭として使っています。
人が立つとその高さが分かります。
「哲学ツーリズム@釜ヶ崎」のレポートは以上になります。
お読みいただいてありがとうございました。
丸一日アテンドしてくれたココルームの高橋さんに感謝です。
ただ通過するだけでは分からなかった現場の生の声を聞かせてもらいました。
釜ヶ崎はずっと考え続けるテーマになると思います。